「植えて終わり」では悪影響も。定期メンテナンスを欠かさずに
内見者を逃がさない。外観の印象は入居付けにも影響
オーナー提案のトークに役立つ小ネタ集「空室対策100選コラム」
今回、注目する空室対策は「植栽剪定」です。
お部屋探しをするなかで、部屋だけではなく物件の見た目を気にする内見者は多いもの。 外構や植栽まわりは建物の顔です。ここがきちんと整備されている物件は、内見者に良い印象を残すことができます。
しかし、庭木も生きものですからメンテナンスを怠るとすぐ伸び放題に。手入れ不足の植栽は見栄えが悪いだけでなく、管理が行き届いていないのでは? と内見者に不安を抱かせてしまう原因にもなります。
植栽のメンテナンスを怠った際のトラブル
管理会社の皆様は十分ご承知でしょうが、庭木を放っておくとさまざまなトラブルが生じます。
・隣地への越境による近隣トラブル
物件の敷地と隣接地の境界線上に植栽がある場合、枝葉が越境する可能性があります。
・道路へのはみだし
道路法43条2号において、「みだりに道路に土石、竹木等の物件を堆積し、その他道路の構造または交通に支障の及ぼす虞のある行為をすること」を禁じています。措置命令に従わなかった場合、行政は道路に侵入している枝を切除することが可能です。
・建物への接触
成長しすぎた庭木の枝が建物に接触し、外壁の損傷や雨漏り、ひび割れなどにつながる可能性があります。また、枝葉の成長を抑制されていない木は根も大きく張り出し、その根が建物の基礎部分を傷つけることもありえます。
・倒木や落枝
適切な剪定や伐採が行われず弱った庭木は、台風や強風、積雪などで倒木したり、枝が折れて落下する可能性があります。入居者や近隣住民に被害が及び、大きな事故につながることもあるうえ、その責任は原則として「所有者」に帰属します。
・落ち葉、腐敗臭、害虫の発生
落ち葉や花が地面に落ちたまま片付けられないと、そのまま腐敗し悪臭を放つことがあります。害虫の発生源になることもあるため注意が必要です。
・眺望や日当たりを妨げる
成長しすぎた枝葉が日差しを遮ることも。低層階になるほどその影響は大きく、入居者の不満にもつながります。
・防犯性の低下
茂った植栽が死角を作り出し、犯罪の発生率を高める可能性があります。
民法上の取り扱い
民法233条では、「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者にその枝を切除させることができる」としています。
なお、「枝を切るように催告したにもかかわらず、相当の期間内に枝を切らなかった」「竹木の所有者の身元や所在を調べてもわからなかった」「急迫の事情がある場合」などのケースにおいては、隣地の住民は侵入してきた枝を切ることが可能です。
このように法律で定められているため、越境していた枝を切った近隣住民から伐採分の費用を請求される…というケースも考えられます。
無用な争いごとを避けるためにも、定期的なメンテナンスをオーナーに進言しましょう。

植栽管理&除草もお忘れなく
植栽管理は、定期的な剪定や伐採のほかにも、施肥、薬剤の散布などが挙げられます。
それぞれの作業内容や樹木の大きさ、本数、作業場所の状況によっても費用が変動するため、オーナーと相談の上で予算に応じた対応を行いましょう。
また、外構や植栽まわりに手を入れるのであれば、雑草対策も併せてやってしまいたいところ。植栽剪定のほかに草取り・草刈り・除草剤散布など、外構周りを一括でメンテナンスしてしまいましょう。
おすすめの庭木3選
物件を彩る植栽。新たに外構周りに手を加えるオーナーにとって、植栽はこだわりたいところ。オーナーの意向が最優先であることには変わりないですが、普段の管理においては「剪定の手間が少ない」「落葉や枯死の心配が少ない」がポイントとなります。物件周りの環境や敷地の広さなどを考えながら、一緒に植栽計画を立ててみてください。

・シマトネリコ(モクセイ科・トネリコ属)
シマトネリコは庭木の人気ランキング上位常連。細かくキラキラとした葉が洋風の物件と相性が抜群です。一年を通して葉のある常緑樹で、生長すると6月頃には白い花を咲かせます。夏の日差しにも負けず乾燥気味な環境でも問題なく育ち、初心者にもおすすめ。
デメリットは、寒さに弱いところ。寒冷地では葉が紅葉して黒っぽくなり、落葉することもあります。

・常緑ヤマボウシ(別名:ホンコンエンシス ミズキ科ミズキ属)
一般的にヤマボウシは落葉樹ですが、常緑ヤマボウシは耐寒性のある常緑樹。関東以南であれば落葉することはありません。美しい花を咲かせることで人気を集めています。一方で、寒さに弱いため寒冷地では落葉することに注意が必要です。よく生長するため、大きくなると鬱蒼とすることもあり、適度な剪定が必要です。

・ハナミズキ(ミズキ科ミズキ属)
花・紅葉などの季節感を感じられるシンボルツリー。和洋を問わずあらゆる物件にマッチするのがうれしいところ。花色は赤・白・ピンクなどがあり、白花の木は生長旺盛で丈夫、赤花は生長が緩やかで枝分かれも細くなりやすいなどの特徴があります。 落葉樹としては珍しくスリムな姿を保つので、定期的な剪定によって幅を抑えることが可能です。しかし、ハナミズキは直射日光が苦手であるため、日の強く当たらない北側に植栽するなどの工夫をしてください。
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