こんにちは!
前回は宅建士の出題分野のうち、宅地造成等規制法についてお伝えしました。
法令上の制限の第3回目となる今回は、「建築基準法」について取り上げていきます。
では、さっそく一緒に見ていきましょう。
[stken1]この記事で学べること
建築基準法とは
建築基準法は、地震や火災、台風などの災害から国民の命や財産を守るため、建物の構造や設備などに関して最低限満たさなければならない基準を定めた法律のことです。
建築基準法の内容は「集団規定」と「単体規定」に分けられます。
集団規定は街の中の建物に対する規定で、都市計画区域と準都市計画区域において適用されます。
それに対し、単体規定は個々の建物に対して求められる規制であり、全国どこにあっても適用される基準です。
建築基準法の適用除外となるケース
建築基準法は大半の建物に規定されますが、いくつか例外が存在します。
わかりやすいものとして、国宝や重要文化財に指定または仮指定された建築物は、建築基準法の適用対象とはなりません。
また、建築基準法の改正に伴って、いまある建築物が改定後の規定を満たさなくなったとしても、当該建築物が違反とはなりません。
建築確認の要否について
建築基準法ではさまざまな規制が定められており、それらの基準に適合しているかどうかをプロがチェックしてから建築することを「建築確認」といいます。
建築確認はすべての建物に適用されるわけではなく、規模や種類、行為によって異なります。
建築確認が必要な建築物とは
以下のケースにおいて、建築確認が必要となります。
上記のうち、「特殊建築物」とは学校や病院、共同住宅など、「もしそこで災害が発生したら大きな被害が出るだろう」といった場所が該当します。
また、増築・改築・移転をする部分の床面積が10㎡以内であれば建築確認は不要ですが、例外として防火・準防火地域においては10㎡以内でも確認が必要です。
面積や高さなど、それぞれの数字が重要となりますので、本試験までにしっかりと覚えておくようにしてください。
なお、建築確認をもらったあとで建築物の用途を変更し、特殊建築物にする場合にも建築確認が必要となります。(「民宿」→「旅館」、「映画館」→「劇場」など似たような用途に変更する場合は不要)
建築確認の手順
建築確認は次のような流れで行われます。
上図からもわかるように、最初と最後にチェックを行い、チェックがすべて完了したら検査済証をもらう流れになっています。チェックは建築主事や指定確認検査機関が行います。
建築主事や指定確認検査機関が建築確認をする場合、原則として当該建築物の工事施工者や所在地を管轄する消防長・消防署長の同意を得ることが必要です。
また、特定工程(ある程度大規模な工事の場合)が含まれる際は工事途中であってもチェックが求められ、それを「中間検査」といいます。
単体規定
ここでは宅建士の試験で問われやすい主な単体規定について、ご紹介します。
建築物の衛生
住宅の居室や病院の病室、学校の教室などで地階に設ける場合、壁および床に防湿の処理をし、衛生上必要な処置をしなければなりません。
また、居室・病院の病室・学校の教室などには外の明るさを部屋の中に取り入れるため、窓その他の開口部を設けなければなりません。
- 採光に有効な部分の面積:居室の床面積 × 1/7以上
そして、換気を目的とした窓その他開口部においても、次のように規定されています。
- 換気に有効な部分の面積:居室の床面積 × 1/20以上
自然換気設備のうち、給気口は居室の高さの1/2以下の場所に設けなければならないことに加え、常時外気に開放された構造にすることが求められています。
換気口については、給気口より高い場所に設置し、こちらも常時開放された構造にしなければなりません。
避雷設備
建物の高さが20mを超える場合、原則として有効な避雷設備を設けることが求められます。
昇降機
建物の高さが31mを超える場合、原則として非常用の昇降機を設置しなければなりません。
大規模建築物の防火規定
建築物のうち、延べ面積が1,000㎡を超える場合には、防火上有効な防火壁によって有効に区画しなければなりません。
またその際、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内にしなければならないことにも注意しましょう。
なお、耐火建築物および準耐火建築物の場合、防火壁で区画する必要はありません。
アスベスト(石綿)その他物質について
建築物に対し、アスベスト(石綿)を使用してはいけません。
また居室を有する建築物においては、アスベストに加えてクロルピリホスやホルムアルデヒドといった衛生上有害であると定められた建築材料についても規定が設けられています。
衛生上の支障がある場合には、建築材料および技術的基準に適合するようにしなければなりません。
まとめ
今回は、建築基準法についてお伝えしました。
建築基準法は非常にボリュームのある科目であることから、すべてを覚えようとすると多大な時間と労力が必要になってしまいます。そのため、押さえておくべきポイントとそうでない部分の区別をつけ、効率よく学習していくことが大切です。
スタケンアプリも上手に活用し、過去問を中心に覚えていくようにしましょう。
次回は「農地法」についてお伝えします。
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