「相談デスク」
このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。
ペットは「物」? エアコン故障時のペットホテル代
今回は判断が難しい「ペットの位置付け」について。
世間的に「ペットは家族」という風潮がある一方、民法では動物は有体物として「動産」に含まれています。つまり、「物」ですね。
先日、この「家族」と思うのか「物」とするのかで、弁護士から異なる見解をもらった事例がありました。
会社としてどう対応すべきか、皆さんも考えてみてください。
相談ダイジェスト
- ペット可物件のエアコンが壊れた。
- 季節は夏。入居者はペットホテルを利用し、その支払いを管理会社へ請求してきた。
- 【弁護士Aの見解】ペットは法律上「物」。ペットホテル代は支払う必要はない。
- 【弁護士Bの見解】とは言え、感情を考慮すれば「物」と扱うことはできないので、支払った方が良い。
専門家の回答
【弁護士Aの見解】支払う必要はない
賃貸借契約で家主には、建物を「適切な状態で」使用させる義務があります。
この「適切な状態で」というのは入居者に対して適用されることであり、そこにペットは入らない、という考えが弁護士A先生。
故障したエアコンを修繕すれば、オーナーの責任は果たしたことになるということです。
ロジカルで分かりやすい意見です。
【弁護士Bの見解】支払った方が良い
一方、支払った方が良いとするのが弁護士B先生。
法律の解釈だけでなく入居者の感情も考慮すべきだと言います。
ペットホテルに預けずにペットが暑さを理由に死亡してしまった場合、慰謝料請求が認められる可能性もあるため、その考え方からするとペットホテル代を支払うことは間違いではないそう。
こちらの見解も納得できます。
会社の方針を決めておくべき
この相談に、答えはありません。
事例から当社が言えることは、「会社の方針を決めておくべき」ということです。
この事例では、はじめに弁護士A先生の見解から「支払わない」としながらも、入居者に納得してもらえなかったため、弁護士B先生のセカンドオピニオンを受け、その結果、全額を支払っています。
しかしながら、この入居者は最終的に「退去」してしまいました。
管理会社が即断できない状態が続くと、当事者間にしこりが残ることになります。
方針が決まっていればお互いに悩むことなく、業務をスムーズにこなすことができたのかもしれません。
おわりに
スピーディーな解決が一番
ペット需要が増え、それに比例しトラブルも増えている現代。
配慮の足りない飼育、鳴き声による騒音、原状回復トラブル、ペット禁止物件における飼育・・・など、管理会社が抱えるペット問題も年々増えているのではないでしょうか。
こういったトラブルは長期化しやすく、長引けば長引くほど複雑化します。
早く解決させることを念頭に置いてルールを作っておき、一定の基準で迅速な判断ができるよう、備えておく必要がありそうです。
※この事例は2016年8月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。