全国賃貸住宅新聞

公開日:2012年8月27日

第44回 賃貸管理会社の組織論2【組織作り】

第44回 賃貸管理会社の組織論2【組織作り】
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効率よく売上を伸ばす管理会社の組織作り

労働生産性を向上させる理想の人事

皆さん、管理会社として「空室対策提案」を積極的に行えて、かつ「管理受託戸数」が毎年順調に増え続け、「社員の年収」が業界水準より高く、「残業時間」も少なく、「年間休日」を120日程もいただいて、「有給休暇」もしっかり消化し、そして「楽しく仕事ができて」、社員旅行は毎年全員で「海外」に行く!
 そのような会社でありたくはありませんか?私自身の会社もまだそこまでいっていませんが(笑)、必ずそのような会社をつくりたいと思っています。私も皆さんと同じように賃貸の管理会社に勤務し、私の場合は経営者ですが、いかに効率良く売上が上がるかを日々考え続けています。その答えは社員一人あたりの「労働生産性を上げる」ということに他なりません。今回も前回に引き続き、「管理会社の組織論」についてお話したいとおもいます。

ポイントを抑え業務の効率化をはかる

「管理会社の組織づくりのポイント」(図2)を5つ上げてみました。まず、前回にもお話したように「基幹業務(図1)の非兼務化」が重要です。あれもこれも欲張ってはいけません。一つの仕事に集中すべきです。中途半端な仕事になってしまうからです。2の「分業化と業務フローの明確化」ですが、まず「リーシング部門(図3)」を見てみましょう。

このように業務別に4つに分けられるとおもいます。1の主に図面を作成する係り、2の空室物件の問い合わせ(電話・メール)対応、3の仲介そのものの営業担当ですが、自社店舗があるなら接客や案内・クロージングを、他者にも決めてもらっているのなら他の仲介業者への営業もする必要があります。4は、入居者からの申込・審査・計算書作成・契約書の作成と契約行為です。これらはまた、1、2、4の「営業事務系」と3の「営業そのもの系」に大きく2つに分けることができます。3の「営業そのもの系」は接客や業者への訪問営業に専念し、「営業担当」としてその成績を追求するという形にします。その体制をつくるためには主に内勤となる「営業事務系」がその業務をバックアップするのです。

会社の規模や特性によって違ってはきますが、1、2、4をそれぞれ別のスタッフが担当するのがベストでしょう。それほどまでに、「分業」することによって業務の効率がよくなるのです。「営業事務系」はそれこそ全員が正社員でなくても対応できるでしょう。これでコストが下がります。問題は3の営業担当です。営業担当というのは、「売上を作る」最前線の人材です。「接客して仲介」や「業者訪問」はもちろん、クライアントである「オーナーとの面談」に最大の力を発揮して欲しいのです。「事務仕事」をすべきではありません。オーナーと面談をして、現在の賃貸市況を語り、入居者ニーズを説明し、所有物件の良い点と改善点を指摘して、「空室対策提案」をするのが、一番大事な仕事と言っていいでしょう。

ハードが絡む提案であれば、「現場管理部門」等の担当に「トス上げ」をして繋げていくことになります。また、管理物件でないオーナーとの折衝を通して、「管理受託営業」もできるでしょう。これも「管理受託営業部門」に「トス上げ」をしていきます。ここが肝心です。オーナーとの面談を積極的にしなくてはいけないのですが、あくまで「仲介営業担当」なのですから「最初の取っ掛かり役」までで止めて、そのあとは専門の部門に引き継ぎます。深く関わってしまえば、結局「兼務」することになってしまうのです。

部門の特性を見極めた人員配置

 「現場管理部門(図4)」は業務的に4つに分かれます。1の「内装リフォーム」は入居者退去後、迅速に完了することが求められます。それが、空室期間短縮に直結するからです。2の「クレーム対応」は設備系の「②ハードクレーム」とそれ以外の例えば隣の部屋の騒音がひどいとかの「③ソフトクレーム」に大別されます。ここで、①の「入居者一次受け」ですが、これに結構時間を取られてしまうことが多いということを忘れてはいけません。入居者につかまって外に出られない、ということが起こるのです。ここは分業(アウトソーシングも可)することをお勧めします。3は「建物メンテナンス・定期点検・巡回」です。そこで、先ほどの「リーシング部門」と違って、私は2の①以外は、分業化せず、同じ担当が行ったほうがいいと思っています。ここは、「エリア」や「物件特性」等で分けて、物件担当制を敷くと良いでしょう。「物件特性」とは、大規模物件はベテラン社員に任す、などです。なぜかというと、実は現場管理部門はオーナーとの接触が一番多い部署だからです。それぞれの業務でオーナーと話すことが多いのです。よって、その中から総合的に「空室対策提案」をする機会が生まれるのです。
 また、ここでも、本格的な「リノベーション提案」をしていってしまうと本業がおろそかになる恐れがあります。よって、ここでも、「トス上げ」までで止めて、図1の「基幹業務」には入っていませんが、別途創設する「提案・コンサルティング」部門に繋ぐというやり方が良いと思っています。この部署は毎日「提案」ばかりする部署なのです。

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2012.08.25掲載)


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