コンサルタントコラム

公開日:2017年5月9日

【コラム】従業員の離職にともなう7つの損失

【コラム】従業員の離職にともなう7つの損失
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従業員の離職にともなう7つの損失

新しい組織のあり方が求められている

前回のコラムでは「賃貸管理はブラックな仕事なのか?」というテーマのもと、従業員満足の大切さややりがいの必要性、人という資源を重視することで得られるメリットなどをお話しました。

また、従業員の万一の退職を考えて企業が取るべきリスクヘッジ策や、重要な情報財産の残し方についていくつか提案させていただきました。

 

しかし、不動産業界には、まだまだ「ブラック」な気質が充満しているように感じます。

 

そこで今回は、業界各社にもう少し危機感を持っていただくべく、従業員の離職によって発生するデメリットやリスクについてお話したいと思います。

題して「従業員の離職にともなう7つの損失」です。

離職で失われるのは人材だけではない

従業員の離職は、決して人材そのもの(その人の固有スキルなど)の損失に留まりません。

たとえば、以下の損失に目を向けてみましょう。

 

1.本人および補充人員の採用コスト(募集・面談・採用)

2.本人および補充人員の教育コスト(研修・OJT・資格取得)

3.退職金

4.知識の損失(離職者の頭の中にある固有の情報)

 

採用には思った以上にコストがかかるものです。

大手求人媒体に出稿すれば数十万円の料金がかかりますし、募集したからといって必ず良い人材が採用できるとは限りません。

人材紹介を使うとなると、一般的には採用した人材の年収の3割程度を報酬として支払うことになります。

もちろん無料媒体(ハローワークなど)を使うこともできますが、効率に疑問も感じますし、そもそも何の媒体を使おうと採用対応には人件費がかかります。

求職者の応募に対する事務作業はもとより、マネージャーや経営者の貴重な時間と人件費が、選考作業や面接業務に費やされていることを忘れてはなりません。

 

そして同様に、採用後の教育にもコストがかかります。

自社で研修を行なうにしろ、他社の研修に行かせるにしろ、社員を教育するためには少なからぬ費用が発生します。資格取得の支援制度/手当なども、離職となれば損失の一部として計算せざるを得ません。

せっかく育てた社員を失うこと、そして、また新しい人材にまったく同じことを教えなければならない時間と人件費は、教育における大きな損失と言えるでしょう。

 

さらには、前回少しお話しした「暗黙知」の損失。

これを軽視していると、離職者の業務に関わっていた顧客や取引先、果ては同じ部署の他のスタッフまで失うことになります。

万一、離職者が発生した場合、その後の業務をどうやって「今まで通り」にこなすか、という対策は、組織が相当な優先度をもって取り組まなくてはならない課題といえるでしょう。

また、以下のような、目に見えにくい損失にも注意を払わなくてはなりません。

 

5.組織全体の生産性

6.部署内のモチベーション

7.離職者による会社の口コミ投稿による悪影響

 

離職者の発生は、決してゼロにできるものではありません。

故に、採用のコストや教育のコスト、退職金、離職者が出た際の社内への悪影響などは、必ず発生するものとして、ある種の「あきらめ」をもって対策を講じる必要があります。

しかし、あきらめることなくゼロに近づけなければならない損失、というものも存在します。

それは、将来にわたって悪い影響を引き起こす可能性のある損失です。その損失を防ぐことをあきらめれば、将来、組織が自らの首を絞めることになりかねない、という種類の損失です。

この7つの中で言えば、「知識の損失」「会社の口コミ投稿」がそれに当たります。

恐るべき口コミ投稿

インターネットが社会に普及するにつれて、「口コミ」ほど影響力が大きくなったものもないでしょう。

インターネット通販で商品を買うとき、会社の飲み会会場を予約するとき、滅多に来ない街でランチをするとき、接待で使うゴルフコースを選ぶとき…。

皆さんも様々な場面で口コミを当てにしていると思います。むしろ、誰かの口コミを求めて検索をすることも少なくないのではないでしょうか。

 

求職者も、同様の心理で会社の口コミを求めています。

そして発見した口コミに、多大な影響を受けることになります。

儲かっているのか、いないのか。働きやすい環境なのか、そうでないのか。残業は多いのか、少ないのか…。なにせ何十年と働くことになるかもしれないのですから、求職者も情報を得ることに必死です。

 

それ故に、悪意ある口コミを投稿された際のダメージは深刻です。

 

口コミを鵜呑みにした求職者は、決して応募ボタンを押すことはないでしょう。人材を獲得できるチャンスが失われ、採用コストにも無駄な部分が増えていきます。

そればかりか、口コミは求職者以外の不特定多数の目にも晒されることになり、顧客や取引先にも影響を与えるようになります。「悪徳不動産屋」とでも書かれれた日には、入居希望者とオーナー、一気に両方の顧客を失うことになりかねません。

そして厄介なことに、口コミというものは削除が難しい場合が少なくありません。消すことができない口コミは、たとえ10年経っても、20年経っても、会社名検索とともに検索結果に表示されます。

 

何よりもまず、「書かせない」という対策が必要なのです。

 

離職者ができるだけ円満退社できるよう配慮する…というのも変な話ですが、「雇ってやっている」「いつでもクビにできる」という意識から、感情的に「今日でクビだ!」と解雇していては、ただただ悪い口コミが量産されるばかりです。

雇用契約や就労のルールを整備し、たとえ社員が離職することになってしまったとしても、双方が納得できる形で雇用契約を終了できるよう、工夫と改善を続けていくことが必要になります。

ルールが変われば口コミの意味も変わる

また、世間から見て「おかしい」と思えるような社内の慣習やルールがあるなら、きちんと改めていくことです。

いくら採用や営業に悪い影響が出たとしても、「事実」を記しただけの口コミのことは責められません。口コミを消させる前に、社内の慣習や社員それぞれの考え方を改めるほうが先でしょう。

 

同様に、「休みが少ない」「残業が多い」といった口コミも、削除を訴える前に社内のルールや働き方の改善に取り組むべきです。

「なぜ、うちの会社は他社に比べて休みが取れないのか?」

「なぜ、うちの社員は他社に比べて帰宅が遅いのか?」

気づいて考えてみれば、業務の改善や生産性の向上が図れるかもしれません。そして「事実」として年休の多さや残業の少なさを提示できれば、口コミもあくまで「過去の情報」となって、影響力を失うでしょう。

 

従業員の離職は避けることができませんが、将来にわたる会社のリスクを最小限に抑える仕組み作りは必要です。

また、その仕組みづくりは必然的に、会社の労働環境を改善したり、社員の生産性を高めたりといった、企業にとって歓迎すべき状態を作り出すものとなるでしょう。

 

組織を改善すれば離職が減り、口コミも良いものばかりとなり、良い人材が集まるようになる。

良い人材が集まれば生産性が高まり、新しいアイデアが生まれ、働きやすい環境にまた一歩近づく。

 

現実はそれほど簡単ではありませんが、理想を目指して進まなければ現状は改善されません。7つの損失をどこまで減らせるか、企業は今こそ真剣に考えるべきでしょう。


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