中高年人材、評価明確化が重要
最近、われわれの業界では「採用」や「人事評価」について語られることが多くなった。
それは採用にはどこも苦労しているし、社員の評価方法でも悩んでいるからだ。
転職理由に懸念 高収入もネックに
表1リクルート(東京都千代田区)で東京都で賃貸管理の経験がある人が転職を希望している層を表している。なんと、70%が40代以上だ。
表2の大阪では「88%」が40代以上だ。私は、ちょっとびっくりした。我々は、できれば20代、30代の「若くて明るく元気な」人を採りたいと考えている。
しかし、転職市場にはそういう世代の人は1割強とか3割とかなのだ。
40代や50代では駄目なのだろうか?
たぶん、ある程度社会を経験していると、
「仕事のクセがついていてやりにくい」とか、
「この年で転職するということは、いまの会社で評価されていないのではないか、なにかまずいことがあったのではないか」とか、
「頑固になっていて、こちらのいうことを聞いてくれないのではないか」
とかいう懸念が頭をもたげるのではないかと思う。
また、年齢が高いと当然にある程度の年俸(年500万以上とか)を用意しなくてはならず、いったんそういう高い年俸を払って期待通りの人材でなかった場合に、どうするのか、年俸を下げるわけにはいかないだろうとか、いろんなことを考えてしまう。
よって、なかなか40代、50代以上の年齢層の採用には足踏みしてしまうものだ。
評価制度を細分化 実力で賃金を再考
この課題を解決する方法がある。
中高年の採用に踏み切れるのだ。
それは「評価制度の充実」によって可能となる。
求職者本人は、面接の場で「十分に現場の経験がある。
またマネジメントの経験もある」というだろう。
それをまず自己申告してもらう。
表3と表4は当社で使っている帳票だ。
これによって、ひとまずその人の「価値」を判断できる。そこから年俸を決める。
そして入社して、半年や1年経ったところで、その人の「真の実力」がわかってくることだろう。
自己申告はかなりオーバートークで、期待通りではなかった、ということもあるだろう。
現場の知識は不足しているし、部下からは不満が多く出る、というふうに。
また、意外に申告以上の働きをしてくれるということもあるだろう。
その結果、「実力に見合った年俸」に変更すればいいのだ。
当然、入社前にそのことを伝えた上で。当社の評価制度は、そもそもそういう仕組になっている。
給料が下がる、ということはそう頻繁にはないし、あっても少額だが、基本的には、半年間で挑戦する「ミッション」が各人に与えられ、その成果次第で次の半年の給与が決まる。
また「職務要件」が定められているから、たとえば、「主任」「係長」「課長」というステイタスごとに、出来なければいけない職務が決まっている。
課長になるには職務要件にある項目がクリアできなければ昇進できないのだ。
逆に課長になっても職務要件に沿った動きができなければ、降格もあり得る。
そういう評価システムが機能していれば、中高年でも採用できると思う。
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