コンサルタントコラム

公開日:2020年10月30日

【コラム】入居者の「クレーマー認定」も必要! 管理会社がクレーム対応で押さえるべき3つのポイント

【コラム】入居者の「クレーマー認定」も必要! 管理会社がクレーム対応で押さえるべき3つのポイント
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賃貸管理の可能性に、挑む。

当コラムでは「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」をオーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

今回のテーマは「クレームへの対応方法」です。

クレーム対応で管理会社が気を付けたい3つのこと

皆さんこんにちは、コンサルタントの山城です。

沖縄の賃貸管理会社に10年以上勤めた後、入居者対応や空室対策などの経験を糧に、現在はコンサルタントとして全国の賃貸管理会社に向けて情報発信および管理サポートを行なっています。

 

前回のコラムでは「クレームに発展してしまう原因」についてお伝えしました。

続きとなる今回は、入居者からの「要望」がクレームに発展してしまった場合、管理会社は入居者にどう向き合えばいいのか、という点に着目。効果的な「クレームへの対応方法」を紹介します。

クレームに直面したとき、管理会社にぜひ気を付けてほしいことは次の3つです。

  • 入居者の気持ちを収める謝罪と感謝を活かすこと
  • 小さな要求を繰り返して解決への道しるべをつくること
  • 「一定のライン」を設けてクレーマーを見分け、リスク回避に努めること

 

まずクレーム対応において念頭に置いておきたいのは、残念ながら「借主と管理会社は対等な立場ではない」という事実です。

管理会社は貸主と借主の間に立つ存在です。ということは、貸主だけでなく借主に対しても利益のあるサービスを提供する必要があります。

加えて、借主には部屋を使用収益する権利があり、その権利が害されていると連絡が入った以上、管理会社は借主の要求に従って「過ごしやすい環境」を提供する義務があります。

つまり、管理会社はそもそもからして、借主の要求をある程度呑まねばならない立場にあるのです。

 

とはいえ、借主に言われるがままに従ってしまうのも問題です。

なぜなら、管理会社は賃貸管理のプロフェッショナルとして、「貸主・借主の双方に益があるように」トラブルを解決する役目を期待されているからです。

借主の一方的なワガママまで聞いてしまえば、損失を被ることになるのは貸主です。

借主からの要求に対して「できること」「できないこと」の線引きをしっかり行ない、できることの範囲内でクレームをうまく解決に導く必要があるでしょう。

 

相手が「クレーマー」であるのなら、なおのこと「言われるがまま」は禁物です。ポイントを押さえた対応で炎上を防ぎ、案件を解決へ向けて前進させましょう。

入居者の気持ちを収める謝罪と感謝を活かすこと

いざクレームに発展してしまった場合、怒っている入居者の温度感を下げるのに欠かせないのが「謝罪」と「感謝」です。

謝罪には怒りを鎮める効果がありますし、「具体的に何が悪かったか」を伝えることで相手の要求を理解していると示せますので、その後の話がスムーズに進みやすいというメリットがあります。

 

また、感謝を伝えることで、入居者は自分の怒りが正当なものだと安心し、冷静さを取り戻しやすくなります。加えて、感謝を述べている相手を人は怒りづらいもの。怒りに歯止めがかかりやすくなる効果も見込めます。

 

電話口から急に怒り口調の言葉を浴びせられると委縮してしまいがちですが、謝罪と感謝を上手に使うことで、クレームに対して効果的な初期消火が期待できます。

謝罪は具体的に、気持ちに寄り添って

しかし、謝罪と言ってもただ謝ればいいわけではありません。

「申し訳ございません、申し訳ございません」と闇雲に謝罪を繰り返したところで、かえって入居者の感情を逆撫でしてしまい、「私がなんで怒っているか分かっているのか!」と火に油を注ぐ事態にもなりかねないからです。

 

そこで有効となるのが具体的な事柄に対して謝罪することです。

具体的な事柄とは、入居者が抱えている不満や、感じている不快感そのもの。怒りの出発点となる原因に目を向け、的確に謝罪できれば、入居者も「話が通じた」「分かってもらえた」と安心して、気持ちも収まりやすくなります。

 

たとえば、イライラしたり不安になったりしている入居者の心理状態にフォーカスし、謝罪の最初に「ご不便をおかけして」「ご心配をおかけして」「ご不快な思いをさせてしまって」と、謝罪対象を明確にする言葉を加えます。相手の心に寄り添った謝罪を行なうことで、怒りの度合いを和らげる効果が期待できるのです。

 

何に対して謝るのか、対象を明らかにしたうえで「申し訳ございません」と頭を下げるようにしましょう。入居者への「気遣い」が伝われば、謝罪の効果はより一層高まります。

 

