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第63回 ~仕事を仕組み化する~ マニュアルを作ろう

2014.03.24
  • 全国賃貸住宅新聞

    標準的な作業工程の学習で無駄な残業削減

    管理会社に問われる業務フローの改善

    賃貸管理会社の業務は多岐にわたっています。基幹業務として「リーシング」「現場管理」「出納(集送金)」そして「管理受託営業」があり、4つの会社を同時に経営しているようなもの、といって過言ではありません。
    私は仕事柄いろいろな管理会社さんを見ていますが、はたして1万戸以上も管理をしている大きな会社だから業務フローが完璧かというと、意外にそうでもありません。スタッフの方は毎日、目の前に現れる仕事に追われてバタバタしていて、休日は少ないは残業も多いはで大変疲れています。そして、オーナーに対して空室対策としてのリニューアル提案など、やらなくてはいけないことがたまっているのはわかっているのだけれど、そこまでたどり着けないというパターンなのです。
    「業務フローの改善」をして「労働生産性を高めたい」。誰しもがそう考えていますが、なかなか難しいものですね。私の会社もエラそうなことはいえません。「業務フローの改善」のための会議をすると、あっという間に3時間が過ぎてしまうことがあります。そして、明確な結論は遂に出ず、というようなことはありませんか。皆が好き勝手なことをいっていて意見がまとまらない、というようなことも。

    仕事を文字化し、マニュアル作成

    これらを解決するために必要なことは、「業務マニュアルを作る」という発想です。つまり、業務フローを文字情報にきちんと落として、ひとつの「成果物」にするということです。
    プロジェクトリーダーを決めて、責任を持って作成してもらいましょう。もちろん一人でやるという意味でなく、部署のメンバー皆でミーティングをしながら行い、部分的に各自担当を付けて作り込みをするのです。
    プロジェクトリーダーというのは、「とりまとめの責任者」を決めておくということです。また、明確な「納期(デッドライン)」を定めておきましょう。
    ちなみに、仕事がうまくいく秘訣に「締め切りを守る」ということがあります。多くのスタッフは締め切りを守りません。上司からいついつまでにこれをやっておいて、と指示しているのに、それを必ず守るという意識が薄いのです。
    また命じた上司にもそれを何が何でも守らせるという意識が希薄な場合があります。良い結果を出したいので、もう少し待ってください、あと少しで完成です。と言われると、まあ良いよ、完成させてね。などと言ってぼやぼやしているうちに納期から2ヶ月経ってしまった、ということがよくあります。そもそもどんな指示をしたか、を忘れてしまう場合もありますね。私もあります(笑)。必ずノートに記入したり、議事録をチェックしましょう。
    完璧を求めず、まずは7割の出来で良いと割り切って、とにかく「いったん完成させる」、とくかくそれなりの「形にする」ことが大事です。いったん完成させれば、その後の展開は早くなります。成果物を皆にお披露目できるので、改良にすぐ着手することができます。いったん出来上がったものを改良するアイデアは皆からいくらでも出てきます。
    なんでもそうですが、モノを作る時には、「0」から始めることが一番大変なのです。「無から有を産む」作業が一番骨が折れます。ですから7割も完成してくれれば御の字なのです。納期を守ったことを最大限褒めてあげましょう。

    9つのメリットで労働生産性を向上

    さて、「マニュアル」というと、ネガティブなイメージを持たれる方も多いと思います。マニュアルを使うと、決められたこと以外の業務ができなくなる、受け身の人間を生み出してしまう、という指摘です。
    「マニュアル人間」というと融通がきかない人のことです。しかし、マニュアルを作成することは、そんな人間を生み出すためにするのではありません。マニュアルを作ることには、とても大きなメリットがあります。表にそれをまとめました。

    まず、①作成過程で業務を体系的に把握し、検証することができます。それは、マニュアルに依存する人を作るのではなく、「マニュアルを作る人」を作ることができるのです。自分たちの業務を分析して、体系的にまとめていく過程で、もっとこうしたほうがいいのではないか、という改善提案も必ず生まれます。

    ②ノウハウや情報を皆で共有できます。一人の頭の中にあるノウハウ・知恵を他のスタッフに共有できるのです。

    同じように、③担当者がいなくなっても、一からやり直すことがありません。彼、彼女に辞められたら、今まで培ってきたノウハウが消えてしまう、というのでは組織でありません。これは絶対に防ぐべきです。

    ④は、新人を指導しやすくなる、新人を早く一人前にすることができます。新人が入社したら、先輩の仕事ぶりを見て自分で覚えろ、などと言っている場合ではありません。まず、マニュアルを基に座学で勉強すべきです。そのほうがすっと早く一人前になれます。

    ⑤は、業務の「標準」が決まり、対応のブレがなくなります。基準となる作業が決まっていないものが、その後の応用ができるはずもありません。まず基礎となる作業工程を定めるべきです。無秩序な創意工夫は混乱を招くだけです。同じように、

    ⑥「標準」が決まれば、「イレギュラー対応」がわかります。標準が決まっていないと、いまやっていることが「イレギュラー」なことだという自覚のないままに行ってしまいます。効率の悪いことになってしまいかねません。

    ⑦は、会社の方針・方向性をそろえられるという意義があります。マニュアルが無ければ、それぞれが勝手な判断をして、対応にブレが生じます。「会社の理念」を意識するためにも必要なのです。

    ⑧は、仕事を「仕組み化」できるという利点があります。そもそも仕事というものは、「仕組み化」することが肝要です。自分だからできた、私の個人的なセンスが仕事をうまく運んでいる、と誰しもが思いたいものですが、実際にはその効果は2割程度です。8割はマニュアルで対応できます。属人的な組織は衰退します。個人の経験の勘に頼る組織は弱い組織です。「仕事ができる人」というのは、「仕事を仕組み化できる人」のことです。

    ⑨無駄な残業を無くし、労働生産性をあげるために、マニュアルは存在します。

     最後に、マニュアルは「基礎的なことも含めて、誰にもわかりやすく、具体的」でなくてはなりません。「これぐらいのこと、言わなくてもわかっているだろう」と勝手に思い込んではいけません。新人にもわかるよう丁寧に書くべきです。

    このようにして、残業が少なく、年間休日が多く、給与・賞与の高い会社にしませんか!当然、そういう会社で皆、働きたいのです。そのような会社を作りましょうよ。

    (筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2014.03.24掲載)

    • 藤澤 雅義(Mark藤澤)
      オーナーズエージェント および アートアベニュー 代表取締役社長
      プロフィール:

      オーナーズエージェント株式会社 代表取締役社長であると同時に、
      賃貸管理会社 株式会社アートアベニューの代表取締役社長を務める。

      しかし、本人は「社長!」と呼ばれるのがあまり好きでないとのことで、
      社内での呼ばれ方は「マーク」または「マークさん」。

      あたらしいものが好きで、良いと思ったものは積極的にどんどん取り入れる一方、
      日本の伝統に基づくものも大好きで、落語(特に立川志の輔一門)や相撲(特に豊ノ島・時津風部屋)を応援している。

      「現場」で運用の実務にあたっているものが、一番不動産のことを理解し、
      的確な投資分析及びオーナーの収益に貢献をすることができ、
      また、仲介手数料収入に依存する仲介業者ではなく、安定収入のあるPM会社こそが、
      クライアントの側にたって本当のアドバイスができる、が持論。

      著作に、
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