全国賃貸住宅新聞

公開日:2018年5月24日

第112回 「伝える力」を鍛える ~何が言いたいのか、わからない~

第112回 「伝える力」を鍛える ~何が言いたいのか、わからない~
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最初に結論を伝えるのが鉄則

思いつきの発言は話の腰を折るので注意

何が言いたいのか、よくわからない人がいる。弊社にも何人かいる(苦笑)。要点が見えないのだ。長々と話すのだが、一向に要領を得ない。私は、こうやって原稿を書いていたり、講演をしたりすることが多いので、「言葉」に対するこだわりが少々強いほうなので、スタッフによく「ナニいってるのかわかんない」と注意をする。このセリフは社内ギャグになってもいる(笑)。ただ、他人にいいたいことを伝えることが苦手では仕事にならない。特に電話だと、相手の表情や身振り手振りが見えないから、特に「伝わり方」が気になるところだ。

 

何を言っているかわからない人は、社内での会話も厳しいということは社外のお客さんとの会話もかなり怪しいと想像せざるを得ない。「言った言わない問題」というのがある。お客さんは聞いていないという。しかし、弊社スタッフは確かに伝えた、と言い張る。確かに言ったのだろう。でも伝わっていないのだ。伝わっていなければ、それは言っていないに等しい。

▲表

「表1」のまず1の「主語がない」。これはよくあるパターンだが、誰が誰に対して言っている(行っている)ことなのかがわからないので、聞いている方は、いろいろなパターンを想像しながら聴かなければいけないので大変疲れるし、誤解を生む元である。「電話してたみたいです」と突然言われても、「誰が」「誰に」電話をしていたのかがわからない。主語というか「主体」「主人公」をはっきりさせ、その主人公がどの方向に向かって、言って(行なって)いるのか、そのベクトルを示してほしい。言っている本人は、その情景を見ているし、頭のなかにその「絵」は明確にあるので、なんらおかしくないと思っているのだが、相手の頭のなかにはその「絵」はないのだ。

また、主語には主に、「私が」という一人称、「あなたが」という二人称、そして、「彼が、彼女が、◯◯さんが」という第三者を対象とする三人称の3つがあるが、どうも日本人は元々この三人称が苦手な民族らしい、三人称が意識されたのは明治以降だというのだ。それまで「彼」とか「彼女」という言葉はなかったとのこと。また、そもそも主語を抜かしたほうがいい文章になる、とする考え方もあり、小説などでは多用されているし、古文にも誰が主体なのか、わからない文章が結構ある。「曖昧さ」が日本語の特徴なのだろうか。しかし、ビジネスでは「明確さ」が大事だ。

 

2の「接続詞」の使い方だが、接続詞とは例えば「空室対策をたくさんしてきた。だから、この物件は満室だ」の「だから」のことだ。この場合の「だから」は、先行する文脈と後続の文脈が「原因―結果」の関係にあることを示していて、説得力を高めている。接続詞とは、「先行する文脈の内容を受けて、後続の文脈の展開の方向性を示す表現」のことだ。接続詞をうまく使えると、聞いている側が次の話しの展開を想像しやすいので、伝わりやすいのだ。「空室対策提案をたくさんしてきた。でも、オーナーは実行に移してくれない」の「でも」は、主に文章表現で多用される「しかし」とか「だが」と同じ意味だが、前提に反することを予測する「逆説の接続詞」だ。「でも」とか、「しかし」が来たら次に反対のことをいうのだろうなと、聞き手は予想が付く。

 

3の「言葉の意味が曖昧」は、文字通りその単語を言われても話しの内容に合致するように思えないし、意味がよくわからないということだ。まったく真逆の意味に捉えられるような言葉を発してしまう人もいる。

 

4の「結論は最初に言おう」は、5とも関連するが、くどくどと長く話すのだが、結論がなかなか見えない話し方のことだ。「言いたいことは何か」を最初に言ってもらえれば、そのあとの文脈はその説明とわかるので、とても明確だ。時系列に丁寧に話せばいいと思っていたら大間違いで、あなたの昨日の業務の歴史をくどくど報告されても興味はないよ、となってしまう。人が集中して聞いていられるのは20秒が限界だそうだ。同じように6は要約力のことだが、これは学生時代に現代国語の授業でやったかと思うが、1000字の内容を要点を絞って、つまり枝葉は省いて省いて30字にまとめるテストは今でも有要なものではないかと思う。「枝葉を省く」というのは、この部分は「枝葉」だと見抜く能力が必要なわけである。

 

7の「ロジカルに展開する」ことだが、ときどき話しがすぐ脱線する話し方をする人がいる。文章を書く上でも話す上でも、「途中で思いついたネタには要注意」である。「この街では結婚式はどこで行われることが多いですか」と訪ねているのに、あるホテルのウエディング会場の経営の歴史というか遍歴を延々と聞かされたことがある。私は、会場の数、名称等を聞きたかっただけなのだ。特定の会場の経営に興味があったわけではないのだが、相手は「思いついて」しまったので、関連することとして話し初めてしまったのだ。相手との言葉のキャッチボールの中で、いわば「話の腰を折る」ことをやってしまっていることにもなり、要注意だ。いま、何の話をしているのかをよく理解して話すと良い(友人通しのたわいもない会話に求めるものではない)。

 

8の「キーワードとなる言葉を使う」というのは、「リアルなできごと」「臨場感を伴った言葉」を使うと分かり易いということだ。内容が一発で分かる、理解し易いキーワードというものがある。たとえば、「お客さんはそのベンダー(業者)とどう繋がったの?」と質問した答えが、「当社のAさんが、お客さんにそのベンダーを紹介したのです」そして、「元々、お客さんが知っていたベンダーなのです」。という会話があったとする(弊社実例)。この二つの言葉は、矛盾している。しかし、答えている人は、事実をきちんと言っているつもりだし、間違ってはいないのだ。質問しているほうは、頭の中が「???」になってしまうが、これは、「当社のAさんがお客さんにそのベンダーを紹介したのですが、偶然、お客さんが知っているベンダーだったのです」ということなのだ。これは、「偶然」という言葉を、しっかり入れれば一発でわかった内容だ。ものごとの流れの中の「リアルな臨場感を持つ」言葉をうまく使うと良い。このように会話には「キーワード」となる言葉があるものだ。

 

9の「重要なことをサラッといってしまう」は、重要なことは何度も繰り返して話そう、ということだ。3回言って初めて理解してくれるくらいではないか。これも相手の立場にたって考えるということだ。

10の「長嶋語」だが、断っておくが私は長嶋ファンだ。ただ、ビジネスにおいては「所謂、アクセス的な問題で」ではなく、「アクセスが悪い」と明瞭に言ってほしいと思う。

(筆:藤澤雅義/全国賃貸住宅新聞2018.5.14掲載)

 

 


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