相談デスク

公開日:2018年6月8日

「入居者と連絡が取れない!」安否確認のための開錠・入室で気を付けるべきポイントは?

「入居者と連絡が取れない!」安否確認のための開錠・入室で気を付けるべきポイントは?
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「相談デスク」

このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

安否確認のための開錠・入室で気を付けるべきポイントは?

ある程度の数の賃貸管理を行なっていれば、年に数回は「安否確認」の依頼を受けるものです。

「一人暮らしの息子と連絡が取れない」

「うちの会社の従業員が3日も無断欠勤している」

…などなど、安否確認の依頼の時は、入居者の生命にかかわる逼迫した状況であることがほとんどです。

 

しかし、中には開けてみたものの、本人は無事に生活していた、というケースもあるものです。

「無断で入室するなんてどういうつもりだ!」

そんな風に言われてしまったら、管理会社はどうすればいいのでしょうか。

 

相談ダイジェスト

  • 入居者と連絡が取れない、と連帯保証人である本人の両親から連絡が入った。
  • すぐに部屋のカギを開けてほしいと言われたため、警察に相談してもらったうえで開錠した。
  • 原則として警察の要請の元に開錠しているが、そもそも管理会社に開錠の義務はあるのか?
  • また、無断開錠によって入居者から訴えられてしまうような可能性はあるか?

専門家の回答

開錠の義務はないが、実務では協力したほうがベター。無断開錠もそれが「社会的相当行為」であれば損害賠償の可能性も低い。

管理会社が関係者から安否確認のための開錠を依頼された際、後々のトラブルを避けるために一度「警察への相談」を経由することが多いかと思いますが、基本的にはこの手順に問題はないでしょう。

借主には賃貸目的物を占有支配する権限が与えられているので、そもそも、借主に無断で居室の鍵を開けることは原則としてはできません。しかし警察の要請の元で開錠をした、という形が作れれば、鍵を開けられてしまった入居者側も管理会社や貸主に対して不満を持つことは少ないと思われます。

 

一方で、管理会社が「安否確認のために開錠する義務」を負っているかというと、実はその義務はありません。

なぜなら、いくら警察の要請であっても、安否確認は刑事訴訟法に定められている「強制捜査」ではないからです。関係者が警察に相談し、警察を介して開錠依頼が来たとしても、何かしら不審な点などを感じた場合はこれに応えないことができます。そもそも警察も、強制ではなく「開錠のお願い」という姿勢のはずです。

ただし現実問題として、安否確認の依頼がある状態は一般に「部屋の中で事件が起こっている」「賃借人が死亡している」など、重大な状況に陥っている可能性が高く、処理が遅れれば賃貸人・賃借人の双方に損害が及びかねません。

以上のことを考えると、管理会社としては安否確認に積極的に協力し、開錠の手配を行なったほうがいいでしょう。

無断の開錠・入室による損害賠償?

では、開錠したものの入居者の安否になんら問題がなかった場合はどうでしょうか。

入居者から「無断で鍵を開けるのは違法行為だ!」等と主張されてしまうことはないでしょうか。

 

これについては、開錠の状況にも因りますが、おそらく開錠は「社会的相当行為」と見なされ、損害賠償の責を負うことは少ないと思われます。

ここ数日の様子がおかしい、部屋の中から異常が感じられる、など、開錠を必要とする安否確認は人の生死にかかわるような状況が発生している可能性が高いために行われます。

この異常事態/生命という価値の喪失を防ぐために行われる開錠という行為は、社会の倫理規範に照らした際「仕方がない範囲の行為」と判断されることが多いでしょう。そして、違法性とは、この社会的相当性を逸脱した部分に対して認められるものです。

よって、仮に入居者から無断開錠について損害賠償を提訴されたとしても、開錠が社会的相当性の範囲内で行われたものであれば、貸主や管理会社が損害賠償の義務を負うことは少ないと思われます。

 

 

ちなみに、もうひとつ。

管理会社としては、「開錠に関わらない」という手段でこの責任を避ける方法もあります。開錠の依頼に応じず、関係者(親族・会社の同僚等)が鍵業者に依頼して(勝手に)解錠した、という形にするのです。

ただ実際には、鍵業者も借主や所有者など、正当な権限のある者の依頼がなければ解錠に応じない場合がほとんどです。理論的には可能ですが、あまり実用的とは言えないでしょう。

開錠・入室について、予め特約でリスクヘッジ。

なお、このような安否確認だけに限らず、急な漏水や火災の発生などによって無断開錠・入室が必要になる場合もあります。

管理会社としてスムーズに行動するためには、予め契約書に「立ち入り」に関する特約を設け、一定のリスクヘッジを図っておくことも有効です。

 

第〇条(立ち入り点検)

甲または甲の代理人は、次の場合に本物件に立ち入り、これを点検し、適切な処置をとることができるものとします。

(1)官公署が法令等にもとづき調査・立ち入りを求めたとき。

(2)甲または甲の代理人が、管理上必要と認めたとき。

※甲=貸主としています。

 

権利関係のデリケートな部分である一方で、事態が深刻化しやすい「安否確認」。

賃借人の無事を早期に確認でき、かつトラブルに発展しない仕組みを社内で考えてみるべきでしょう。

※この事例は2017年7月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。


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