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【コラム】内陸部のアパートも要注意。管理物件の寿命を縮めかねない「塩害」の基本と対処策

2021.01.29
  • コンサルタントコラム

    賃貸管理の可能性に、挑む。

    当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

    今回のテーマは「外壁の塩害対策です。

    内陸部で塩害? 意外と知らない「塩」の被害

    皆さんこんにちは、コンサルタントの山城です。

    沖縄の賃貸管理会社に10年以上勤めた後、入居者対応や空室対策などの経験を糧に、現在はコンサルタントとして全国の管理会社に向けて情報発信および管理サポートに携わっています。

    前回のコラムでは、外壁のクラック・浮きに潜むリスクと対策を紹介しました。

    今回は、外壁に大きなダメージを与える「塩害」にフォーカスします。

     

    塩害とは、主に潮風が吹き付けることで発生する建材の劣化現象をいいます。

    その怖いところは金属のサビが急加速でひろがること。

    放置すればトタンやアルミなどの金属素材に穴をあけ、頑丈そうに見える鉄筋コンクリートでさえ、化学反応により内部の鉄筋を腐食させてしまいます。

    木造住宅も例外ではなく、外壁の塗装の劣化が通常よりもかなり早く進行します。結果としてメンテナンス周期が早まり、物件の修繕コストが余計にかかってしまうのです。

     

    こうした塩害被害は沿岸部だけの問題と思われがちですが、実は海岸から遠く離れた内陸部でも塩害が見られること、ご存じでしょうか。

    風や雨にのった塩分が、建物の外壁にどのような影響を及ぼすのか。地域によっては見落としやすい塩害被害についてお伝えします。

    海からの距離7km超…、それでも「塩害」はやって来る。

    塩害の範囲としては、一般的に海岸線から2km以内が「塩害地域」、500m以内になると「重塩害地域」とされ、海に近ければ近いほど被害は大きくなります。

    では2kmより離れていれば安心かというと、そうでもありません。

    風の強い北海道・東北・日本海側などはさらに遠くまで塩が運ばれ、海岸線から7kmもの範囲が塩害地域とされています。

    不動産広告の基準で考えると、車で7kmを走るには17.5分(1分間に400m)もかかりますから、海沿いに限らず、広範囲にわたって塩害が発生していることになりますね。

     

    ところが、ある条件が加わると、7km以上離れた内陸部でも塩害に注意しなければならない場合があります。

    それは「台風」です。

    台風が発生すると、強い風により海水が巻き上げられますので、一層広い範囲に塩が降り注ぐことになります。

    たとえば、2018年の台風24号が、最大風速40m/s で関東地方を通過したときは、海岸線からおよそ60km離れた埼玉県内でも塩害を観測することができたそうです。

    内陸部とはいえ必ずしも塩害と無縁でいられるわけではないのです。

     

    ちなみに、沖縄に住んでいた私からすると、最大風速40m/sという数値は特別高いわけでもない、むしろ平均的な台風という印象なのですが(笑)

    これくらいの台風でも塩は遠くまで飛ぶのですから、内陸部でも用心するに越したことはないでしょう。

    塩害に強い外壁資材と塗料

    塩害地域では、塩害対策として建築段階から物件に塩害予防を施しておくのが一般的でしょう。

    その他の地域でも、塩害に強い外壁資材や塗料を使って建てれば、初期費用こそ増えてしまいますが、その後のリスクやメンテナンスの負担を減らせますので検討できる手段です。

     

    【タイル系の外壁資材

    塩害に強い外壁資材のひとつが、タイル系です。材料は石や砂などで、金属を含まないため錆びることがありません。また、高い耐久性と揮発性に加え、気象や温度変化にも強いため、塩害対策には打ってつけの資材と言えるでしょう。

    ただし、目地部分が劣化してしまうと、そこから塩分や水分が浸透してしまうため、7〜10年を目安にメンテナンスを行なう必要があります。

     

    【樹脂系の外壁資材

    樹脂系の外壁資材も、タイル系と同様に撥水性が高く、錆びることがありませんので塩害に強い資材と言えます。

    樹脂系サイディングは塩害の影響を受けにくい塩化ビニル樹脂でできており、軽量で建物への負担も少ないうえ、タイルより工事費用が安い傾向にあります。

    また、目地部分が少ないため、塩害に強い外壁資材の中でもメンテナンスの頻度を抑えることができます。

     

    【塩害に強い塗料】

    前回コラムで紹介したフッ素塗料は、耐久性が高く、塩害に強い塗料となります。シリコン塗料などに比べると塗膜がきめ細かく、塩分が付着しにくいため、塗膜の劣化を防ぐことができるのです。

    そのほか、エポキシ樹脂塗料やポリウレタン塗料など、耐塩害の塗料はいくつかあり、無機塗料などのセルフクリーニング機能をもつ塗料も登場しています。

    塩害には小まめな清掃が一番!

    塩害に強い外壁資材や塗料を紹介しましたが、すでに建っている物件となると、外壁の張り替えをしようにもコストがかかり、容易に実施できないものです。

    しかし、心配する必要はありません。低コストで簡単にできる解決策があるからです。

    それは、外壁を小まめに「清掃」すること。ホースや高圧洗浄機を使って塩分を洗い流すのです。

    塩害が日常茶飯事の沖縄では、台風が去るたびに建物に放水している人の姿をよく見かけます。

    水洗いと言うとあまりに単純と思うかもしれませんが、物理的に塩分を除去できますので、実際はこれが一番効果的な対策と言えるでしょう。

    ちなみに、私も沖縄で管理業をしていたころ、何度か建物の清掃依頼を受けたことがあります。なにしろ台風大国の沖縄です(笑)シーズンになると、一難去ってはまた一難。オーナーさんも手が回らないようですね。

    沖縄は特殊な例だとしても、本州に上陸する台風は年間平均で3つほどと言われます。

    理想を言えば、台風のたびに外壁の清掃をした方がいいのですが、難しい場合は、台風シーズンが終わった後でまとめて実施するといいでしょう。

    塩害はあっという間に建物全体をむしばんでいきます。放置すると、外壁の剥離や落下などの重大な事故に繋がることも考えられます。

    たかが塩、されど塩です。

    内陸の物件であっても決して侮らず、外壁資材や塗料を工夫し、あるいは小まめに清掃することで、危険な塩害から物件を守っていきましょう。

    • 山城 祐人
      コンサルティング事業部
      プロフィール:

      管理会社での経験を活かし、現場の効率化・業務品質の向上をご提案します。

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