相談デスク

公開日:2016年9月13日

「また値下げ?」ムリな家賃値下げ要求への対応とは

「また値下げ?」ムリな家賃値下げ要求への対応とは
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「相談デスク」

このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

「また値下げ?」ムリな家賃値下げ要求への対応とは

今回は「入居者からの”ムリな”家賃値下げ要求」について。 

インターネットの普及により類似物件や、ともすれば隣の部屋の家賃まで分かってしまう、このご時世。

「相場に合わせて安くしてよ!」なんて言われることも少なくはないですが、今回はもう少しエスカレートした話。

誰もが当たるかもしれない「”ムリな”値下げ要求」への対処法を考えていきましょう。

相談ダイジェスト

  • 普通借、代理方式、2年更新の商業ビル内店舗の契約。現在の賃料は19万5千円。
  • 明け渡しの遅延損害金は賃料の倍額。
  • 2年前の更新の際に借主から2万円の家賃値下げ交渉が入るが折り合いがつかず、結局は貸主が折れ、要求を飲んだ。
  • 今回の更新につき、借主はさらに5千円の値下げを要求してきた。
  • 借主の商売は良好であり、家賃相場からも決して高い家賃ではない。
  • オーナーも今回に関しては絶対に下げない、という意向。解約をも辞さない考え。
  • 管理会社としても19万5千円で客付け可能なので、オーナーに同調する。

専門家の回答

1.まずは意思表示を

まず、電話や通常の郵便で良いので、値下げ要求拒否並びに速やかに更新に応じるように伝えましょう。

借主の要求には応じる必要はないので、はっきりとした態度で臨むことが大切です。

2.内容証明郵便を送る

先の連絡で借主がなおも値下げ要求を強行し、同額での更新拒否が明らかとなった場合、またははっきりとした意思が つかめない場合は更新手続の期限に応じて、内容証明郵便を出します。

【内容証明の内容】

○賃料値下げを拒否すること

○手続き期限に応じ、速やかに更新手続きを行うこと

○応じない場合は契約期間満了をもって解約となるので満了日までに遅滞なく明け渡すこと

 

ここまでで、相手の出方を待ちます。

 

パターン1:満了後も居直ったら

さて、内容証明郵便を送った後の話になります。

相手の出方に応じて、対処していきましょう。

まず、更新手続きに応じないまま契約期間が満了し、そのまま居直ってしまった場合。

その時は「明け渡し訴訟」を起こしてください。

それも、即時、遅くとも1週間程度で行うようにしてください。

※参考「不動産問題ネット相談室

パターン2:賃料を支払ってきたら

更新手続きに応じないまま契約期間が満了したのに、賃料を支払ってきたら。

これは「使用損害金」として受領します。

契約が切れているので、もちろん賃料として受け取ってはいけません。

さらに、再度、内容証明郵便を送ります。

【内容証明(2)の内容】

○契約はないので賃料ではなく「使用損害金」として受領すること

○賠償金は契約書の通り(この事例の場合は賃料の倍額)であること

○契約が切れているので即時明け渡せ、ということ

パターン3:調停等の法的手段をとってきたら

借主が調停など法的手段をとってきたら、その流れで争いに入ります。

この事例の場合、恐らく、相手の要求は通りません。

ただし、こちらの意にそぐわない結果でも、従うしかありません。

パターン4:供託を行ってきたら

供託とは、交渉がうまくいかず、相手が代金を受け取らない場合に取る手段。従前の金額を法務局に収め、決着したところで法務局から支払われる。

借主が供託を行った場合、基本的に相手の動きを待てばよいでしょう。

この状態は言わば「更新でも解約でもない状態」で、どちらかが裁判等の手続きを行わないと動きません。

こちらとしては決着がつくまで支払われないということ以外はさほど痛くはないので、相手が動かなくても放っておけば良く、そろそろ欲しいなと思ったところで動けば良いでしょう。

これに対し、借主は主張が通っていないのとなんら変わりが無く、 また、居座時の倍額規定もあるので、もし敗訴となった場合には長引いた分だけダメージが大きくなるため、現状打開のためには自らが動くことが必要となります。

おわりに

対応せずにズルズル、が一番危ない

2年前の更新時には賃料交渉が長引き(約7ヶ月)、結果、泣き寝入りのような形になってしまったこのオーナーさん。

ズルズルと引きずって満了日を過ぎてしまうと、法的にも更新された(法定更新)とみなされる可能性が高くなります。

ですから、借主から賃料値下げの要求があったら、まず落とし所を決め、即時対応していくことが重要となります。

私たち管理会社は両者の間に入り、オーナーさんの利益を守っていくことが求められるのです。

※この事例は2013年4月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。


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