低コスト「ピクチャーレール」で素早く空室対策
インテリアにも収納にも用途さまざま
オーナー提案のトークに役立つ小ネタ集「空室対策100選コラム」
今回、注目する空室対策は「ピクチャーレール」です。
ピクチャーレールとは、もともとは絵画を展示するために、美術館などの壁や天井に設置したレールのことを言いました。住宅設備として取り入れられてからは、絵画だけでなく、写真や衣服、観葉植物などをかけてお部屋を飾ったり、ラックや棚を取りつけて物をしまったりと用途が拡大。インテリアにも収納にも使えるアイテムとして、今では入居者人気の高い設備となっています。
設置にかかるコストは1戸あたりおおむね2万円程度からとお手頃。工期も1週間以内で済むことが多いので、繁忙期にも間に合わせやすい空室対策と言えます。
退去が出たタイミングや、空室期間が長引いているお部屋のテコ入れとして、ぜひ一度検討してみたいものです。
ピクチャーレールの設置場所・設置方法
ピクチャーレールの設置場所は、「天井付け」「壁付け」の2種類があります。横長のレールを極力目立たせないようにするなら、壁と天井の境目に設置する天井付けがオススメ。一方、レール自体もインテリアのひとつとして目立たせたいときは、壁付けを選ぶといいでしょう。
また、ランナー(レールからつるすワイヤーフックのこと)の数を増やすことで、吊るすもの・かけるものも増やすことができますが、そのときに気になるのが耐荷重です。
商品によって耐荷重は8~70kgと幅がありますので、物件のターゲットや、設置するお部屋での使い方を想定したうえで、ニーズに合う商品を選んでください。
ちなみに、耐荷重は「先付け」「後付け」の設置方法の違いでも変わってきます。
もし、対象物件が近々リフォームを予定しているなら、ピクチャーレールを壁の中に埋め込む先付けを検討してみるといいでしょう。見た目もスッキリするうえ、後付けに比べて耐荷重が上がることでインテリアや壁面収納の自由度が広がりますので入居者への訴求力アップが期待できます。
一方、後付けは、先付けに比べて耐荷重こそ落ちますが、設置しやすく取り外しも容易なのがメリットです。
【先付け】新築時やリフォーム時に壁面・天井に埋め込んで取り付ける方式。レール本体が隠れるため、見た目がスッキリし、耐荷重も上がる。 |
【後付け】すでに施工された壁面・天井に取り付ける方式。先付けに比べて耐荷重は落ちるが、低コストで簡単に設置できる。取り外しも容易。 |
ピクチャーレールのアレンジ術3選
ホームステージングと相性抜群
さまざまな使い方ができるピクチャーレールですが、お部屋探しをしている人に向けてアピールするとき、見せ方には気をつけなければなりません。
というのも、ピクチャーレール本体はただのレール。インテリアや収納に使えると言っても、実際に使ったことがない内見客に対してはなかなか伝わりづらいものです。
そこで検討したいのが、空室に家具や照明を入れて、お部屋を魅力的に演出するホームステージングとの併用です。
演出の一環として、ピクチャーレールでインテリアを飾ったり、収納を設けたりすれば、ピクチャーレールのあるお部屋の魅力を内見客に分かりやすくアピールできるでしょう。
では、ピクチャーレールにはどのような使い方があるのでしょうか。代表的なアレンジ術を3つご紹介します
壁面に飾る・かける
最も基本的な使い方は、ランナーに直接またはワイヤーをかけて、物を吊るしたり引っかけたりする使い方です。
インテリアなら、壁面に絵画や写真、ポスター、ファブリックパネル(アートボード)、ドライフラワーなどを飾ると、お部屋の雰囲気づくりに役立ちます。
さらに上級者向けの使い方として、窓辺に設置したレールから観葉植物を吊り下げるハンギンググリーンという手も。
ただし、ホームステージングの期間(空室が決まるまでの期間)ずっと植物を吊るすとなると水やり等の管理が大変です。手間を省くならフェイクグリーンを使った方が無難でしょう。
また、実用性に重きを置いて、ランナーに時計、カレンダー、衣類、バッグ、帽子などを引っかけてもいいですね。
すのこ・有孔ボード等で収納力アップ
壁面にたくさんの物をかけたい・大きなものを飾りたいなら、ピクチャーレールに、すのこ、有孔ボード、ワイヤーネットなどをかけるという手もあります。いずれの方法も壁かけ用のスペースを広く取れるうえ、壁に穴を開ける必要もありませんので、手軽に飾りつけの可能性を高めてくれます。
ただし、こうした活用方法はどうしてもレールに負荷がかかります。耐荷重の高さが求められますので、ピクチャーレールの「先付け」がオススメです。
また、ピクチャーレールを使って収納力をさらに高めたいなら、1~2枚の天板をワイヤーで吊った収納棚を取りつけるのもいいでしょう。キッチン背面や玄関の天井などに設置すれば、効率的な空間活用を内見客にアピールできそうです。
ピクチャーレール上部を飾りつける
物を吊ったりかけたりするだけでなく、長押(なげし)一体型のレールを採用して、レールの上も下も飾れるようにするのも使い方のひとつです。
フェイクグリーンを這わせたり、書籍やCDなどターゲットが好みそうな品々を立てかけたりすれば、お部屋の魅力度もいっそう高まるのではないでしょうか。
このように、ピクチャーレールは装飾性にも実用性にも優れた住宅設備と言えます。一見すると地味ですが、入居者募集の際に使い方を上手にアピールできれば、お部屋の魅力度アップにきっと貢献してくれるはず。低コストでできる空室対策ですので、未設置ならぜひ一度オーナーに提案してみるといいでしょう。