資格取得、読書、セミナーで常に知識を広げる
この連載を読んでいる方は、比較的意識が高く、おそらく会社内でもリーダー的な存在の方もしくは将来リーダーに成りうる方であると思われます。しかし、ともすれば仕事に忙しく勉強する時間がない、という方も多いのではないでしょうか?これは大変マイナスです。私も一時期そういう時がありました。仕事に目一杯で他に時間など作れなかったのです。しかし、 思えば「作れなかった」のではなく、「作ろうとしなかった」というのが正解であると思います。ビジネスマンは勉強をする時間を取らなくなったらおしまいです。
「勉強をする」とはどういうことでしょうか?「仕事に役立つ情報を得る」ということですね。「インプット」とも表現されます。「インプット」とは「知識を得る、体験する」という意味で、「アウトプット」は「成果・実績」のことです。「学習したり体験したりした情報を基に、より良い成果・実績を作る」ことが求められています。インプットが多い人ほど、成果・実績を上げることができるでしょう。インプットはけして「座学」だけを指しているのではありません。たとえば、勉強会の後の懇親会での何気ない参加者の方との雑談からの情報も意外に大事なのです。「情報」というものは、何も書物からだけしか得られないのではありません。「口コミ」というのも重要なのです。といいますか、「口コミ」情報を基に実は人は多くの判断をすると言われています。信頼できる業界仲間からの生の情報は何ものにも代え難いものです。
表1をご覧ください。インプットの種類としては、まず、「資格の取得」は基本ですね。別途、「賃貸管理を行うものが取得すべき資格」をあげました(表2)。
第一位は「宅建」。結構、取得していない人が業界には多いのですね。この業界にいて「宅建」を持っていないということは、「無免許運転」で公道を走っているのと同じことでしょう。「宅建」くらい取りましょうよ。まあ300〜400時間くらいかけて勉強をしなくてはなりませんから、簡単ではありませんが。言っておきますが、学歴は関係ないですよ。要は「やる気」の問題です。ちなみに、弊社では男性は9割持っています。持っていないと恥ずかしい、という雰囲気ですね。女性は2割しかないのが問題ですが。「宅建」なんか持っていなくても仕事には関係ない、と思っている方、あなたは間違っています。自分の知識の底が浅いのに気づいていない。視野が狭いのですね。
第二位は、「賃貸不動産経営管理士」。昨年から年1回の統一試験になりました。これからは、年々重要な資格と認知され、難易度もあがっていくことでしょう。将来、「賃貸住宅管理業法」なるものができるとしたら、この「賃貸不動産経営管理士」は、「宅地建物取引業法」における「宅地建物取引主任者」のような地位となるのでしょう。賃貸管理業を行う際には、規模に応じて一定の資格者が必要となる可能性がありますね。そもそも賃貸管理業務は宅建業より範囲が広く多岐に渡っているのですから、勉強しなくてはいけないことが山ほどありますね。この資格も必須です。
次に、CPM(Certified Property Manager/米国不動産経営管理士)です。耳慣れない方も多いかとおもいます。日本ではまだ400人程度しか資格者がいません。しかし、世界ではアメリカを中心に約1万人の資格者がいます。アメリカではCPMのいる管理会社に管理を任せるという文化があります。現在、賃貸管理の資格としては一番充実していると思います。是非、トライしてみてください。ファイナンルシャル・プランナーも取得の意義があると思います。資産全体のことを大まかではありますが、把握できますので、視野が広がります。我々のクライアントは比較的、資産家の方当然多いですね。そういう方と対話する際に基礎的な知識を得るものとして、ファイナンシャル・プランナーは有用ですね。
「資格の取得」以外にも、まず、当たり前ですが、「読書」が大事です。本を一冊も読まないビジネスマンは信用されませんよね。「本ほど安いものはない」とも言われます。自分のことで恐縮ですが、2年前に「賃貸経営マイスター(住宅新報社)」をいう700ページを超える本を出しました。執筆に1年かかり、自分が培ってきたノウハウを全公開したものです。それが価格5000円なのです。本で5000円というのは高い部類でしょうが、書いた本人としては、このノウハウがたった5000円で読者は手に入るのか、と思ってしまうのです。お得だなあ、と。どんな本でも読めばかならず役に立つところがあるものです。1500円とかで、そのノウハウが手に入り自分の業務に役立てることができるのなら、本当に安い買い物です。読書の習慣は付けるべきです。「できる人」はやたら本を買いますし、読んでいます。サラリーマンであっても、たとえば月に1万〜2万円の本代は、けして無駄ではないでしょう。
セミナーの参加も有用です。講師から実体験を交えた活きたノウハウの話を生で直接聞けるのですから。講演のあと、講師と名刺交換がてら質問をすることもできます。弊社では、いろいろなセミナーにスタッフが行くことを奨励しています。業界内のもの、業界に関わらず一般的なもの含めて。そして、セミナーを受講したら、その内容をまとめて今度は会社のスタッフにこのような内容でしたと説明をするために、自分が講師役をやるのです。知識は「人に話す」ことで定着しますし、後で自分がプレゼンをしなければいけないという緊張感で受講することは、大変身になりますし、良いシステムだと思っています。「ロールプレイング」は営業担当にとっては基本中の基本の演習ですが、たとえば事務方であってもクライアントにまた社内のスタッフにどう説明するか等、大変練習になるものです。そのスタッフが実際にどう説明しているのかが、如実にわかってしまいます。説明が下手、プレゼンが下手では話になりません。
また、冒頭にもいいましたが、懇親会(飲み会)やちょっとした交流会での雑談の中にもいろいろなヒントや情報が落ちています。これをバカにしてはいけません。人脈を作るという意味においても重要です。何かわからないことや、意見を求めたいときに、そのときに知り合った方に後から電話で聞けるではないですか。また、「業界外」との交流も大事にしたいものです。いつも業界内の同じメンバーで会っていては駄目です。他業界では何が起きているのか、情報を集めましょう、意見交換をしましょう。特に最近は変化が激しいので注意が必要なのです。
(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2014.06.23掲載)