また、自分たち管理会社の対応に非があった場合は、「対応が遅れてしまい」「確認が遅れてしまい」「失念してしまい」など、誤りを素直に認めて謝罪しましょう。

非を認めないことには、入居者は怒りが収まらず、次のステップに移ることを許してはくれません。問題解決がどんどん遠のいていきますので、しっかりと、そして速やかに謝ることが大切です。

「ありがとうございます」の併用

謝罪と合わせて、クレーム対応で使いこなしたいのが「感謝」の言葉です。

クレームを入れたにもかかわらず、相手に感謝の言葉を返されてしまうと、それ以上はなかなか怒りづらくなるものです。

そうなると入居者の怒りは沈静化に向かってくれますし、徐々に冷静さを取り戻し、問題解決に向けて落ち着いて話し合える可能性も見えてきます。

 

とはいえ、クレーム対応中に感謝の言葉を投げかける技術は、一朝一夕で身につくものでもありません。

いざというときに備えて、日頃から入居者に対して「ありがとうございます」と伝えるよう心がけ、クレーム発生の抑止に努めたいものです。

《たとえば》

  • 「貴重なご意見をありがとうございます」
  • 「ご協力いただきありがとうございます」
  • 「お忙しい中、ご連絡いただきありがとうございます」

《実際の使用例》

「お忙しい中、エアコンの動作確認にご協力いただきありがとうございます」

小さな要求を繰り返して解決への道しるべをつくること

早期に問題を解決するためには入居者の協力が欠かせません。

しかし、クレームが深刻化してしまうと、入居者との信頼関係も大きく崩れてしまい、なかなか協力を得にくくなってしまいます。問題解決のためにはクレーム対応のなかで入居者との信頼関係を再構築していく必要があるのです。

 

一度壊れた関係を修復するのは簡単ではありませんが、その際、役に立つのが「フット・イン・ザ・ドア」という心理テクニックです。

「フット・イン・ザ・ドア」とは?

段階的要請法とも言われる「相手にYesと言わせやすくする技法」です。

最初は簡単にできる小さな要求をして【Yes】の承諾をもらい、徐々に要求を大きくしながら【Yes】を重ね、最終的には本命の要求に対しても【Yes】をもらうことを狙います。

 

非協力的になってしまった入居者との関係を再構築するには、まずは「現状の再確認」といった小さな要求からスタートするのが有効です。

相手に負担のかからない要求から少しずつ【Yes】を重ね、だんだんと「入居者に取ってもらいたい行動」にまで要求を大きくしていきます。

《たとえば》 ※〇〇様:入居者

  1. 〇〇様は現在こういった状況で悩んでいますね(状況確認)
  2. 〇〇様にはこういった行動を取ってもらいましたよね(状況確認)
  3. 弊社はこう対応しましたね。(状況確認)
  4. 入居者様はこういった状況にしたいですよね(解決の未来像提示)
  5. 解決のために、次はこの行動が必要ですね(解決策の提示)

 

このように、協力関係が存在していた時の行動の再確認や、今後必要な行動を分かりやすく示すことで、入居者にとって「はい」「そうです」と肯定しやすい状況をつくります。

 

実は人間には「一貫性の原理」 という、自分自身が行なった行動や思考を一貫して保ちたいという心理的な働きがあると言われています。

フット・イン・ザ・ドアを活用し、小さな要求に【Yes】と言わせて「協力する」という行動を繰り返し重ねれば、「協力する行動」そのものを保とうとしてくれることになり、最終的にはこちらの要望に対する協力行動、ひいては入居者との信頼関係の再構築も叶う、というわけです。

 

入居者の協力が得られると、問題解決の道のりはぐんと短縮されます。クレームを入れた相手だからと諦めず、少しずつ協力関係を築きながら解決へと導いてください。

「一定のライン」を設けてクレーマーを見分け、リスク回避に努めること

前回コラムの「特殊な入居者」でもお伝えした通り、入居者の中には「クレーマー」 と呼ばれる非常識な人たちが一定数存在します。

彼らに対して通常の入居者と同じような対応をしてしまうと、担当者どころか部署・会社単位で多くのリソースを消費し大きな損失を被ることとなるため、こうした人たちに対しては特別な対応を用意しておく必要があります。

 

しかし、一口に「クレーマー」と言っても、何をすれば「クレーマー」なのか、明確な定義があるわけではありませんし、最初は普通だった人が「クレーマー」へと成長してしまうのもよくある話です。

「特別な対応」をしようにも、境目があいまいでは、行動の切り替えに迷いや誤りが発生しかねません。

 

