レポート

公開日:2024年2月5日

LGBTsフレンドリー研修を実施。賃貸住宅業界の課題を考える(株式会社IRIS研修)

LGBTsフレンドリー研修を実施。賃貸住宅業界の課題を考える(株式会社IRIS研修)
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LGBTsへの接客対応に潜む「賃貸業界の課題」を学ぶ

株式会社IRIS 代表取締役CEO 須藤啓光氏
株式会社IRIS 代表取締役CEO 須藤啓光氏
株式会社IRIS 代表取締役COO 石野大地氏
同じく代表取締役COO 石野大地氏

株式会社IRIS代表取締役CEOの須藤氏・COO石野氏が登壇

オーナーズエージェントではこのたび、株式会社IRISから代表取締役CEOの須藤啓光氏・代表取締役COOの石野大地氏を招き、全社員を対象にLGBTsフレンドリー研修を実施いたしました。同社はLGBTsフレンドリーな不動産会社として賃貸仲介・管理業を行なうほか、企業・団体向けの研修事業や講演にも取り組まれています。

今回の研修では、賃貸管理業に関わる当社社員がLGBTs当事者にとってのお部屋探しの難しさを知り、当事者と事業者との間にあるギャップ解消に役立てることを目的としました。

そのギャップについて須藤氏は、「事業者の皆さまが当事者に対して差別意識を持っていなくとも、ふとした言動により差別だと受け止められてしまうハレーションリスク(※)やレピュテーションリスク、企業の信用棄損といった様々な潜在的リスクがあります」と説明。研修をきっかけに普段の言葉遣いや行動を振り返り、LGBTについて理解しようとする姿勢を持っていただけたらと呼びかけました。

※ハレーションリスク…ミスや失敗などの問題が周囲に悪影響を及ぼすリスク

講演する株式会社IRIS 代表取締役CEO 須藤啓光氏

LGBTsフレンドリー対応のGoodケース・Badケース

研修前半は、基本的な知識としてLGBTsの言葉の定義や、LGBTsフレンドリーな接客対応をするうえで知っておくべき言葉について学習しました。L(レズビアン)やG(ゲイ)などカテゴリ分けされたセクシュアリティやジェンダーで理解されやすいLGBTsですが、実際には「たくさんある性の形の一部」であり、主に「からだの性」「こころの性」「好きになる性」で一人ひとりのパターンは異なり、決まった形があるわけではないとのこと。

また、研修では時折、クイズ形式で受講者の理解レベルを確認。《日本にいるLGBTs当事者は何人くらいだと思いますか?》という質問では、正解として「日本の子どもの人口よりも多い約1250万人が該当します」「絶対に当事者と出会ってきています」という一説が紹介されると驚いた様子の社員も多く見られました。

続いて研修後半では、本題となるLGBTsへの不動産接客におけるケーススタディを実施。賃貸住宅をめぐる「接客場面で起こりうるトラブルと原因」GoodケースBadケースに分けて具体的に学びました。

Goodケースとしては、
●同性パートナーと子ども一人の申込で、契約書上の入居者関係性を「家族」と表記した
●公的証明書を活用することで同性パートナーを法律婚上のパートナーと同等に扱った
●自社だけでなくオーナーも巻き込んでフレンドリー対応を進めた

などの事例を紹介。当事者の心情や取り巻く環境に配慮した取り組みが目立ちました。

一方、Badケースでは、
●担当者の興味本位で不適切な質問を繰り返した
●当事者を小ばかにした態度で対応
●カミングアウトをきっかけに入居申込を拒否した

など、耳を疑うような事例も。LGBTsであってもなくても、窓口を訪れる方はお客様。さまざまな人と接する賃貸住宅業界だけに、LGBTsに対する理解増進とLGBTsフレンドリーな接客対応の改善は、業界人にとって喫緊の課題であると気づかされました。

須藤氏の研修を受ける社員

当事者理解を深め、管理サービスの更なる改善へ

終盤の質疑応答では、同社COOの石野氏がマイクを取り、須藤氏とともに当社からの疑問・質問に対して回答を行ないました。

●質疑応答(一部)
Q.男性2人での入居は生活音が大きくなるなどマイナスイメージを持たれやすく、難色を示すオーナーも少なくありません。男性カップルから申し込みがあった場合、フレンドリー対応を進めるうえで、この問題をどのように考えればいいでしょうか?

A.当事者の問題というよりは、「当事者をどう見るか」のバイアスの問題だと理解しています。男性でも女性でも騒ぐ人は騒ぎます。イメージに引きずられて申込者を判断するのではなく、まずはバイアスを減らしていくことが重要だと思います。

Q.会社の飲み会の席で、LGBTについて揶揄するような発言があった場合、どのような対応が望ましいと思いますか?

A.現場の風潮を変えていくのは非常にハードルが高いですし、その場で反論するのは現実的ではありません。そのような問題を減らしていくには、なにより「教育」が必要だと思います。LGBTsの理解増進に向けて声を挙げていただき、会社全体で社内の教育活動にリソースを割いてもらえるような取り組みにつなげることが望ましいと思います。

質疑応答の最後には、須藤氏が「昔、私が物件を探したときはなかなか部屋が決まらず、苦しい思いをしました。その課題感が株式会社IRISの創設にもつながっています」と自身の体験を紹介。

そのうえで、「ありがたいことに、今はLGBTsに対する社会の理解もずいぶんと進み、本日もこうして皆さまにお話させていただく機会も得られました。今後も賃貸管理に携わる皆さまのご協力をいただければと思います」と話し、研修を締め括りました。

当社としても今回の研修受講を機会としてLGBTs当事者への理解を深め、更なるサービス改善に努めていきたいと思います。


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