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「農地法」はこれで解決!【2020年版】

投稿日:2020年9月4日 更新日:

こんにちは!

前回は宅建士の出題分野のうち、建築基準法についてお伝えしました。

法令上の制限の第4回目となる今回は、「農地法」について取り上げていきます。

では、さっそく一緒に見ていきましょう。

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農地法とは

農地法は、農地を守ることを目的として定められた法律です。

 

国内の農地が、農地以外の土地に転用され続けてしまうと作物を育てたり、収穫することができず、人々は食糧危機に陥ってしまいます。

そこで、一定の農地の確保と耕作者の地位の安定を目的に定められました。

 

ここでいう「農地」とは、今現在畑や田んぼとして使われている土地のことを指します。登記簿上の地目にかかわらず、実際に農地として使われているかどうかが判断の指標となります。

 

また、農地の利用者や農地の使用方法が変わる場合には許可を得る必要があります。許可には、次のようなものが挙げられます。

  • 農地を農地のまま他人に売却する:権利移動(3条許可)
  • 農地を農地以外に転用して自分で使う:転用(4条)
  • 農地を農地以外に転用して他人に売却する:転用目的権利移動(5条)

このうち、国や都道府県については農地の取得に際し、3条許可は不要です。

しかし、4条および5条許可の場合には農業のための施設として転用する場合を除き、許可を得なければなりません。

 

許可は都道府県知事との協議によって、認否が決します。

権利移動(3条)

権利移動は農地や牧草放牧地などを他人に売却して、譲渡するケースなどが該当します。(抵当権を設定する場合は許可不要)

 

売買する上では農協委員会の許可が必要となり、許可を受けずに売却した場合は契約自体が無効となる点を押さえておいてください。

また、遺産分割や相続などによって権利が設定・移転した場合、許可は必要ありません。とはいえ、新たな所有者を把握する意味で、取得した後に農業委員会への届出が必要となります。

転用(4条)

農地を農地以外のものへ転用する場合、都道府県知事等の許可が必要となります。(牧草放牧地を転用する場合には許可不要)

 

また、農家が2アール(200㎡)未満の農地を農業用施設へと転用する場合も、許可が不要となるので覚えておいてください。

転用目的権利移動(5条)

農地や牧草放牧地を転用して他人に売却する場合、都道府県知事等の許可が必要となります。

 

またその際、4条許可を得た農地を転用目的で権利移動する場合には、改めて5条許可を得なければならないことも押さえておきましょう。

そして、市街化区域は農地よりも建築物を優先して建ててほしい区域であることから、4条ならびに5条許可は不要となります。(不要であってもあらかじめ農業委員会への届出は必要)

 

ただし、3条許可については市街化区域であっても必要となるので、注意してください。

許可および届出がない場合の扱い

それぞれの許可を受けずに契約をした場合、その効力は生じないものとして扱われます。

 

また、4条許可ならびに5条許可を受けずに転用を目的とした工事を行った場合には、工事停止命令や原状回復命令を受けることもあります。

実際の過去問に触れてみよう

問1:農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受けなければならない。(平成21年 問22-2)

答:✕

解説:3条許可は所有権の移転や賃借権の設定、移転の際に必要となります。抵当権の設定は3条許可の対象でないため許可不要です。(補足:遺産分割や相続などによって権利が設定・移転した場合も許可不要。)

問2:農業者が、自らの養畜の事業のための畜舎を建設する目的で、市街化調整区域内にある150平方メートルの農地を購入する場合は、第5条第1項の許可を受ける必要がある。(平成23年 問22-3)

答:〇

解説:2アール未満の農業用施設(農作物の育成や養畜の事業のため)に供する場合、農地法4条許可は不要となります。しかし、上記の問いでは5条が焦点となっており、5条に該当する場合は許可を得なければなりません。

問3:法第3条第1項又は法第5条第1項の許可が必要な農地の売買について、これらの許可を受けずに売買契約を締結しても、その所有権の移転の効力は生じない。(平成28年 問22-3)

答:〇

解説:3条許可および5条許可が必要なケースにおいて、それらに対する許可を受けずに契約を締結した場合、契約は無効になります。したがって、所有権移転の効力が生じることはありません。

まとめ

今回は、農地法についてお伝えしました。

農地法では、当該行為が「権利移動」「転用」「転用目的権利移動」のどれに該当するのかを丁寧に押さえていくことが何よりも大切です。過去問を中心に演習を積み重ね、本試験までに知識を確固たるものにしていきましょう。

次回は「土地区画整理法」についてお伝えします。

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