全国賃貸住宅新聞

公開日:2022年7月11日

第160回 賃料収入を上げる施策4分類

第160回 賃料収入を上げる施策4分類
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賃外管理の肝は空室対策

デザイン・コンセプト重視の企画重要

前回に続き、「プロパティ・マネジメント」の本質について述べたいと思う。

 

プロパティ・マネジメントとは、ひとことでいうと「賃貸不動産の収益及び価値の最大化を目指すこと」である。

 

物件の収益の最大化をするためにはⅠ.賃料収入をあげる、Ⅱ.運営コストを下げる、のどちらか、もしくはその両方をしなければいけない。

 

Ⅰの賃料収入を上げるための施策は、図表の4つのカテゴリーに分けられる。

まず、1の「賃料と募集条件の適正化」が大事である。

 

物件ごとに冷静な賃料査定が必要になる。同じ専有面積でも賃料に差が出るのだ。それは、たとえば間取りの違いによって、有効に使える部屋の面積に違いが出るので同じ賃料とは限らないのである。

 

よって、事務所・店舗のように「坪単価」から賃料を査定することは適してはいない。また「設備・仕様」、「物件の格」、「デザイン」、「陽当たり」、またエリアによっては「駐車場・駐輪場の有無等」によって、賃料に大きな差が出る場合があるので、同エリア内の既存物件との比較を項目ごとに行い、査定することが必要である。

 

2の「リーシング活動」には、図表のようにまた4種類の戦略がある。

 

肝心なのは3の「企画」である。物件の集客力の面で一番大事なのは「間取り」であろう。「間取り」には、「部屋数」、「専有面積」、「使い勝手(生活動線)」、「各部屋の大きさのバランス」、「収納力」等々の要素がはいっている。

 

投資利回りを上げるために、都心では20平米前後もしくはもっと狭いワンルームを作ることが多いが、一部、供給過剰の状態になっている。

 

一般的には「広めのワンルーム」や、また2DKや3DKではなく「1LDK」や「2LDK」が人気である。新築企画においてもリニューアル企画においても、賃貸の現場を知るプロパティ・マネージャーが現地エリア内の「入居者ニーズ」と「既存物件」の調査を行い、それらの差異を分析した上で企画するべきである。

 

「外観・エントランス・外構」は次に重要である。

 

部屋探しの時には、最初に建物全体をパッと見た瞬間に入居することをほぼ決めているということも言われている。

 

外観もさることながら「エントランスのあり方」、また、「敷地境界線上から各戸の玄関ドアまでのストーリー」が大事だ。

 

「設備・仕様」に関して、入居者アンケートなどでは、「インターネット無料」、「宅配ロッカー」、「オートロック」がベスト3とよく言われている。

 

「エアコン設置」はもはや常識となり、「洗浄機能付便座」もあるのが当たり前になってきた。

 

その他「モニター付きインターフォン」は安価で設置が可能であるし、その他「防犯カメラ」、「センサーライト」等のセキュリティ系はニーズが高いと言える。

 

また、各種入居者ニーズ調査では、人気の設備が紹介されている。それは間違っていないが、それらのアンケートで表面に浮かび上がってこないものがある。

 

それは、④の「デザイン」だ。これは上手く表現できないので、アンケートからは除外されているが、実際の現場では、デザイン性の高い外観や内装の物件は人気が当然に高い。このあたりを重視して企画するとよいと思う。

 

 ソフト面においては、貸し方の多様化が考えられる。

 

「ソフト」とは、建物や設備の企画においての差別化ではなく、何か他と違った「趣向やサービス」を提供することをいう。

 

部屋を貸すだけでなく「コミュニティ」を提供する貸し方だ。各入居者の部屋は従来通りだが、コミュニティ・ラウンジを別途設けるというスタイルがある。

 

入居者同士でラウンジでTVや映画を観たり、パーティをしたりすることが提供されているタイプだ。

 

もっと進めて、同じ趣味・趣向の者同士を集めるスタイルのものもある。

 

「音大生専用マンション」というものは以前よりあったし、「ミュージシャン・アーティスト向け」や「アウトドア好き」、「菜園付きマンション」、「英語学習特化型シェアハウス」、「ガレージ付きマンション」また「起業家対象のマンション」というのもある。

 

これらは「コンセプト」を明確にして、ターゲットがはっきりしているので、マーケティング次第では人気のマンションになる。

 

 「ペット飼育可」の住宅は、分譲マンションではもう当然になってきているが、賃貸住宅ではまだまだ「不可」のものが多いので差別化になる。

 

4の「テナント・リテンション」とは「入居者の保持」すなわち「解約の抑止」を意味する。

 

賃貸住宅において入居者は一定の割合で「解約」する。退去すれば次の入居者が決まるまで、当然に一定期間空室になるので解約は少ないほうがいい。

 

空室損だけでなく、原状回復費用等のコストもかかり物件の収益低下を招く恐れがあるから、入居者に長くいてもらえるよう努力するのがプロパティ・マネジメントである。

 

プロパティ・マネージャーは、以上の4つのカテゴリーの空室対策を施して、賃貸不動産の収益を最大化させるのである。空室対策は、プロパティ・マネジメントにおいて一番重要な職務である。

 


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