賃貸管理の重要性、認知広がる
法制化や国家資格創出
この連載もこれが最終回だ。
仕事がますます忙しくなって、毎月丸2日はかかる執筆の時間が取れなくなってきたので、これで卒業とします。
2009年の1月から15年半、180回書き続けてきた。ある意味「苦行」だったが、この連載があるおかげで、ものごとを熟考する時間が与えられたことに感謝したい。
15年間の株価推移世界の情勢も変化
さて、この15年間を振り返ってみたい。
連載開始直前にリーマンショックが起き(2008年9月)、世界不況の時代となった。
日本の株価は2009年3月10日に7,054円という最安値を付けた。麻生首相の時代である。
麻生さんの後、2009年9月から2012年の年末まで民主党政権(鳩山、菅、野田)の時代が3年3ヶ月続いた。
株価は全然上がらず、10,000円前後のまま。2011年3月の菅直人首相の時には、マグニチュード9.0の東日本大震災が起き約2万人の方が亡くなった(行方不明者含む)。
不思議な符合だが、革新政権のときに大きな震災が起きる。
1995年の阪神淡路大震災(死者6,000人強)の時は、社会党の村山富市首相だった。
建物倒壊による死者が多かった阪神淡路大震災に対して、東日本大震災では、津波によるものが90%だった。
この後、海抜何mのところに土地があるかということが課題として注目されるようになった。
一時、たとえば湘南の海岸線に近い土地の値段が急落したりした。
2012年12月には安倍晋三氏が首相に返り咲き、「アベノミクス」を導入した。
2012年9月、自民党総裁選で安倍さんが再戦されたとたんに株価が上がり始めたのには驚いたものだ。
市場はよく見ている。
総裁選(2012年9月26日)前日の株価は8,960円であった。
退任の日は2020年の9月だが、株価は23,475円だから、安倍さんは2.6倍に上げたのだ。株価は上がり、失業率は半減し、インバウンドの観光客が増えた。
2022年の7月に安倍さんが暗殺されたのはショックだった。
習近平やプーチンと差しで話ができる貴重な人を日本は失った。
この原稿を書いている7月の命日の1週間後、今度はトランプ前大統領が暗殺されかけた。
安倍さんのときの映像がオーバーラップする。
ひどい話だ。トランプは再選されるだろう。
しかし、日本のマスコミが「反トランプ」で染まっているのが、嘆かわしい。
コロナ感染の流行対応の混乱露呈
2020年3月からは「コロナ騒動」が始まった。
個人的にはこの連載で何度か言ってきたように、コロナは騒ぎ過ぎであり、ちょっと厄介な風邪程度のものだった。
実際、厚労省は、2023年3月までの3年間に73,000人ほどコロナで亡くなっていると発表しているが、これは大いに盛られた数字である。
コロナ患者は最終的に肺炎になり、必然的にエクモか人工呼吸器を装着することになる。
その死者数をカウントしているNPO法人があるのだが、それによると、死者は3年間で3,000人程度だ。
つまり、本当にコロナで亡くなったわけではない人が「コロナ死」として認定されていることになる。
それは、元々心不全やがんや脳梗塞などの持病があり通院をしているので、スクリーニングをしなければならずPCR検査を受けたら陽性反応が出てしまった、そういう人がコロナ以外で亡くなっても全部「コロナ死」になってしまっている。
世の中は偽善に満ちている。
厚労省もマスコミも医療業界も皆でコロナを盛り上げたのだ。
2023年の5月から感染症5類指定になって、今ようやく、マスクをする人も少数派になった。
高額不動産の出現給与上昇の兆し
現在、日本の、特に都市部の不動産は上がり続けている。
東京23区の新築マンションの販売平均価格は2009年は4,000万円前後だったが、2019年には7,000万円になり、2023年にはなんと1億1,480万円になった。
超富裕層向けの物件がいろいろ出てきたのも影響している。
森ビルの「アマンレジデンス東京」はなんと300億円(453坪/坪単価6,600万)と言われている。3〜4年前、盛んに日本は不動産バブルだから、すぐに崩壊するという論調が見られたが、しっかり外れた。
予測は外れるものではあるが、一つ言えるのは、海外に比べれば「まだ安い」ということである。
そして、コストプッシュ型ではあるが、インフレが起き、実質賃金が下がっているから、ようやく給与をあげようという機運が高まってきている。
首相は、菅首相、岸田首相と続き、岸田さんは就任時の株価は27,600円だったが、いま2024年7月中旬の株価は41,000円超、そういう意味では凄い。
1.5倍だ。株価と連動して日本の不動産も上昇してきている。裏金問題で自民は逆風だが経済は堅調だ。
給与はもっと上げるべきだ。
この連載を経営者の方も読んでくれていると思うが、もっと給与を上げてあげてほしいと思う。
この15年、30年の日本経済の頼りなさはなんだろう。
たとえば欧米で食べるラーメンが1杯2,000〜3,000円で高い、というが、日本が安すぎるのだ。
給料が上がらないから購買力が上がらない、よって適切なインフレがおきなかった。
欧米はもっと給料が高いのだ。
日本経済の不調は、ひとえに日本の経営者が給料を上げる努力をしてこなかったからだと思っている。
アメリカはこの15年で平均給与は36%上がっている。
イギリスは31%、ドイツは27%だ。日本は15%である。ちなみに、ちょっと自慢になってしまうが、当社はこの4年で給与を平均26%も上げている。
振り返ってみると、この15年、いろいろなことがあった。
業界的には「賃貸不動産経営管理士」という国家資格ができ、また「賃貸不動産管理業法」も成立した。
プロパティマネジメントの重要性が世間に認知されたと思う。
真のプロパティマネジメントを実践できれば、これからこの業界はもっと発展するだろう。
そして、スタッフに勉強させる会社は、富裕層の資産管理のアドバイザーとして、ますます活躍できる。
そしてまた、人口減に伴い、賃貸管理会社の淘汰が始まるだろう。
また、収益を「賃貸仲介」に依存している業者は今後難しい。私は、「プロパティマネジメントで未来は切り開ける」と信じている。
15年半、お読みいただきありがとうございました。
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