全国賃貸住宅新聞

公開日:2013年6月24日

第54回 入居者ニーズ調査より

第54回 入居者ニーズ調査より
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7割のユーザーがカスタマイズ賃貸に注目

首都圏の入居者1137名を対象にしたデータ公開

「21C.住環境研究会」と「SUUMO((株)リクルート住まいカンパニー)」との共同で行った「第6回入居者ニーズと意識調査2012―2013」の中から注目すべき結果を解説したいと思います。この調査は、首都圏の入居者1137名に60もの問いに答えていただくもので、1997年から3年ごとに行っているものです。調査対象数の多さと質問内容の充実度で、他を圧倒していると自負しています。
 これらのアンケート結果を用いて、オーナーへの空室対策提案を進めると良いかと思います。
 まず、「カスタマイズ・セレクトの選考」です。これは、壁紙を変えたり、棚板を付けたり収納スペースを付け加えたりして、自分にとって住みやすく変更できる部屋について聞いています。全体の約7割の人が「やってみたい」と答えています。結構、皆さん興味があるのですね。そして、約2割の人は、初期費用や家賃の値上がり等の「金銭負担があったとしてもやってみたい」と答えています。2割もいるとは意外でした。賃貸住宅を自分好みに変えることができるという貸し方は、今の若い人には、支持されるようです。

そして、表2では、カスタマイズ・セレクトが可能であれば、その部屋に長く住もうと思いますか、と問うています。結果、約半分の人がその部屋に「長く住もうと思う」と回答しました。そして、次にその「長く住もうと思う」と答えた人に対して、その部屋に何年住もうと思うのかを併せて聞いたところ(表3)、ひとり暮らしで6.8年、ファミリーで8.1年という結果(平均7.2年)でした。「いつも通りの居住期間とかわらない」とした人が、それぞれ3.8年、3.9年で(平均3.8年)あったことから考えると、7.2年÷3.8年=1.9倍で、約2倍近く長く住むつもりと答えています。全体の平均で考えると、(3.8年+7.2年)÷2=5.5年、5.5年÷3.8年=約1.5年となり、約50%程度、居住年数が伸びる可能性があることになりました。それなら、オーナーとしても、少々、金銭負担をしてもカスタマイズ・セレクトの部屋を提供してみてもいいですね。これは結構「使える」データではないでしょうか。ちなみに、「いつも通りの居住期間」の平均である3.8年はほぼ妥当な数字だと思います。

表4ですが、これは直前の問いで「お部屋を選ぶ際、その物件の管理状況を重視していますか」と聞いているのですが、約6割の人は「重視している」と答え、7割の人は「確認している」と答えています。そして、その「確認している」と答えた方に、「どのようなところを確認されましたか」と問うたものです。その結果、1番が「ゴミ置き場」、2番が「玄関、廊下の汚れ」、3番が「共用部の傷み具合」、4、5番が「郵便受けの状況」、「外観の傷み具合」となっています。これらの「見た目」を部屋探しのときに、入居者はしっかり確認しているわけです。私も「ゴミ置き場」は極めて重要だと思っています。「分譲マンション」と「賃貸マンション」の違いは、「ゴミ置き場」です。賃貸住宅のゴミスペースは、あまり気を使っているものが少ないですね。実は、入居者は内心不満に思っているのです。コンクリートブロック3段積みで、単純にコの字型にしてあるものがよくありますが、大体、いつも分別されていないゴミが放置されていたりしますね。

表5ですが、これは、悩ましい質問です。18平米くらいの1Kタイプの間取りで、(A)「バス・トイレ一緒のタイプ」がいいか、(B)バスタブは無くなるが、「トイレとシャワーブース別のタイプ」がいいか、という選択問題です。一人暮らしの人に聞いた結果は、男性は6割近くが(B)がいいと答え、女性はその逆で(A)がいいといった感じです。大雑把にいうと半々ということになるのですが、私は個人的には、この場合、(B)タイプを選択します。やはり、バス・トイレ一緒は「欠点のある間取り」になります。あとは、シャワーブースをいかにおしゃれに作るかのデザインが鍵ではないかと思っています。皆さんはどう考えますか?

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2013.06.24掲載)


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