何畳からがLDK? 間取りの基本をおさらい!
ふだん、当たり前のように使っているDKやLDKという不動産用語。でも、オーナーや入居者から「どこまでがDKで、どこからがLDKか」「廊下面積なども含んでいいのか」と聞かれたとき、管理会社の皆さまは明確な答えをお持ちでしょうか。
今回寄せられた管理会社からのご相談も、募集資料の作成でLDKの面積設定に困っているとのことでした。基本的な用語でも、知っているようで実はあまり知らなかった、なんてこともあるはず。この機会に間取りについての基本をしっかりとおさらいしておきましょう。
【相談ダイジェスト】
- 物件の募集資料で、間取りのどこまでをLDKの面積に含めるのかと相談
- LDKに境界なく続いている廊下面積は含めていいのか
- 壁付きキッチンやアイランドキッチン、間仕切りのない収納スペースはどうか
- LDKに限らず、間取りを分類するための基準はあるのか
専門家の回答
DKとLDKの広さの違いは?
間取りの分類など、不動産広告のルールについては「不動産公正取引協議会連合会」が一定の基準(不動産の表示に関する公正競争規約)を定めています。そこに示されているDKやLDKの使用基準は【表1】のとおりです。
《表1.DKまたはLDKに最低限必要な広さの目安》(「不動産の表示に関する公正競争規約」より引用)
表では「畳」で示されていますが、地域によって一畳の面積は異なりますよね。そこで、同規約では一畳当たりの広さを1.62㎡(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上と定めています。
従って、表1によると、賃貸住宅でよく見られる各種間取りの面積基準は【表2】のようになります。
《表2.賃貸住宅でよく見られる各種間取りの面積基準》
こうした数字はあくまで「不動産公正取引協議会連合会」が定める指導基準ですが、大手不動産ポータルサイトもこれに準じて広告掲載ルールとしています。
とはいえ、DKとLDKでは反響が大きく異なるように、間取りの差は客付けに直結します。管理会社の皆さまも、募集資料を作りながら「面積が9畳しかないけれど2LDKで募集したいな」と思うことはよくありますよね。
あるいは、オーナーから「9.5畳でしょ。たった0.5畳の差なんだから2LDKにしてよ」と無茶な要求をされることもあるかと思います。
しかし、間取りの定義についてお客様に突っ込まれることは少ないにしても、実際の面積と異なる間取りを謳うのは倫理的にアウトです(物件紹介のポータルサイト的にも当然アウト)。できる限り基準に沿った内容で間取り表示をしていきましょう。
廊下やキッチンは居室に含まれる?
もう一つ、ご相談では「廊下や設備など、どこまでをLDKの面積に含めるのか」という質問もありました。
相談者が挙げた「廊下」「壁付きキッチン・アイランドキッチン」「間仕切りのない収納スペース」の3点について、含まれるかどうかをそれぞれ見ていきましょう。
【廊下】
ドアなどで居室と区切られているかどうかが焦点となります。区切られている場合はLDKなどの居室面積には含めず、区切られていない場合は含めることもあるのが実情です。ただし、後々のトラブル防止のためにも廊下は極力含まない方がいいかもしれません。
【壁付きキッチン・アイランドキッチン】
LDK内にあるキッチン部分の面積は、壁付きキッチンでもアイランドキッチンでも居室面積に含まれます。
【間仕切りのない収納スペース】
間仕切りがないだけで収納スペースとしての用途が前提となるため、LDKなどの居室面積には含めないと考えた方がいいでしょう。
【余談】地域で異なる「畳」の大きさ
ところで、お部屋の広さを表す「畳」ですが、畳の大きさは地域によって異なることをご存じでしょうか。大きい順に、京間・中京間・江戸間・団地間の4種類が知られています。
《表4.地域により異なる畳の大きさ》
ただ、伝統的な「畳」の数え方では、特に和室だと地域差で誤解が生まれるかもしれません。
間取りを畳で表すとしても、その横に「㎡」も併記してあげるといいでしょう。もちろん、不動産広告では入居者の混乱を招かないよう、一畳=1.62㎡以上(縦180cm×横90cm程度)で統一されています。
ちなみに、和モダンでよく使われる「琉球畳」は特殊で、半畳(一般的に880mm×880mm)の縁のない正方形をしています。
間取り知識の再点検を。
最近は入居者ニーズの変化から、DKを間取り変更してLDKに作り変えるといったフルリノベーションも増えてきています。
また、コロナ禍の影響でワークスペースを求める入居者の声が高まり、DEN(書斎、小部屋)やS(サービスルーム)といった間取りが再度注目を集めるようになってきました。
そうした間取りを取り巻くニーズ変化のなかで、管理会社にとって間取りの基本的な知識は欠かせません。ベテランの方も新人さんも、ぜひこの機会に間取りについて知識の再点検をしてみてください。
※この事例は2021年6月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。