賃貸管理の可能性に、挑む。
当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。
今回のテーマは「集中できる職場づくり」です。
集中力を高めるオフィスで生産性向上を図る
仕事の中断は能率低下に直結…
こんにちは、コンサルタントの高橋です。
業務に集中したいのにいつも電話で遮られてしまう…、話しかけられることが多く仕事が捗らない…、誰しもが経験ありますよね。しかし自分だけでビジネスをしているわけではない以上マルチタスクは当たり前、顧客から電話があれば仕事の手を止めてでも優先対応をすべきです。
とはいえ、その回数があまりに多いのなら業務の見直しも必要でしょう。たった数分間でも仕事を中断させられると、元の集中力を取り戻すにはその倍以上の時間がかかるとも言われ、結果的に従業員の能率低下を招いてしまいます。組織全体の生産性に悪影響を及ぼす前に、業務に集中できる職場環境づくりに取り組んでみましょう。
オフィスの「代表電話代行」で効果明白
当社は最近、〝生産性向上策〟の一環として、雑務の一つである代表電話対応を代行会社に委託しました。代表電話を外部に任せる、ということに抵抗感もありましたが、入電内訳を調べたところ半数以上が代理受電(他の担当者への取り次ぎ)やいわゆる営業電話であったため、委託に踏み切ったのです。
導入後、さっそく効果が表れたのは管理部の契約書作成部署でした。当部署は多い日で1人10件以上の契約書とそれに付随する資料を準備します。電子契約の導入で手続き自体は簡略化されたとはいえ、契約書の完成までにはまだ多くの手作業が。正確な業務を心がけてはいるものの、必ず実施する先輩社員の最終二重チェックでは、それなりの割合でミスが発覚し、その都度修正が行なわれていました。
ところが、電話対応を委託してからというもの、その修正回数がなんと半分に! 実は当部署、代表電話の受電で仕事を遮られることが日常茶飯事だったのです。電話という誰でもできる仕事を外部に任せ、担当者が専門性の高い仕事に集中できる環境をつくったところ、作業能率や生産性の向上が顕著に表れました。ここからは、当社の「仕事への集中力を高く維持するための取り組み」を一部ご紹介しましょう。
電話関連でIVR、ソフトフォン、コールセンターを活用
一番効果が高かったのは、やはり「電話」関連です。
前述の代表電話の外部委託もそうですが、他にもIVR(プッシュした番号で電話のかかる先を振り分ける自動電話応答システム)やソフトフォンへの切り替えも効果的でした。特にソフトフォン化は、各社員のPC・スマホで会社の電話の受発信ができるようになるため、テレワークの推進に役立ちました。入居者の電話は以前から案件完結型のコールセンターに任せており、仲介会社対応はWEB・チャットを活用して極力電話が鳴らないようにして、事務スタッフの負担を軽減しています。唯一、オーナーだけは専用回線を用意して社員で対応しています。
オフィスに「集中ブース」設置
課題解決のためにアイデアを捻り出したり、長文を作成したりといった「熟考」が必要な場面では、誰もが「誰にも邪魔されずに集中したい!」と考えるもの。
そんな時のために当社が設置したのが「集中ブース」です。四方を囲む壁で視覚的ノイズを排除しつつ、周囲に「今は集中しているから話しかけないでね」というメッセージをやんわりと伝えることもできます。店舗等ではスペース確保が難しいかもしれませんが、自分のデスク以外に集中できる空間が1つあると、普段と環境が変わるためか仕事もずいぶん捗ります。
社内ルールをウィキペディア化
就業規則や経費の申請ルールなど、社内のあらゆる情報をひとまとめにした「ウィキぺディア」も作りました。こちらは総務や事務部門が「大量の〝ちょっとした質問〟」で仕事を遮られることを軽減するねらいで作成したのですが、今では営業部署が独自にページを作成して営業スキルなどのナレッジ共有に活用しているほか、新入社員が上司や先輩に聞きにくい「休暇取得」のルールを自分で調べられるようになるなど、副産物的な効果も生まれています。
さて、ここまで聞くと皆さん「静かで誰も喋らず黙々と仕事をしている職場」を想像されると思いますが、実態は少し違います。確かに電話はほとんど鳴りませんが、意外とリラックスした雰囲気で、常にどこかで笑い声が聞こえるほどです。テレワークやチャットの利用が増え、対話や直接的な関わりが少なくなってきた今、どんな内容であれ従業員同士のコミュニケーションはとても重要で、それを排除する必要はありません。
皆さんも適度な「くつろぎ」と「集中」とをうまく会社に取り入れた、社員が最適なパフォーマンスを発揮する職場環境を考えてみませんか。