全国賃貸住宅新聞

公開日:2017年2月13日

第97回 「知識」は「資産」である、知識教育を考える

第97回 「知識」は「資産」である、知識教育を考える
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賃貸管理をオンラインで学ぶ仕組み導入

朝礼で書評プレゼンを行い人前でロジカルに話をする訓練を実施

「知識」は「資産」である 

「知識経営」が叫ばれはじめて久しい。皆さんの会社では、社員の「知識」の習得とその「マネジメント」について、どのように行っているだろうか。「知識」を「ノウハウ」という言葉に置き換えてもわかりやすいと思う。それぞれの会社には、社員個々人の総体である会社全体で持っている「知識」が実際にはある。それらの「知識」は事業活動に供されているわけで、立派な「資産」であると思うが、財務会計上、どこにも資産計上はされていない。こうした無形資産を適切に評価することは難しい。だが、会社ごとに、その資産には内容の差があり、評価できるとすればその「評価額」にも大きく差が生じるはずだ。この世間には明確には表しにくい「知識」という資産をどう高めていくかが、問われている。

資格取得の奨励

まず、手近なところから。会社として社員の資格取得にどれだけ注力しているだろうか。この業界で生きてゆくのであれば、勉強すべき資格はたくさんある。「宅建士」がまず一番だとおもうが。宅建などなくても仕事はできる、関係ないとうそぶいている人をたまに見かけるが、知識の必要性を知らない時代遅れの人だと言っていい。それに「無免許」でまさか公道を走るわけにはいかないのだ。少なくとも宅建は、一般教養としての基礎ともいえる「民法」を学ぶことができるのだから、不動産業界に関係ない人でも受験するくらいの資格である。

 

「賃貸不動産経営管理士」は昨年、3倍近く受験者が増えた。時代は確実に「仲介」から「管理」にシフトしている。実は私はこの試験問題の作成に携わっている(作問委員)が、問題のレベルは数年前よりかなりレベルアップしている。早く取っておいたほうがいいだろう。「ファイナンシャル・プランナー」も宅建の次に取得する資格としては、お勧めである。「CPM(米国不動産経営管理士)」も大変有益だ。この日本においても随分資格者が増えた。初期の日本への導入を企画したものの一人として、大変感慨深い。宅建だが、弊社では、前年に合格した人がリーダーになって、今年の受験者に問題を出したり、勉強のコツを伝授したりしている。

「マークとゆくプロパティツアー」

マイケル・ポランニーは「暗黙知」という概念を世に知らしめた。経験や勘に基づく知識のことで、言葉に表すことが難しいもののことである。その知識を持っている本人自身が体系的に理解できていない、また、その知識を持っていることすら自分で認識できていない場合もある。それに対して、明確に図表や文章に起こされていている知識を「形式知」と呼ばれている。どちらも大事で、企業文化を創り、企業の経営に寄与しているのだが、「暗黙知」を共有する仕組みが必要となってくる。

 

先日、弊社では、「マークとゆくプロパティツアー」というのを行った。因みにマークとは私のことである。弊社の管理物件を参加者全員で現地に行って視察して、自分なりの空室対策案を考えるのである。社に戻ってから各自が発表して、最後に私が、「私ならこうやる」とアイデアを述べるのである。他者の意見が自分とどう違うかを感じ、また実際の物件を見ることによって、言葉にしにくい「物件の格」、「佇まい」といったものを共有できた上で、最善策を述べるので、大変リアルな「講義」となる。視察した物件は、外観があまり素敵とはいえない物件であった。問題があるのである。これは言葉では表しにくいことで、やはり一緒に見たほうが早い。

▲ 物件視察

インターネットで研修を受ける

たとえば、新しく社員が入社したとき、「新人研修」というものを皆さんもやられると思う。毎回、同じ講師役が同じレベルと時間をかけてやれているだろうか。また、テキストはしっかりあるだろうか。これを一社でやるのは大変だ。知識は共有したほうがいい。

 

弊社では、「スターカレッジ」という「e‐ラーニング」をはじめている。既に賃貸管理の知識に関する番組(動画)を400番組以上作成してインターネット上に置いてある。「空室対策について」や、弁護士による「原状回復の考え方について」、また「鍵交換の仕方」などの動画が盛りだくさんだ。いつでも好きなときに、必要な動画を見て学習することができるのだ。いちいちセミナー会場に交通費をかけて行く必要もないし、それこそ移動中に、また現地でスマホで見ることもできる。極めて合理的ではないだろうか。

▲ e-ラーニング

早朝読書会と書評プレゼン

弊社の例ばかりで恐縮だが、弊社では、毎週1回朝7時半から「早朝読書会」を開催している(任意参加)。好きなビジネス本を集中して1時間強読んで、皆で感想を言い合うのである。また、週1回の朝礼では、順番に「書評プレゼン」を行っている。5分間で本の内容をプレゼンテーションするのである。その後、そのプレゼン手法を皆で批評するのだ。これはロジカルに人前で話すことができるか、という訓練である。

▲ 早朝読書会

ペーパーテストの実施

ペーパーテストは学生時代の嫌な思い出が蘇ってくる(笑)かもしれないが、大変効用があるものだ。「事務所の賃料には消費税がかかるか?」という問に対して、「NO」を答える人がいたら、それは実務において決定的にまずいことだ。そんな基本的なことも分かっていない人がいる、ということがわかってよい。  

▲ ペーパーテスト

ナレッジ・マネジメント

ナレッジ・マネジメントとは「暗黙知」を「形式知」に転換する作業のことである。具体的には、たとえば「マニュアル作成」がある。「ノウハウ」をなるべく皆で共有できる仕組みを作ることである。

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2017.2.13 掲載)


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