こんにちは!
前回は宅建士の出題分野のうち、農地法についてお伝えしました。
法令上の制限の第5回目となる今回は、「土地区画整理法」について取り上げていきます。
では、さっそく一緒に見ていきましょう。
[stken1]この記事で学べること
土地区画整理法とは
そもそも道路が曲がっていたり、家を建てることが困難な土地では、それらを利用しようにも困ってしまいますよね。
そこで、今一つ使いにくい土地を整えて、使いやすくすることを「土地区画整理」と呼んでいます。
もし、土地区画整理工事を行いたいと考えているエリアに居住者がいる場合、工事が終わるまでの間は「仮換地」という、新たに設けられた臨時スペースを使うことになります。
そして土地区画整理後に新たに割り当てられる土地のことを「換地」、土地区画整理事業を行うための事業経費に充てる土地のことを「保留地」と呼ぶことも併せて押さえておきましょう。
施工者
土地区画整理事業の施工者は、次の4パターンに分けられます。
- 個人
- 土地区画整理組合
- 区画整理会社
- 地方公共団体・国土交通大臣など
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
個人
個人が施工者となる場合、1人で行うことはもちろん、数人で行うことも可能です。
土地区画整理組合
組合を設立する上では7人以上のメンバーを集める必要があり、設立に際しては知事の認可を得なければなりません。
また、組合の設立には一定数の同意も必要ですが、全員の同意は求められていません。知事の認可を得さえすれば、区画整理を行う土地の所有者や借地権者全員が組合員となります。
そのため、もし10人が居住する地域で1人だけ反対していたとしても、そこで組合を設立しさえすれば土地区画整理事業を進めることが可能です。
区画整理会社
依頼を受けた区画整理会社が街並みを作り変え、保留地を取得したうえで、そこに分譲マンション等を建設するケースを指します。
地方公共団体・国土交通大臣など
公的施工の場合、事業ごとに土地区画整理審議会がおかれます。
国土交通大臣は国の利害に重大な関係がある土地区画整理事業で災害が発生、その他特別な事情により急施を要すると認められるもの、または都道府県や市町村で施工することが著しく困難もしくは不適当である場合、自らが施行し、その他については指示を出すことができます。
土地区画整理事業の流れ
土地区画整理事業は、次のような流れで行われます。
そして、事業計画の公告があってから換地処分の公告があるまでの間、次に掲げる一定の行為をする場合は許可を得る必要があります。
建築行為の制限
- 土地の形質の変更
- 建築物その他の工作物の新築・改築・増築
- 5トン超の物件の設置
換地計画
換地計画とは、換地処分(土地の割り当て)を行うための計画のことを指します。
施工者は施工地域内の宅地について換地処分を行う場合、「換地計画」を作成しなければなりません。また、施工者が次に該当するときはその計画につき、都道府県知事の認可を受ける必要があります。
- 個人施工者
- 土地区画整理組合
- 区画整理会社
- 市町村または機構等
仮換地の指定
換地処分を行う前に、換地として仮の土地を指定します。
このことを「仮換地」といい、土地区画整理事業における工事を行う上で従前からその土地に住んでいる所有者に別の場所に移動してもらい、工事を円滑に進めることを目的としています。
土地の所有者は換地処分がなされる間まで、仮換地を使用・収益することが可能です。そして、仮換地の指定は、従前の所有者に対して位置や効力発生の日を通知することでなされます。
換地処分
換地処分とは、区画整理後の換地を従前の宅地の所有者に割り当てることを指します。
換地処分は、施工者が権利関係者に対して通知をすること行われます。また、国土交通大臣や都道府県知事は換地処分があった旨を公告しなければなりません。
そして、公告があった日の終了日と翌日において、主に次のような効力が生じます。
換地処分にかかる公告終了時
- 仮換地指定の効力が消滅する
- 建築行為等における制限が消滅する
- 換地を定めなかった従前の宅地に属していた権利が消滅する
- 事業の施行によって行使をする利益がなくなった地役権が消滅する
換地処分のかかる公告の翌日
- 換地が従前の宅地とみなされる
- 施工者が保留地を取得する
- 事業の施工にあたって設置された公共施設が、原則として所在する市町村の管理下に置かれる
換地処分にかかる登記について
換地処分にかかる登記においても、次のような決まりごとが存在します。
- 施工者は換地処分の公告がなされたあと、直ちにその旨を換地計画にかかる区域を管轄する登記所に通知しなければならない
- 施工者は事業が施工されたことで、施工地域内の土地や建物に変動があった場合には、遅滞なくその旨の登記を申請するか、または嘱託しなければなりません
- 上記の「1.」登記がなされない限り、施工地区内の土地および建物につき他の登記をすることができません。
まとめ
今回は、土地区画整理法についてお伝えしました。
言葉が難しく、なかなか苦手意識を抱きやすい分野ですが、要点を押さえて効率的に学習をすすめていきましょう。
次回は「不動産取得税」についてお伝えします。
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