全国賃貸住宅新聞

公開日:2014年7月28日

第67回 労働生産性を上げるための7つの要素

第67回 労働生産性を上げるための7つの要素
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Web上で進捗状況共有し工事業務を効率化

賃貸管理会社は業務が多岐に渡っています。やることが大変多いのです。「リーシング」に「現場対応」、「出納業務」に「管理受託営業」と大きく4つの基幹業務があります。よって、いつも目の前の業務に追われてバタバタしていて、残業も多く休みが少ない業種です。本当は「空室対策」などについて、もっとオーナーに対して「提案」をしていきたいと思ってはいるのですが、なかなかその余裕がない。そして、経営的にはそこそこ安定はしているが、そんなに大きく儲かりもしない。管理戸数が増えると其の分、売り上げも上がりますが、スタッフの人数も必要になって、結局人件費が上がって利益が増えるわけではない、といったところです。全国の賃貸管理会社の実態はおおかれ少なかれこんな感じかもしれません。

 

以前の連載でも触れたように、もっと残業を減らして休日を増やして「ワークライフバランス」を追求したいものです。それが実現すると、もっと「格好いい業界」として就活生にも受け入れられるのではないでしょうか?まだまだ不動産業界は、「ブラック業界」のイメージがつきまといます。

 

さて、そのためには何をしたらよいのでしょうか?そうです、一人あたりの労働生産性を上げるのです。もっと効率よく儲けるのです。そのためには、まず①「業務フローの改善」に着手します。各部署で業務フローを見直す会議をしましょう。各自がどのような業務をどういう順番で行っているかをそれぞれ発表します(業務の棚卸し)。そのなかで、「それは無駄ではないか」「その業務はカットしてもよいのでは」「二重に○○しているのではないか」「そこには時間をかけないでいいのでは」「この業務を合理化するためにこうしよう」「このシステムがあればもっと早くできる」「こういうルールを皆で徹底しよう」「業務をもっと分業化して、専門の担当をつけよう」というような発言が出てくればしめたものです。この会議には結構時間がかかるものなのですが、頑張って行いましょう。きっと良い成果がでます。

次に②「組織のあり方」ですが、これは「組織図の見直し」のことです。はたして現在の組織形態でいいのかどうか、議論すべきです。基幹業務が兼任されていませんか?つまり冒頭の4つの業務を、兼ねている人はいませんか?そして、「提案」があまりできていないのであれば、「提案」専門の部署をつくるといいですね。「提案」に専念するのですから、「提案」が進みます。

 

③は「アウトソーシングの活用」です。「内製化」すべきか、「アウトソーシング」すべきかという問題は、昔からよく議論になるテーマです。しかし私の判断基準は明確です。「外部の人にできるものは外部に任せるべき」だと思っています。それは逆説的に「他の人ができないこと、社員しかできないスキルは何か、はたしてそれを持っているのか」という厳しい事実を突き付けます。誰でもできることしかやっていないなら、「社員」またその「会社」の存在意義はあるのか、ということになります。この世にあなた(会社)という存在は特になくてもどうってことはない、いなくなっても特に困らない、などと言われたらそれは最高の侮辱であり、ショックな言葉です。

 

そうならないように、他の人には簡単にできない「何か」を「スキル」を作っていかなくてはいけません。その「何か」は通常「コア業務」と呼ばれます。それは「会社にとって最も重要なもので、他との差別化を図るもの」、つまり「儲けの源泉」のことです。そこに会社に資源(人・モノ・金・情報)を「集中」すべきなのです。それを実現するために「アウトソーシング」はあります。「アウトソーシング」をしない理由によく上げられるのが、「内製化するよりコストがかかる」、「他に任せると社内の人材が育たない」、「ノウハウが社内に蓄積されない」、「外のスタッフではサービスの内容が悪いので、やはり内部の責任感があるものがやったほうがいい」、「社内でやったほうが早い、業務フローを変えるのが面倒」といったものです。これらはいずれも判断に誤りがあります。

 

コストの問題は、浮いた時間をどれだけもっと「儲ける仕事」に振り向けられるか、ということにかかっていますし、他に任せて社内の人材は立派に育ちます。やり方次第です。ノウハウは外部のものからも吸収できます。また、外部のもののサービスのレベルを監督するのが社員の役割ではないでしょうか?業務フローを変更するのに確かにいったんはパワーがかかります。しかし、そのあとは時間がかなり空くのです。すべては、「一人当たりの労働生産性を上げる」という大事な命題を強列に意識すれば判断できるはずです。

ここのところは管理会社の経営者はもっと考えないといけないと思います。私はこの賃貸管理ビジネスの仕事をもう20数年やってきて思うのは、こんな多岐に渡る業務を全部自分の社員でできるわけがない、ということです。

 

④の「業務マニュアルの作成」は以前述べましたので、詳しくはいいませんが、これは出来た後の成果もさることながら、作る過程にとても意味があるのです。業務を「体系化」して、「言語化」することによって、皆がいろいろなことに気づくのです。これはこうしたほうがいい、ということに。

 

⑤の「IT(Web)化、システム化」はまだまだやりようがあるでしょうね。基幹システムを入れているところは多いと思いますが、日本のシステムはまだまだ不完全なものが多いと思います。それこそ、「全ての業務」を一本のシステムでできるようになりたいものです。それは理想ですが、システム化すると業務効率が上がるものはまだまだあるでしょう。たとえば弊社では、リフォーム工事の進捗をWebで管理しています。弊社の担当とベンダー担当はWeb上でお互いの業務と進捗を確認できます。「解約が発生」するとベンダーにすぐメールが飛ぶ仕組みです。PCが使えない、FAXしかできない、というベンダーさんがたまにいますが、そろそろ「未開の地」に移住したほうがいいのでは(笑)。

 

営業進捗管理もSFA(Sales Force Automation)、つまり営業支援システムのことですが、これは有要ですし、その発展系として顧客管理としての、CRM(Customer Relationship Management)の発想も重要です。管理戸数が多くなればなるほど、人の頭の記憶に頼ってはいられませんし、最近はクラウドによって、誰でもどこでも情報に接することができるようになったことは大きな進歩です。

 

⑥の「機械の活用」ですが、たとえば弊社では「契印機」というものを購入して随分契約書作成の時間短縮ができました。一度に何枚もの紙に穴文字・記号を打ち抜くことで、契印・割り印の役割を果たすものです。それまでは、数枚の契約書をホチキスで綴じてから、袋とじ製本をして、割り印をするという作業に数分かかっていたのですが、「契印機」ではなんと「数秒」で完成です。 

 

⑦の「ベンダーの組織化」は以前解説しましたが、数が集まると大量発注ができて、それはベンダーにとっては嬉しいことなのです。

とにかく、「徹底的に合理化する」という意識が必要です。それが利益を産むことになるのです。

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2014.07.28掲載)


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