全国賃貸住宅新聞

公開日:2018年2月12日

第109回 「仕事ができる人」は何が違うのか?

第109回 「仕事ができる人」は何が違うのか?
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管理職に求められる柔軟性と冷静さ

上から目線は厳禁 視野の狭さは部下の成長阻む

最近、ずっと考えていることがある。「仕事ができる人」は根本的に何が違うのか。どこでその差は生まれるのか。昨年の7月号で、「仕事ができる」とはどういうことか?というテーマで書いた。それは、①問題点に気づく力があり、②それを分析し、③改善策の立案ができ、④実行する力のあることだ、述べた。そして、実務においては「正解のない課題を解決する能力」が求められると。それには、「知識・情報」、「判断力」、「アイデアを生む力」、「説得力」、「コミュニケーション能力」の5つが必要であるとした。

 

さて、残念ながら、これらの能力を有するものと有しないものに分かれるのが現実の世界である。それは根本的に何が違うのだろうか。最初から、これらの能力が備わっている人などいないだろう。社会に出て、いろいろな概念に触れ、様々な成功や失敗の経験を経て力がついてくるのだ。気づく力、考える力、説得する力が備わってくるのだ。しかし、根本的な何かが欠けていると、それを学習できないのではないか。それこそ知識があり、情報をたくさん持っていても、なぜか良い結果が出せない人がいる。営業成績はいいし、お客さんとのコミュニケーション能力も高いが、部下からは信頼されていない人もいる。

▲表1

根本的なものとは、それは「柔軟性」、「冷静さ」ではないかと思う。「客観性」、「自分を俯瞰できる力」、「新しいものにトライする勇気」、「多様性を認める」、「謙虚」、「素直」という言葉で表してもいい(表①)。

 

自分としては自信のある事柄において、もっとこうしたらいいのではないかと助言を受けたり、批判されたりしたときに、冷静になるほどそれも一理あるな、ちょっとやってみようか、と思える人はどんどん成長する。逆に、何をいっているんだ、失礼な、と完全否定する人もいる。他人の意見を受け入れられないのである。大体において、即座には受け入れるのは無理かと思う。しかし、そんなことも言われたな、今は理解できないけど、それも正しいかもしれないのでとりあえず頭の中にいれておこう、として欲しい。時間をかけて咀嚼すればいいのだ。

 

ダメな人は、「思い込み」が激しく、「頑固」、「アンテナが立っていない(受信できない)」、「排他的」、「視野が狭い」、「保守的(コンサバ)」、「感情的」と言った言葉で表現できる資質を持っていると言える。

 

▲表2

表②にあるように、柔軟性があってアタマも良ければ最高だ(◎)。アタマが良くても頑固者ではなかなか難しい(×)。アタマは悪くても素直な人は結果的には成長する(◯)。ようするに、どちらかと尋ねられれば、アタマがいいことより、素直なことのほうが大事だということになる。アタマが悪くても他人の意見に耳を傾けることができる人は、真の意味では、アタマがいいと言える。結果、アタマがいい人になってゆくのだ。

 

他の会社で上手くいっているものがあれば、たとえ、現在の自分の会社のやり方からみてかなり違和感があるものであっても、いったんちょっと試してみようとする姿勢が大事だ。いまは全然理解できないが、他の会社で上手くいっているということは、良いものの可能性があるということだな。試してみる価値があるのではないか、という冷静な判断力が必要なのだ。

 

また、妙なプライドが成功の邪魔をする。部下が言ったことをあっさりを認めるわけにはいかない。自分はベテランなのだ、簡単に採用したら自分の威厳に関わる、などと思ってはいないか。私は日頃、会社のスタッフにこんなことを言っている。「入社したばかりの若い新人がすごく生意気な礼節を欠いた物言いで、しかしものすごく良い意見を言った。さああなたはどうしますか?」。普通、人は相手が生意気な言い方をした時点で、どんなに良い意見であっても採用はしないと思う。人は感情に流されるものだ。もちろん礼節を書いてはいけない。あの「何様なのか」と批判されている相撲協会の評議委員会議長、池坊氏も言っている通りだ(笑)。

 

しかし、それはそれで、礼を欠いた部分は別途上司として叱れば良いことだ。まだ若いから仕方がない。良い意見があるならばそれを取り上げなければ会社として損失なのだ。それくらい冷静でいて欲しいと思う。

結局、自分は「エライ人物だ」と思ってしまっているのではないか。大したものでもないのにと言ったら失礼だが、狭い会社というヒエラルキーの中で、つまり自分は社歴が長いのだ、先輩だ、仕事をよく知っている、という妙なプライドや自信に満ちてはいないか。「一応先輩で一通りの仕事の仕方は知ってはいるが、まだまだ改善の余地はあると思っている」という「冷静さ」が欲しいものだ。

 

私の会社では「役職呼称」を禁止している。◯◯部長とか、◯◯課長とかで呼んではいけないのだ、吉野さんとか、学さん、とかニックネームで呼ぶ習わしになっている。因みに私のことは藤澤社長と呼んだらだめで、「マーク(Mark)」か、呼びにくければ「マークさん」と言わなければならない(笑)、外資系みたいだが、慣れれば普通にできるようになる。これは、部長という「役(役職)」をやっているだけで、人として「エラく」なったわけではないよ、勘違いするなよ、ということなのだ。

 

課長というマネジメントをする役を与えられて、それを実行するにおいて部下からは一定のリスペクトもされるわけだが、けして所謂「上下関係」があるものではないのだ。「上から目線」な態度を取っていれば、部下からも意見が出しにくいであろうし、会社の風通しも悪くなってゆく。

 

「君子豹変す」という言葉がある。これは徳の高い立派な人は、自分の誤りに気づいたら即座に自分の言動を変えることができる、というのが本来の意味だ。どれだけ「アタマを切り替えられるか」が重要だ。

 

「薦められたらすぐ取り入れる」、「誘われたら断らない」という言葉を教わったことがある。これは自分に対して例えば、この本は良かったよとか、この映画は良かったから観た方がいいよ、この道具(システム)は良かったから使ったほうがいいよ、と他人から薦められたとき、即座に試したほうがいいとする考え方である。

また、「誘われたら断ってはいけない」のは、誘ってくれるということは、あなたはこちらに来てもいい、ふさわしい人物ですよ、あなたを認めていますよ、と言っているのだ。そして、あなたにとって良いと思うからこれらのモノを薦めるし、誘っているのですよ、という相手のメッセージを素直に受け止めるべきだというのだ。2回断ったら二度と誘われないし、せっかくの人脈の広がりや経験を失うことになる。素直が大事だ。

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2018.2.12 掲載)


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