全国賃貸住宅新聞

公開日:2022年9月12日

第161回 「入居者ニーズと意識調査」を解説

第161回 「入居者ニーズと意識調査」を解説
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賃貸仲介、接客力から物件力へ

価値向上と適正家賃提案重要

今回は、3年ぶりに発表された首都圏の賃貸住宅市場における

「第9回入居者ニーズと意識調査2011~2022」について述べたいと思う。

 

これは私が幹事をしている「21C.住環境研究会」「リクルート」が共同で3年ごとに調査しているものだ。毎回、1000人以上の方にアンケートに答えていただいており、今回は1107名が参加した。

 

一番衝撃的な結果は、なんといっても「来店前にネットで見た物件」にそのまま55.9%(新規契約)の人が契約しているという事実だ。(Q3)

家族構成が「ふたり」に限っていうとなんと65.4%がそのまま契約しているという。

 

不動産屋さんに行く前に、さんざんネットで吟味していろいろ情報を集めて、「これだ」と決めた物件を不動産屋さんで「確認」に来ている。その傾向がますます強くなっている。

 

前回の2018年調査では、41.5%。2015年調査では、40.7%。2012年調査では39.4%と、ここ3回の調査ではほぼ横ばいできていたのだが、今回、急激にアップした。この3年で、ITリテラシーが向上し、また、スマホを中心としたネットで検索、分析、決済という習慣が根付いた証だとおもう。

 

いよいよ「仲介のあり方」が問われるようになった。この連載で10年以上も前からなんども言っているように、部屋探しの人はネット上で部屋をほぼ決めているのだから、ネット上で相対的に他の物件より「良い物件」でなくてはならない。

 

「良い物件」とは「物件そのものの力」と、「賃料とのバランス」で決まる。たとえば、いくら設備・仕様が立派でも賃料が相場より高すぎたら決まらないし、立派でなくても賃料が安ければ決まる。

 

物件のエリアは環境にもよるし総合力が問われる、プロパティ・マネージャーは、

「良い物件」に仕立て上げてポータルサイト等に掲載しなければいけないのだ。

 

つまり、仲介の現場で接客の技術を高めることを学ぶことより、物件オーナーに会って、物件の力を上げる提案をするか、それがだめなら賃料を適正にしてもらうという「交渉力」を磨くほうが物件は決まる、ということになるのだ。

 

なぜ、この物件が決まらないのかを分析し、それに対する解決策を立案し、ビフォーアフターの収支分析までおこなって提案プレゼンをする、という技術を磨かなくてはならない。

 

また、ネットへの掲載の仕方、つまり物件の写真や動画の質やエリアを含めた説明力も大事なことは言うまでもない。エンドアプローチ中心の「仲介の時代」はそろそろ終焉に近づいている。

 

同じ様に、「ネットで物件や不動産会社の評判について検索したか(Q8-1)」であるが、これも上昇している。

また、「物件名をネット検索した(Q9)」と答えた人も、58.9%から77.7%に急上昇している。

 

検索した主たる理由は、「物件の周辺環境を確認するため」「物件の詳細住所を特定するため」「物件の写真や映像が他にもないか探すため」であった。

 

物件名であらためてネット検索すれば、より深い情報が手に入ると、ほとんどの人がわかっている。

 

今はなんでもわからないことがあると、すぐスマホを取り出して検索して、ものの1分で「あった」といって、さまざまな情報を得る習慣がついている。

 

自分が住もうかなと思う物件の「評判」「詳細情報」を調べる気には当然なるだろう。もう、昔みたいに営業の「口八丁手八丁」で誤魔化せる時代ではないのだ。

そして、「内見を不動産会社担当者と一緒にリアルにする」という人は約70%いる結果がでたのだが、これは前回2018年調査とほぼ一緒だ。

 

ごく普通の回答だと思う。しかし、「内見すると答えた方にお伺いします。もし1人で内見をした際に仲介手数料の割引があるとするならば、1人で内見をしますか?という問いに、83%が「する」と答えたのだ。

 

前回2018年は79.5%だった。これも増えている。これも、ネットでの情報でほぼ充分わかる。自分1人で見て判断できる、ということではないか?

 


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