全国賃貸住宅新聞

公開日:2015年4月13日

第75回 労働生産性を上げるために-5

第75回 労働生産性を上げるために-5
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グループウェアで複数名のスケジュール管理にも対応

アプリ活用でメモの見返しが瞬時に可能

メモを取るということ

昨年、4回にわたって「労働生産性を上げるために」という原稿を書いたが、今回はその続編である。メモ・ノートの取り方について検証したい。

 

そもそもなぜメモを取るのか?まず、それはメモを取らないと忘れてしまうからだ。メモは大事な情報の記録をとって、あとで見返し整理、分析、実行などをするためにある。人の記憶力はあてにならない。書きっぱなしで一回も見返すことのないメモも存在する。これではもったいない。メモは後で必ず読み返すこと。忘れていた情報やアイデアを再認識することができる。早い時期に情報に再度触れて、つまり「復習をする」と記憶の定着率が高まるのだ。

 

また、メモを取ることの意義として、「書くこと」そのものに意味がある。思いついたことや気になったこと、人から聞いた話を、自分なりの文字に起こしていく、そのことによって、頭の中が整理されていく。そして、たとえば思いつくままに連想ゲームのように、言葉や単語を書き連ねていくことによって、新たな気づきや発見があるものだ。

 

さて、人はどういう時に、どういうメモを取るのだろうか。人との面談中に、会議中に議事録を、移動中にふとアイデアを思いついて、何かを企画するときに考えをまとめるために、読書中に要点をまとめるために、Action Listを作ってやらねばならないことを確認する時、スケジュールを変更や確認するとき、タクシーに乗っているときに運転手から聞いた地元情報を、原稿を書く前にネタをピックアップする、等々いろいろな場面でメモを取る。こうしてみると、私は用途別にほぼ4種類のメモに分類できるのではないかと考えている(表1)。

Ⅰは、2〜3行で済むような簡単な内容をメモしたいとき。ちょっとしたアイデア等を書き留めるのなら、「小さな手帳」が携帯性も高くすぐに取り出せるので良いだろう。小さい名刺サイズ大のカードをいつも携帯している人もいる。Ⅱは、しっかり文字を使いたいときは、「大きめの手帳」や「ノート」を使うことになる。私もモレスキンとか、A5サイズのノートを使ってきた。ⅢのAction List。これは別途管理したほうがいいと私は思っている。仕事をする上で欠かせないものだとおもう。Ⅳのスケジュール管理も当然重要なもので、手帳の機能の中で一番使用頻度の高いところだ。

 

ただ、会社のような組織で働く場合には、最近は「サイボウズ」に代表されるようなグループウエアでスケジュール管理をすることが多いと思う。お互いの予定を確認し合えるし、複数で行う会議や訪問の計画をたてて実行するのには大変便利だ。これらのデジタル系と紙の手帳というアナログの併用をしている人がいるが、私はいかがなものかと思っている。私はスケジュール管理は手帳では一切していない。ダブルブッキングのリスクも高くなるし、そもそも両方に入力したり書き込んだりするのは時間の無駄ではないか。同期ができるスマホ専用アプリもあって、大変便利だ。

 

 

さて、ここで大きな課題に触れなければならない。それは、アナログがいいのか、デジタルなのかという問題だ。「手帳はアナログであるべきだ」とする論調も意外に多い。「できる人はアナログ手帳を使う!」という人もいるが、本当だろうか?スマホにもメモは入力できるし、Evernoteをはじめとする「オンラインノート」も大変便利であり最近ではかなり普及している。

ここでそれぞれのメリット・デメリットを冷静に検証してみよう。表2、3、4を見て欲しい。結論は出たのではないだろうか。圧倒的にデジタル派の勝利だ。最近の私は何でもEvertoteに書き込むようにしている。ここに統一している。送られてきた資料を写真にとって貼付けたり、データファイルを添付できたりする。ある経営コンサルタントの方のセミナーでの言葉が印象的だった。数年前の自分の原稿が凄く良かった。いいことが書いてあった。人は忘れてしまうのだ。過去の原稿に出会えるのが良い、とおっしゃっていた。自分の中に答えはあるものだと。これには私も大変共感する。自分がアウトプットしたことを簡単に検索できるというのがデジタルの凄いところなのだ。

アナログのメリットの①だが、スマホがある現在では、余分に小さいな手帳を持つことのほうが煩わしい。もはやスマホの便利さを疑うものはいないだろう。スマホの登場はライフスタイルを変えたといって過言ではない。

 

とにかく、Ⅰの「ちょっとしたメモ」はスマホで代替できる。「フリック入力」に慣れれば、書くよりも早いのではないか。アナログのメリットの③のパラパラと見返すのが容易、というのは確かにそうだが、デジタルのほうが容易ではないかと思う。スマホのメモは最初の書き出しが一覧になっているし、Evernoteも「題名」が一覧になっているので、「見返し力」が強いのだ。かえって、手帳やノートのほうが書きっぱなしで、見返すことが少ないと思う。「復習」することが習慣になっているような「優秀な」人はできるかもしれないが、私のような凡人には、前に書いたノートをマメに見返すということは結構億劫なことなのだ。

 

デジタルなら、スマホの画面を指でスライドさせるだけで過去の情報に出会えるし、Evernoteだって矢印キーを下に押し続けるだけで、容易に自分のメモを見返すことができる。「バッテリー問題」というのは確かにある。現に私は、まだガラケーを使っている。電話専用としてだ。スマホを多用するので、電源が少なくなってしまうことがあるからだ。このあたりは、早晩技術革新によって解決されることだろう。Evernoteに代表される「オンラインノート」は大変便利だと思う。

 

デメリットとしては、面談中にスマホやPCに入力している姿がなんとなく、まだ馴染まないという点はある。まだ一般的ではない部分もあるので、これにはテクニックがいる。人との面談中にメモを取ることは失礼ではないし、かえって好印象かもしれないが、スマホに入力していると、ちょっとまだオタクっぽいイメージがあるかもしれない。入力に夢中になってしまうとオタクに見えるので、相手の顔をときどき顔を上げてみながら、頷きながら入力するというような技が必要だ。ひょっとすると、メモを入力しているのではなくて、何かのサイトを閲覧しているのかもと勘違いされる可能性もある。

 

また、ノートPCの使用についてだが、複数の面談でサブの人がPC入力をする分にはほぼ問題がないと思うが、一対一の面談で私が面談中にPCに入力するのはまだ絵としては馴染まないかもしれない。しかし、本音としては手帳に書くよりそのままPCに書き込みたいのだ。このような面談時にPC入力をする際には、相手に対して正面にノートPCを置くのではなく、ちょっとずらして横に置いて、入力すると良い。PCの画面が相手にとって壁を作っているようなイメージがあるので、その壁をちょっと横にずらすのだ。相手の顔を見ないで入力ばかりしているのは、大変失礼なので要注意。相手の話に頷いたり、会話を挿んだりしないと、不快に思われることだろう。これは結構やっている人を見かける。また、講演やセミナー中にPCに入力しているときにキーボードを打つ音がカタカタいって、まわりに人に耳障りになってしまうという欠点がある。メーカーは音のしないキーボードを作って欲しいものだ。

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2015.4.13 掲載)


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