1階物件の安心感アップに「防犯砂利」
防犯砂利のメリット・デメリット
オーナー提案のトークに役立つ小ネタ集「空室対策100選コラム」
今回、注目する空室対策は「防犯砂利」です。
防犯砂利とは、軽く踏むだけで大きな音を立てる防犯特化の砂利のことを言います。ニッチな商品なので手にしたことのない方も多いと思いますが、実は掃除機の音と同程度と言われる76.5dB(デシベル)以上の音を出せる商品もあり、空き巣などの撃退に役立ちます。
オーナーに単品で提案するには力不足ですが、どんな物でも使いよう。
上手に運用できれば、1階入居者の安心感を高める設備として、入居者募集にプラスに働く可能性を秘めています。今ある砂利の敷き直し作業や、防草シートの施工などのタイミングに合わせて防犯砂利を提案してみるのもいいかもしれません。防犯砂利のメリット・デメリットは次の通りです。
《防犯砂利のメリット》
《防犯砂利のデメリット》
|
防犯面では効果的な防犯砂利ですが、耐久性や管理の面では、通常の砂利と比べて扱いにくい点もあるようです。とはいえ、こうしたメリット・デメリットは、砂利の種類によってもまちまち。防犯砂利の種類・特徴を押さえ、物件に合う商品を選べるといいですね。
防犯砂利の種類・特徴
ガラス製
防犯砂利の中で最も一般的なものが、「ガラス製」です。ガラスを高温溶解して発泡処理したもので、安価にもかかわらず70dB以上の大きな音を出してくれます。また、一粒一粒が大きい反面、物自体は軽いので扱いやすく、女性でも簡単に設置できる点も強みです。
ただし、ガラス製であるために脆く、踏みしめると簡単に粉々になってしまう点は要注意。また、軽さゆえに雨風で飛ばされたり流されたりしやすく、定期的な交換・清掃が必要です。人通りの多いアプローチ付近ではなく、植栽の奥や、建物周りの死角になりやすい場所に局地的に使用するのがオススメです。
天然石・溶岩製
ガラス製に比べて楽に管理できるのが、「天然石・溶岩」製の防犯砂利。粒が重いため風雨に運ばれにくく、耐久性も高いので長く使えます。色や形のバリエーションも豊富で、自然由来のものですので景観にも溶け込みやすいという特長があります。
一方、デメリットはガラス製に比べて値が張ることと、音が鳴りにくいこと。とはいえ、入居者募集時のアピールポイントとしての機能は十分です。
セラミック製
ガラス製よりも丈夫で、天然石・溶岩製より軽いのが「セラミック」製です。ガラス製ほどではありませんが、踏むと大きな音がなり、かつ適度な重さと耐久性があるため管理も手軽と、前述2者のいいとこどり。ネックは、コストの高さです。
瓦製(瓦チップ)
瓦チップとも呼ばれる、廃瓦をリサイクルした防犯砂利です。踏んだときの音は小さめですが、通常の砂利よりも安価なため、低コストで設置できます。また、炭のように多孔質素材のため、消臭・防臭効果があると言われています。エコ商品としても注目されていますので、意外なアピールポイントにもなるかもしれません。
オーナー提案はその他設備と組み合わせて
「防犯砂利+α」で1階部分の防犯強化へ
犯罪抑止に役立つ防犯砂利ですが、オーナーに提案することを考えたとき、単品でというのはやはり現実的ではありません。提案する際は、その他の防犯設備と組み合わせ、より包括的な防犯対策として1階入居者の安心感を高められる提案をしたいものです。
そこで、防犯砂利と相性のいい防犯設備として次の3つをお勧めします。
防犯対策の王道「防犯カメラ」
防犯砂利が建物周りの人目につきにくい場所をカバーするなら、アプローチやエントランスなど、人の動線を監視する「防犯カメラ」は相性抜群。外部に向けて監視体制をアピールすることで、不審者に犯罪行為を思い止まらせる効果が期待できます。
コストがネックですが、安価なネットワークカメラの導入や、ダミーカメラの擬装といった手もあります。
死角を照らす「人感センサーライト」
「人感センサーライト」も効果的です。建物の死角部分に設置することで、夜間の侵入を牽制できます。低コストの商品が多く、ソーラーパネル式なら配線工事もいりませんので、手軽に設置できます。
ちなみに最近のモデルには、不審者が近づくと警告音や警告ボイスが流れる商品も。
「補助錠・防犯フィルム」で室内にも安心感を
空き巣などの泥棒被害で侵入口となりやすいのが、窓。特に「ガラス破り」は犯行手口の常套手段です。防犯砂利に加えて、居室に「防犯フィルム」「補助錠」を取り付ければ、たとえ1階物件でも窓からの侵入に対する安心感は段違い。入居者の抵抗感も薄まりそうです。
そのほか最近では、防犯性能の強化策として「スマートロック」を採用するケースも見られます。錠の開閉にカギが不要で、外出先からでも錠の開閉ができるスマートロックは、「無施錠」の予防やピッキング対策として有効。しかも、入居者の生活の利便性も向上しますので、導入すれば物件の訴求力アップにつながるでしょう。
近年、入居者の防犯ニーズはますます高まっています。セキュリティ性能で見劣りのしない物件をつくるためにも、管理会社は各アイテムの性能を把握し、適材適所の組み合わせをオーナーに提案していきましょう。