全国賃貸住宅新聞

公開日:2024年4月8日

第177回 「人口減」という不都合な真実③

第177回 「人口減」という不都合な真実③
Scroll

賃貸の主要顧客30年で3割減

「現状維持は衰退」自覚すべき

今月も人口減問題を扱いたい。

 

「少子化」を防ぐために、連載第176回で女性の産休・育休を会社として積極的に取れるような雰囲気作りをすべきだと書き、また前回の連載第177回で、少子化の主たる原因は「未婚化」なので、もっと結婚するよう大人が仕向けるべきだと書いた。

 

しかし、いくらか今後の施策によって、少子化をある程度押えられるかもしれないが、残念ながら、この人口減の大きなトレンドはそう変えられるものではないだろう。

 

先進国のほとんどは人口減トレンドにある。現在1億2400万人程度の日本の人口が1億人を切るのはおそらく確実だろう。

 

そして、問題は実は高齢者は減らず、肝心な生産年齢人口(15歳〜64歳)、つまり「働き手であり消費する世代」がどんどん減ってしまうということである。

図表1を見てもらうと分かるが、生産年齢人口は、2050年で2020年の74%に、また2070年には、60%になってしまうというのだ。

 

高齢者が増えて「働く人」が減るのだから、社会保障負担の額はいまより増えることになるだろう。

 

税金も増えるだろう。

 

65歳以上の人の医療費は65歳未満の人の4倍らしい(厚労省)。

 

「このままでいくと」今後の日本人は貧乏になるということだ。

 

よって、結論からいうと「一人当たりの労働生産性」を上げなければいけない。もっと儲けなくてはいけない。

 

そのことによって社員の給料を上げていかなければならないのだ。

また、我々のビジネスのメインターゲットは、20歳から34歳程度までかと思うが、その年代だけ抽出して作ったのが図表2だ。

 

2020年から2050年に向けての減少率を計算してみた。

 

かなりショッキングな予測データではないだろうか。

 

全国平均で72.5%になってしまうというのだ。

 

主な都道府県だけにしたので、該当しない方は、国立社会保障・人口問題研究所のデータをネットで参照していただきたい。

 

市町村ごとの詳細な予測データが存在する。

 

東京都は、「全体の人口」そのものは、あと20数年くらいは減らないことになっている(3%増の予測/国立社会保障・人口問題研究所)。

 

しかし、それは「高齢者の増加」が「支えて」いるのだ。

 

東京都でも、20歳〜34歳までの人口は、2020年から2050年で90.5%になるという推計が出ている。

 

2050年頃の東京都の賃貸住宅の供給量が仮にいまと同じだとしたら、単純に約10%稼働率が落ちるという計算となる。

 

稼働率10%ダウンはかなりの痛手ではないか。

 

他の地方はそれどころではない。

 

全国平均で約30%減るのだから。

 

賃貸仲介手数料が主たる売上であれば、売上が30%減るということだ。

 

稼働率10%ダウンとか30%ダウンとか言っているが、実際には高稼働を維持するものと低稼働のものとに2極化するのだろう。

 

この連載でずっと言ってきたように「稼げる物件」に仕立てるために「オーナーへの提案」を積極的に行わなくてはいけない。

 

設備・仕様の追加・バージョンアップ、間取り変更や外観の美化等のリノベーションを提案しなくてはいけない。

 

賃貸管理会社は管理戸数が多ければいいものではない、「入居者が決まる物件」の戸数の多さがポイントなのだ。

 

そして、提案すれば新たな工事売上が立つことになる。また、「コンパクトシティ化」もやがて各地で推進されるだろう。

 

郊外に広がった生活機能を街の中心部に集中させる構想だ。

 

郊外に残るのは、農地だけかもしれない。今のうちにクライアントに対して、郊外の不動産を処分して街中のものに買い替える提案をしてみよう。

 

そして、物件と同じように不動産会社も淘汰されるのだろう。

 

いま宅建業者は12万者いるらしいが、半分以下になるのではないか。

 

廃業、倒産、売却等が進むだろう。

 

今後、市場が小さくなるわけだから、いまのままのビジネスモデルでは立ち行かなくなる。

 

「現状維持は衰退を意味する」のだ。

 

よって、売上をどう増加させるかを考えなければいけない。

 

また、他の分野に打って出るか、これまでとは異なる商品を開発するなどの工夫も必要になるだろう。

 

現業の不動産業とは違う業態かもしれないし、我々得意の不動産業の周辺の商売かもしれない。

 

とにかく、売上を上げて利益額を確保しなくてはいけない。

 

では、一人当たりの労働生産性を上げるためにはどうしたらいいのだろうか。

 

それは、①安売りをしないで質を高める、値下げ競争をしない、②イノベーションに取り組む、③挑戦、実行をする、である。

 

値下げすれば、売上と利益は減るのは自明だ。

 

仕事の質を高めて値段を上げたいものだ。

 

「イノベーション」とは新しい切り口、新たな考え方を取り入れて新たな価値を生み出すこと。

 

これまでにないサービスや、今はまだ存在していない新たな商品などを生み出すことである。

 

いまより高い単価の取れる商品や仕組みを開発するのだ。

経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは「企業家の行う不断のイノベーションが経済を発展させる」と説いた。

 

そして、イノベーションへの「挑戦」「実行」が必要だ。コンサバ(保守的)になっていてはいけない。

 

私の会社も頑張りたいと思う。

 

貧乏にならないために。

 


初回相談無料

ゴリラの顔相談してみるバナナ

この一歩から、未来を変える方法が見つかります

現状を変えたいけれど、
取り組むべき課題がわからない。
そんな時もぜひご相談ください。
オーナーズエージェントが貴社と一緒に、
課題を見つけ出し具体的な解決法を考えます。

メルマガ登録

無料セミナー情報や事例などをお知らせします

ゴリラ メルマガ登録する