コンサルタントコラム

公開日:2026年5月25日

【コラム】家主の課題「物件」「経営」の両面から拾う

【コラム】家主の課題「物件」「経営」の両面から拾う
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賃貸管理の可能性に、挑む。

当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

今回のテーマは「オーナーの課題抽出」です。

繁忙期が終わった今こそ、提案の種を拾いに行く

この春やるべきは価値あるオーナー面談を重ねること

こんにちは、コンサルタントの萩原です。

繁忙期、大変お疲れ様でした。この数ヶ月は解約に募集、リフォーム、空室対策と、まさに全社総力戦だったと思います。満室を達成できた物件もあれば、あと一歩届かなかった物件もあるかもしれません。しかし本当に大切なのは、繁忙期が終わった「ここから」です。

4月は満室や稼働率改善を叶えたオーナーが多い時期です。必然、オーナーの気持ちも上向いていて、雑談も弾み、本音も聞き出しやすくなっています。このタイミングを「よかったですね」の電話やメールだけで終わらせるなんてもったいないと思いませんか! オーナーに会いやすく、提案もしやすいこの時期こそ、オーナーとの関係を一気に深める絶好の機会。話の入口なら、繁忙期の結果や家賃相場の動き、反響の傾向などをネタに自然に作れます。

この春、管理会社が全力を尽くすべきは、オーナーと価値ある面談を重ねること、そこで課題や悩みを拾い上げ、次の提案へとつなげることです。

物件面の潜在課題を可視化する

とはいえ、いざ面談を設けたところで担当者が直面する課題があります。用意していたトークも終わり、さあここから深掘るぞとなってから先が、担当者の能力・センスに委ねられてしまう点です。

特に経験の浅い担当者などは、物件やオーナーの潜在的課題を引き出すために何を聞き、何を話せばよいのかが分からないもの。頑張って質問しても「特に困っていない」「今のままで問題ない」と言われた瞬間に会話が止まり、せっかくの面談が「満室でよかったですね」で終わってしまいます。これでは関係性も深められず、次の相談機会も生まれません。

解決の鍵は、ヒアリングの軸を最初から「物件面」「経営面」の2つに分けておくことです。物件面とは、所有物件そのものに対する課題や不満を指します。空室、家賃、設備、修繕、入居者対応、募集条件、共用部の状況など、オーナー自身も認識していることの多い現地の問題をヒアリングします。ここは会話が具体的になりやすい領域で、オーナーに気がかりな点があればそのまま改善提案につながります。

図1:オーナーの課題を「物件」「経営」の2軸から抽出するヒアリングシート(サンプル)

このとき、担当者には社内共通のヒアリングシート(図1)を持たせましょう。シートがあれば担当者ごとのヒアリング品質もばらつきにくく、オーナーの目の前で課題を手書きして見える化できます。

また、築年数から予想される大きなイベント(各室のエアコン・給湯器の交換、大規模修繕、エレベーター更新など)を「この時期に必要ですよね」と説明したり、「何もしなければ家賃は年々下がりますよね」「家賃を上げていかないと物価の上昇に収益が追いつきませんよね」と、市場の変化を前提に空室対策の重要性を語るなども可能。

会話の中で流れていってしまいかねない課題を書き留め、視覚的にも認識できるよう整理していくことで、オーナーの“気がかり”は“解決すべき(または備えるべき)課題”として明確化されるのです。

経営面の潜在課題を可視化する

一方で、難しいのが経営面のヒアリングです。物件は満室、家賃も安定、修繕も実施していて、オーナーには特に不安や不満がない。物件の課題が見えにくいと会話の切り出し方に悩みますが、そんな「順調すぎる」状態こそが、実は最大のチャンス運用が好調な時ほど、オーナーは冷静に未来の話を語ってくれるものです。

物件面の話が一通り終わったら、思い切って「この物件、今後どうされるんですか?」の一言から話を広げてみましょう。

賃貸経営そのもの、つまり資産をどう活かし、将来どうしていくのか。収益の見通し、借入金の規模、相続、家族の意向、資産の組み換えや事業の引き継ぎなど、オーナーの人生に関わるテーマが含まれますが、ここに踏み込まずして真の「深掘り」は叶いません。シートには現在と未来の課題を書き留め、オーナー自身もまだ言語化できていない不安や、将来の論点を整理していきます。

物件ごとのデッドクロスの時期、ローン返済が終わる時期、そして最終的に売却か建替えかといった出口戦略などへとオーナーの思考を導ければベスト。管理離れが「他社での売却」で起きやすい会社ほど、この経営面のヒアリング・提案が不足しがちです。自社でも取り扱えるのに、売却の相談が別のところへ流れてしまうのは本当にもったいないですよね。

だからこそ、物件の稼働が好調な今のうちに、経営面の話ができる関係性を作っておく必要があるのです。

困っていないときこそ価値が問われる

オーナーが「困っていない」と言った時こそ、管理会社の介在する価値が問われます。その物件・経営に問題がないのではなく、オーナーがそれを問題として認識できていないだけ、ということは往々にしてあるものです。

シートには「当社の見解・ご提案」の欄が設けられていますが、物件にせよ経営にせよ、ここに明確な意見を書き込めるかが勝負所。オーナーと一緒に課題を言語化し改善へと導ける会社は、単なる「物件を管理してくれる会社」ではなく「経営のパートナー」として選ばれていきます。

繁忙期が終わった今こそ、管理オーナーに会いに行きましょう。そして、物件面と経営面の両軸から提案の種を拾い上げていく。その積み重ねが、管理会社としての提案力と収益力を確実に押し上げていきます。


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