コンサルタントコラム

公開日:2025年5月30日

【コラム】賃貸管理の組織強化へ、“小さな工事提案”の仕組み化

【コラム】賃貸管理の組織強化へ、“小さな工事提案”の仕組み化
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賃貸管理の可能性に、挑む。

当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

今回のテーマは工事提案の仕組み化です。

提案経験の底上げで収益基盤強化に

まずは“小さな工事提案”から

こんにちは、コンサルタントの萩原です。

「オーナーに積極的に提案してほしいが、忙しいからと案件が出ない」「フルリノベーションや大規模修繕など資産価値を高める提案をする社員がいない」

ご支援先の現場では、よくこのような声を伺います。

提案工事は賃貸管理会社にとって大きな売上の柱のひとつ。
加えて、管理を引き受けてオーナーとの接触機会を増やしたことの“対価”とも言える部分のため、経営者やマネージャーの皆さんも、社員の提案状況は大いに気にされているかと思います。

しかし、大規模修繕やフルリノベのような案件は、オーナーの金銭的負担が大きいうえに、知識や経験も要するため提案のハードルは高めです。上から提案強化の号令をかけたところで、経験の浅い社員などは「そもそも何をどう提案すれば…?」という状況でしょう。

それならば、いっそ「傘立ての設置」や「室内物干しの導入」といった“小さな工事提案”を集中的に行なってみてはいかがでしょうか。実は、小さな工事提案は管理会社・オーナー・入居者の三方にメリットのある施策なのです。

メリット豊富な小さな工事提案

小さな工事提案の代表的メリットは、①空室対策の促進入居者満足度の向上リフォーム粗利の増大社員の提案力向上の4つです。

低価格の工事は、負担が小さいためオーナーも決断しやすく、少しの差異でも競合物件との差別化が進んで、空室期間の短縮や賃料維持につながります。

また、居住環境の改善は当然、入居者の満足度向上につながり、長期入居の期待値アップ。そして管理会社は、工事単価は小さくても件数を積み上げることで売上規模が成長。まさに「三方良し」の効果が得られるというわけです。

ただ、私が注目いただきたいのは社員の提案力向上の効果です。

提案に苦手意識があったり、経験の浅い社員にとって、傘立てや物干しといった手軽な工事の提案は越えやすい、そして越えねばならないハードルです。そのハードルを越え、提案の流れを経験することで、社員は「どのような展開で話せば伝わるか」を肌で感じ取り、「自分の提案で変わる」と自信をつけていきます

小さな成功が積み重なれば、もっと良い提案をしたいと大きなものに挑戦できる(したくなる)ようにもなるでしょう。

オーナーも「提案してくれる管理会社」にこそ信頼を寄せます。
小さな工事提案の継続が、「この担当者(管理会社)なら大きな修繕やリノベも任せられる」とオーナーを安心させます。

社員の提案経験の底上げが、結果として長期的な関係の構築や管理解約防止、大規模案件受注につながり、会社の収益基盤の強化を叶えるのです。

パッケージ化と成果の見える化

小さな工事を詰め合わせたパッケージ商品の例

小さな工事提案を推進するにあたって、効果を高めるのが「工事パッケージ」の作成です。

図のように、小さな工事のパッケージ商品を作れると、①複数まとめて工事を受注できるのはもちろん、②社員の提案数増加の効果が得られます。

パッケージがあれば現況(退去後の室内)と一覧とを見比べて、「まだ設置されていない設備を提案する」というシンプルな考えで提案を進められるようになるからです。

ちなみに弊社では、各工事の売値を4万円未満で設定しています。
これは4万円を超えると現場社員が一気に提案しづらくなる傾向が過去のデータから発覚したためで、利益が多少減ることになっても価格設定を抑え、提案のしやすさに重点を置いています。

また、せっかく提案を仕組み化しても、 やる気のある社員だけが頑張る状態では長続きしません。提案を「個人の努力」に頼るのではなく「組織の文化」として定着させるには、次の4つの施策が重要です。

①データで可視化し、定期的に共有

各人の提案数・受注数・売上への貢献を一覧化し、月ごとに共有しましょう。提案活動を数字で示すことで自分の成果がわかり、各人が目標意識を持ちやすくなります。

どの設備がよく売れているか、どんな提案が成功しやすいかの分析にも活用可能です。

②成功事例共有と定例フィードバック

受注の成功事例を定期的に共有し、どんなトークやアプローチが有効だったかを学べる場を作りましょう。

「こうしたらうまくいった」「このオーナーにはこの言い方が刺さった」という具体的なノウハウの共有のほか、うまくいかなかった提案も、原因を振り返ることで全体のスキルアップが図れます。

③インセンティブや評価制度の活用

提案や成約を評価基準に組み込み、成果を上げた社員が報われる仕組みを作りましょう。

金額だけでなく提案数の多い社員を表彰し、モチベーションの底上げを図ることも重要です。

④マネージャーの関与を強化

部下の提案活動をサポートし、経験の少ない社員が成長しやすい環境を作りましょう。

マネージャーが率先して「うちの会社では提案が当たり前」という空気を作り、提案文化を根付かせます

このように成果が見える化され、組織全体で評価・改善の仕組みが作られれば、提案が単発の活動ではなく“会社の成長エンジン”として機能するようになります。

1件の利益は少なくても、「提案の仕組みを整える」という目的で積み重ねた提案は、いつか組織に想像以上の利益をもたらします。

社員の育成、収益向上、オーナーとの信頼関係構築を目指して、皆さんも小さな工事に大きな期待をかけてみてはいかがでしょうか。


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