全国賃貸住宅新聞

公開日:2012年5月28日

第41回 管理会社の悩み・・・

第41回 管理会社の悩み・・・
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仲介より管理の給与を高くしてシフトチェンジ

空き時間をつくらずに生産性を上げる

今回は、「管理会社の悩み」について、述べたいと思います。私は仕事上全国各地の管理会社を訪問します。管理戸数が多いところから少ない会社まで様々ですが、それぞれに課題を抱えています。そもそも賃貸管理会社というものは、大変多くの業務をこなしており、これらを完璧(かんぺき)に行うというのはそうそうできるものではない、というのが正直な感想です。今回は私のささやかな経験も踏まえて今回は管理会社の抱える問題点とその解決に向けた考え方について解説します。

表が「管理会社の悩みビッグ10」です。まず1は「『仲介』から『管理』へのシフトチェンジができない」、というものです。年々仲介店舗の集客は減ってきており、また賃料の下落もあって仲介手数料売上は減り続けている、このままではジリ貧だ。よって管理戸数を増やして安定収入を図らなくはいけない、「管理ビジネス」を推進したい、と皆が感じているのですが、なかなかうまくいきません。そもそも「仲介」と「管理」というのは、文化というか体質がかなり違うものなのです。経営者も、日銭が稼げる「仲介」を結構頼りにしていますし、会社では「花形」部門という位置づけです。その営業で良い成績を挙げている人を明日から「管理部門」へ、となるとなにか左遷でもされたかのような雰囲気があったりするのです。これは、経営者が「これからは管理だ」と明確にメッセージを発して、給与体系や会社の組織上も「管理部門」を「格上」にする必要があります。

2の「『仲介部門』が赤字体質だ」、についてですが、まず営業担当一人あたりの新規客は一日あたり何人でしょうか?たぶん0.8人とかではないかと思います。追客もいれて、一日に接客時間はせいぜい2時間程度、あとは物件の写真を撮りに行って、入力して、メールや電話の反響に応えて…あとは…? 一日2~3時間は余っていませんか?そうです、仲介営業担当は意外に「生産性が低い」のです。空いている時間に何をするか?決まっています。オーナーさんの所を訪問するのです。そこで、現在の賃貸市況や、最近の入居者の動向や嗜好(しこう)を説明し、またそれを踏まえてオーナーの物件の良い点と改善点を冷静に分析し、指摘する。そうして、リニューアル提案や企画プロデュースにつなげるのです。そういった「大人の会話」ができずして「営業」とは言えません。賃料ダウンの交渉だけがうまくでもダメなのです。

3の「業務フローが確立していない」、の解決には組織と業務を根本から見つめなおす必要があります。まず、各スタッフが行っている業務を棚おろしして、月に何時間、何%費やしているかを検証します。これは部門間でお互いにチェックし合うといいでしょう。それらを分析した上で、「業務フローミーティング」を行います。このなかで、省いていい無駄な動きや、ルールや責任の所在がはっきりしない業務、チェックする機能をもたす必要があることがら、またある特定の人や部門が集中して行うほうが合理的なこと等々がみえてきます。業務フローミーティングはじっくりやっていると結構時間がかかる作業なので、あまりアレコレ議論しないで、まずは試してみよう、くらいの気持ちで早く決断をしていくことをお勧めします。

アウトソーシングで役割分担を明確に

4の「管理戸数が増えない」のにも理由があります。そもそも、どういう管理をしていくかという社内のコンセンサスはありますか? 会社としての管理方針と明確な管理システムがあるのでしょうか? またそれらを説明する「管理システムを説明するパンフレット」がありますか? 意外に「管理内容を説明するパンフレット」を持っていない会社は多いのです。このパンフレットを作る作業も実は結構大変なことなのです。つまり、その前に「会社としての管理方針と管理システムを決定する」という作業があるからで、かつそれを反映した「管理契約書」がなければならないからです。やはり、「仲介」のほうが楽な作業なのです。そして、会社としての「ブランド化」つまり「差別化」といったものが欲しいです。他の管理会社とは一味違う管理をする、というものが欲しいところです。

5の「『現場管理担当』のモチベーションが低い」点ですが、現場管理のスタッフは、「退去精算」や「クレーム対応」「物件のメンテナンス」の仕事に追われています。毎月、解約があり、毎月クレームが発生します。その発生に受け身ばかりで応えているのです。もう少しこちらから「仕掛ける」仕事ができませんかね。もっと創造的な仕事というか、オーナーに空室対策としての「提案」の業務を少しでもする時間をつくれませんかね。
私は大いに言いたいことがあるのですが、現場仕事で、アルバイト・パートや他の業者に仕事を任せていいものはたくさんあると思いますよ。退去精算だってかなりの部分を業者へアウトソーシングできると思います。「社員」という肩書の人は、もっと「生産性が高く」なくてはいけないと思うのです。業者でもやれる仕事は業者に振って、自分はもっともうかるかつ大事な仕事をすべきでしょう。「入居者からの電話受け付け」を「社員」がする必要がありますか?「社員」はコストが高いのですから。

6の「『提案』ができていない」、ですが、これはどの管理会社も悩んでいることです。毎日、バタバタと忙しく動いていてああ、あのオーナーの物件の空室対策で「提案」がしたかったのに、今日も今月もできなかったなあ、という連続なのです。これの解決はまず、「提案専門の部署」をつくることです。そして、この部署には優秀なスタッフを持ってくるべきでしょう。

スキル・知識を上げるため勉強会・試験を設ける

7の「『組織のあり方』がわからない」、ですが、まず、「兼務」をなるべく排除することです。なるべく一つの業務に集中するほうが合理的です。ただ、その業務しか知らない人が生まれてしまうので、適度な人事異動は必要ですが。「管理受託の営業」と「クレーム対応」や、「出納業務」と「クレーム一次対応」は兼務させてはいけませんね。バックヤードの方に集中してもらったほうが効率がいいでしょう。

 8の「人材がいない、マネジャークラスがいない」、ですが、そう簡単に中小企業にすごい人材は現れません。今いるメンバーで頑張らなくてはいけないのは事実です。
つまり「育てる」ことが必要ですが、経営者だけではなく、先輩社員が後輩の面倒をみる、という文化を強くしていく必要があります。端的にいうともっと「叱る」必要がありますね。「その考え方は直したほうがいい」というようにもっと直接的に「改善点の指摘」をしなくてはいけません。注意をしない上司というのはそれは、無責任というものです。

9の「就労環境を良くしたい」ですが、夜の10時11時と遅くまで残業して、年間休日日数も100日を切っている会社が不動産会社には多いですね。思い切って休みを120日にしても意外に売上は変わらないはずです。そして、求人には必ず良い作用が現れます。

10の「スタッフのスキルや知識が低い」、ですが、勉強の場を設けましょう。たまには「試験」で評価してもいいのではないでしょうか?

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2012.05.28掲載)


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