相談デスク

公開日:2019年11月22日

隣地からの騒音被害 管理会社は注意してもいい?

隣地からの騒音被害 管理会社は注意してもいい?
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「相談デスク」

このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

隣地からの騒音被害 管理会社は注意してもいい?

集合住宅や住宅地では切っても切り離せない騒音問題。

人それぞれ不快に感じる程度やライフスタイルが異なることもあり、管理会社としても手を焼くクレームの一つかと思います。

「隣の部屋がうるさい」「上階の住人の足音がひどい」など、管理物件内での騒音トラブルは日常茶飯事ですよね。

 

とはいえ、それが管理物件であれば、入居者への呼びかけや防音設備による対策など、アプローチもしやすいもの。

これがもしも管理外の、たとえば「隣地の住宅」が騒音元だったらどうでしょう?

相談ダイジェスト

  • 管理物件の入居者から隣地の一戸建てからの騒音がひどいと相談
  • 入居者は管理会社から直接注意してほしいと要求
  • さらに入居者は「このまま騒音が続くようなら退去する」との訴え
  • 隣地からの騒音は、管理会社が掛け合うべき?

専門家の回答

オーナーは貸主として妨害排除請求権の行使も可能。退去者が出るようなら騒音元と話し合いを

隣地の一戸建てからの騒音を理由に入居者が退去してしまったら…オーナーとしてはそれまでの家賃収入がなくなり、原状回復や新たに入居者を募集する必要が発生します。

これには費用も手間もかかってしまいますし、ほかにも騒音を理由に入居者が家賃の値下げを請求してくるかもしれません。

 

となれば、直接的な迷惑を被っているのは入居者ですが、オーナーは騒音によって所有する貸家の賃貸経営を妨害されていると考えられます。

こうした妨害から自身を守るため、貸主は賃貸物件の所有権に基づいて、近隣の住民に対して妨害排除請求権を行使することが可能です。

 

妨害排除請求権とは、物権(物を直接に支配する権利。典型は所有権)に対する侵害を除去したり、侵害を予防したりすることを請求できる権利のこと。つまり、所有権のある人には、所有権の行使を妨害するようなものがあれば、これを排除するよう妨害元に請求することが認められているのです。

今回の相談では、騒音によって所有する貸家の経営を妨げられていると受け取れるため、この権利を行使して、騒音元に注意や騒音を出さないよう請求することが可能です。

権利行使の前に必ず状況を確認。受忍限度を超えているかが判断基準

しかし、権利があるとはいえ、入居者の訴えが正当なものかは確認する必要があるでしょう。

騒音の感じ方は人それぞれですし、発生時間帯によって影響が大きく左右されるものです。また、もしも入居者が騒音に過剰に反応する人だったら、誤った請求をすることになるかもしれません。

ですので、ほかの入居者にヒアリングするなど、被害状況をよく把握しておくことが大切です。

 

状況を調べるにあたり、基準となるのが「受忍限度論」です。

受忍限度は、目安として定められている騒音値(一般的にうるさいと感じるのは60dbを超えたあたりから)に加え、頻度や内容、継続時間、発生時間帯などから推察される「社会生活を営む上で我慢できる限度」です。これを超えるようであれば、その騒音は他人の権利を侵害していると判断できます。

先述の通り、騒音の感じ方は主観ですので、できるだけ客観的に判断する必要があります。各種法律や条例で定められた騒音の規制基準も参考にしながら、本当に問題があるのか、受忍限度を超えていると言えるのかどうかを慎重に調べましょう。

 

なお、騒音問題は、被害を訴える側が過敏であることが少なくありません。

実際に調べてみると「受忍限度を超えるものではなかった」と判断されるケースもしばしば出てきそうです。

管理の範疇を超えている?弁護士の見解

以上のように、貸主やその代理人である管理会社は、たとえ隣地からの騒音であっても能動的に動くことができることが分かったわけですが、しかし弁護士によっては「オーナーや管理会社がそこまで対応しなくてもいいのでは?」という見解も。

 

妨害排除請求権が認められているとはいえ、「隣地の騒音まで対処するのも賃貸管理の業務範囲である」とするのも少々乱暴です。

騒音元が管理物件でもない隣地の一戸建てであるなら、法を盾に交渉する前に、まずは当事者同士で話し合ってもらうのも一つの手でしょう。また、対応しないからといって、管理会社として怠慢であると言うことも難しいはずです。

当事者から一度注意や指摘をされることで、相手側が気にして改善されることも多々あります。もちろん、改善されない、トラブルが深刻化したといった場合には、管理会社やオーナーがフォローしていくべきでしょう。

※この事例は2013年7月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。


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