売上アップを望む企業の「差別化戦略」の必要性
なぜ差別化が必要か
売上アップや業績向上を考えるとき、目に入ってきやすいのが「差別化戦略」という単語です。
他の会社と違うことをして差別化を図ろう、他の会社には提供できない価値を提供しよう――、ざっくり言うと差別化戦略とはこんな感じの内容ですね。
かつては、差別化というものがそれほど重要視されていませんでした。それは、人々(顧客)の行動範囲や情報収集の範囲が限られていて、「行ける範囲・調べられる範囲で買うしかない」のが当たり前だったからです。
しかし、ITの進化はこの「当たり前」を大きく変化させてしまいました。ネットを介して情報が自由に発信され、リアルタイムで更新される時代になったのです。今や私たちは、手元のスマホをほんの少し触るだけで膨大な情報を手に入れられます。ふと足を止めた町の賃貸物件情報から、目の前の定食屋の評判まで、ありとあらゆる情報をその場で、かつ広大な範囲から収集できるようになったのです。
結果、人々(顧客)はその圧倒的な情報量を前に、「選択肢が多すぎて違いがよく分からない」という状態に陥りました。
さらに、その思考はこう変化します。
「みんな同じ感じに見えるし、安い店にしとこう」
……。
だからといって単純に値段を下げればいい話でしょうか。
ビジネスをするうえで「値段勝負」は苦しい選択です。
かつての”牛丼戦争”がそうであったように、自分の身を削りながらの熾烈な顧客獲得競争になってしまいます。
また、顧客のほうも、「値段」で判断するようになると、さらに安い商品・サービスが出てきたというだけで簡単に他社に乗り換えるようになります。金の切れ目が縁の切れ目、企業は利益が下がると分かっていても値下げを続けるしかできなくなります。
だから、私たちには「差別化」が必要になったのです。
単純な価格勝負では体力がもたない。
しかし、何かしら目立つことをしなければ、膨大な量の情報に埋もれてしまう。
顧客に「値段以外の価値」を認めてもらわなければ、適正価格で商品を買ってもらえず、売上アップも業績向上も叶わないのです。
賃貸管理会社の差別化
では、賃貸管理会社はどのように差別化を行なうべきでしょうか。
「他の会社には提供できない価値を提供しよう」と言っても、言うは易く行うは難し…、自社だけのスペシャルな価値など、そう簡単に思いつくものではありませんよね。
そもそも賃貸管理という業務は、こう言ってはなんですが、地味な作業が大半です。他社と大きな差をつけられるような要素が見つからなくても仕方ありません。
しかし、諦めてはいけません。何かしら貴社の「強み」を発揮できる場所があるはずです。
たとえば、管理の特徴をいくつかのパーツに分解してみましょう。
それぞれで何ができるかを考えてみると、自社の提供できるスペシャルな価値が見えてくるかもしれません。
例として、アートアベニューの差別化部分を見てみましょう。
管理契約
【転貸借方式の採用】
オーナーから部屋(または一棟まるまる)を借り上げ、それを入居者に転貸する。管理会社が「貸主」となって管理を行なうことで、法的処理まで主体的に完了できる。
賃貸借契約
【再契約型定期借家契約の採用】
原則的には再契約、という定期借家契約によって入居者をコントロール。一般の入居者とは再契約するが、悪質な滞納者や契約違反者は期間満了で解約し、入居者の質を維持。
入居者管理
【入居者用コールセンターの導入】
24時間365日つながるお困りごと用のコールセンターを用意。部屋に対する入居者の満足度を高め、長期入居を促す。
管理料
【定率保証システムの構築】
一括借り上げ型の空室保証。固定の保証賃料を保証する。ただし、実際の契約家賃が「評価よりも高く決まった場合」には、保証賃料に利益が上乗せされる。
いかがでしたか?
どこも似たり寄ったりになりがちな賃貸管理業務だからこそ、どこか一か所でも「他とちがう」だけで際立ちます。その特色を押し出せれば、オーナー様の記憶に残る営業ができるようになるはずです。
また、他社がどのような特色を打ち出しているか、同一エリアのライバルがどのような差別化を図っているかを調べることも、自社が何をアピールすべきかを考えるヒントになるでしょう。
「A社がこうアピールしているなら、うちはこっちをアピールしよう」
と考えていくことで、自然と「差別化」ができていきます。
ちなみに、ざっとネットで検索しただけでも、
・定額管理料
・管理料0円(他の課金方法)
・24時間駆けつけサービス
・家賃10万円以上限定の徹底管理サービス
・リーシングで物件囲い込みしません宣言
…などなど、様々な会社の特色に出会います。管理システムを再構築するとなると大変ですが、既存のサービスにこだわり(たとえば「オーナー様満足第一」「空室を埋めることが最優先」「入居者に快適な暮らしを」など)を持たせたり、社内では当たり前になっていることを敢えて強調(「地域密着50年」「有資格者が対応」など)したりするだけでも、差別化につながるでしょう。
売上アップの秘訣は自社内にあり。打ち出すべき特色が見えれば、ホームページのテイストや営業時のトークも変わってきます。
それらの変化はやがて明確な「違い」となり、貴社だけのプレミアムとしてオーナーの目に映るようになるでしょう。そうした価値を認めてくれるオーナー様とは、きっと長いお付き合いができるはずです。