そこで、まずは社内で「どういう人物がクレーマーなのか」を話し合い、一般の入居者とクレーマーとを分けるライン決め(線引き)を行なうことが必要になります。

一定のラインを設け、「ラインを超えたらクレーマーとして扱う」という共通認識を持てれば、リスク回避に向けた行動を会社全体で取ることができます。

 

逆にライン決めをせず、クレーマーの定義がない状況を放置すれば、矢面に立たされた担当者は長引く対応に疲れ果て、退職という選択をしてしまう恐れもあります。

ライン決めは、管理会社としてクレーマーから社員や会社自体を守るための、最初にとるべき重要な行動なのです。

《クレーマー認定のライン例》

  • 過度な要求をされた
  • 揚げ足を取るような言動があった
  • 問題解決に無関係な要望があった
  • クレームの頻度が著しく高い
  • 脅すような言動があった

 

上記に複数当てはまるような場合は「クレーマー」として対処しましょう。一定の対処はしつつも、特にスタッフ個人での深入りは避けさせ、会社として速やかにリスク回避の行動を取るべきです。

有効なクレーマー対策とは?

とはいえ、管理会社としては問題解決のためにできることをしなければなりません。

最大限の対応と謝罪を行なったうえで次のポイントを意識しましょう。

《クレーマー対策のポイント》

  1. 過度な要求には応じない
  2. 録音をして問題解決に向けた話し合いを行なう
  3. 業務妨害に抵触するか見極める

1.過度な要求には応じない

まずは管理会社として、入居者の要求にどこまで対応するか上限を決め、上限を超えた要求には応じないよう徹底する必要があります。

一度でも過度な要求に応えてしまうと、クレーマーは際限なく要求を繰り返してくるからです。

いくら断っても、「あのときは対応してくれたじゃないか」と粘り強く反論し、最終的にこちらが対応せざるを得ない状況に追い込まれかねません。

 

なお、要求が「過度」であるかの判断は、先ほど述べた「社内のライン決め」次第です。

ただし、「誠意を見せろ」と金品を要求したり、遠方にもかかわらず「こっちに来て直接謝れ」と対面での謝罪や土下座の強要したり、女性スタッフを指名して謝罪を要求したり…、といったケースは大抵「過度」と判断できるでしょう。

常識を逸脱した要求には、法的手段等も想定しながら毅然とした態度で応じるべきです。

2.録音をして問題解決に向けた話し合いを行なう

クレーマーと話し合いの場を持つ際、その話し合いを建設的なものとするためには「録音」という手段が有効です。

録音は、管理会社の案件対応記録としての目的で行なってください

目的が対応記録のためであれば、入居者の承諾がなくとも録音は可能であり、万一訴訟問題に発展してしまった場合にも証拠として活用できます。(※録音データの流出や悪用については別途責任が生じます)

 

また、あらかじめ録音することを伝えておけば、その表明自体が有効に働きます。

クレーマーが感情的になりにくくなり、問題の解決に向けた建設的な話し合いも期待できます。

3.業務妨害に抵触するのか見極める

最後は「業務妨害」の判断です。

明らかに業務妨害をされている場合は、警察に通報するなどの毅然とした態度で臨みましょう。

《業務妨害の例》

  • 接客スペースにて大声で怒鳴り続ける
  • 頻繁にクレームの連絡が入り仕事にならない
  • 電話口で怒鳴り続ける

 

たとえば、店内にもかかわらず大声で怒鳴り続ける入居者には、まずは「他のお客様のご迷惑になるので声量をお控えください」など改善の要望を伝えますが、改善されない場合には警察への通報も視野に入れた対応に切り替えるべきでしょう。

 

また、頻繁に電話をしてくる相手には通話履歴を取り、業務に支障をきたしていることを立証して損害賠償請求を行なうなど、状況に応じた対処が必要です。

業務妨害の判断には社内での情報共有が欠かせません。クレーマーの情報を共有し、社内の誰かが業務に支障をきたしていないか確認してください。

 

賃貸管理会社の基本業務とも言えるクレーム処理

その要求ひとつひとつを円満に解決していくのは大変な作業ですが、クレームに真摯に向き合い、正しく解決できれば、トラブルをきっかけに入居者と良好な関係を築けることもありえます。

関係が良くなれば、今後のクレーム発生を抑制したり、何か問題が生じたときに協力してくれたりと、予想外の味方になってくれるかもしれません。

また入居中だけでなく退去後も、たとえば住居の購入や建築・投資の相談など、人間関係が幸いして他の業務に良い影響が現れることもあるでしょう。

 

入居者からのサービスリクエストは、管理会社にとって貴重なコミュニケーションの機会です。クレーム対応を疎かにせず、むしろクレームをチャンスと捉え、入居者満足度の向上に繋げていきましょう。


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