賃貸管理の可能性に、挑む。
当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。
今回のテーマは「賃貸管理会社の基本的業務」です。
来たる、賃貸管理の戦国時代!
こんにちは!オーナーズエージェント コンサルタントの萩原です。
賃貸仲介・管理会社で培った12年間のリアルな体験を活かし、現場目線のコンサルティングや業務改善提案、講師としてセミナー・研修の開催などに注力しております。
今回フォーカスするのは「賃貸管理会社の生き残り戦略」について。
記事は前後編の2回に分け、前編となるこの記事では「総合的な管理能力(賃貸管理会社の基本的業務)」について、後編では「他社にない強み(差別化)」についてお伝えしていきます。
賃貸管理ビジネスの注目度上昇中! 競争激化の時代へ
さて、不動産業というと売買仲介や賃貸仲介、管理、マンスリー、建築など多岐にわたりますが、そのなかで近年「賃貸管理ビジネス」への注目度が徐々に高まってきています。
その理由として、主に次のことが考えられます。
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また、関心を寄せるのは民だけでなく官にも及び、令和2年6月に業界初の法整備となる「賃貸住宅管理適正化法」が成立したことは記憶に新しいところ。参入企業が増え、良くも悪くも社会的な存在感が増したことの表われでしょう。
すでに管理業をやられている方はご存じだと思いますが、賃貸管理の強みのひとつは「安定した収入源」にあります。
毎月の管理料を筆頭に、資産家との関係によっては物件の売買・相続・建て替え・退去後のリフォームなど、管理物件を抱えているだけで売上を確保することができます。
そうしたメリットから、既存の管理会社がビジネス拡大を狙うだけでなく、建設業界や売買業者などの全く関わっていなかった業種でも、安定を求めて賃貸管理へ参入する動きが加速しているのです。
つまり、私たちの業界に今後待ち受けているのは管理会社のさらなる群雄割拠、力ある者だけが生き残る【賃貸管理の戦国時代】ということになります。
基本となる8つの管理サービス
では、管理会社にはどのような力が求められているのでしょうか。
従来は客付け力、いわゆる「空室を埋めてくれる」管理会社が重宝されてきました。しかし、ここ最近は仲介力の強さだけでオーナーから選ばれるのは難しくなっています。
空室を決めるのはもはや当たり前で、仲介力も含めた「総合的な管理能力(賃貸管理会社の基本的業務)」+「他社にない強み(差別化)」が必要とされているのです。
そこで、まずは自社の業務内容を確認するという視点で、一般的な管理サービス(管理料3%〜5%想定)の質とも言える「総合的な管理能力」についておさらいしていきましょう。
1.リーシング(募集活動)
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2.レポーティング(各種報告)
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3.出納業務(入出金管理)
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4.更新業務
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5.解約業務
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6.入居者窓口
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7.物件管理業務
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8.その他
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代表的な管理業務を8つの項目に分けて掲載しましたが、皆様の会社は網羅できていますでしょうか?
賃貸管理ビジネスの人気上昇に伴い、サービス競争は激しさを増し、管理料の範囲で求められる仕事の質は高まっています。
今後生き残るには、周囲の競合他社と比べて見劣りしない管理サービスを提供していく必要があるのです。
「IT化」と「アウトソーシング」で管理業を一新!
とはいえ、質の高いサービスを提供するには、日々忙しい現状の管理業務と折り合いをつけなければなりませんよね。社内で解決できればいいですが、ときには外部からリソースを引っ張ってくる検討も必要でしょう。
そこで、多くの管理会社が実践している「業務効率化のアイデア」をいくつかご紹介します。
1.管理基幹システム
物件情報・入居者情報・募集管理・入出金の管理などを一括でパソコン操作できる賃貸管理システム(ソフト)は、もはや今の時代の必須ツールです。システムを利用することで作業効率の改善・ミスの低減が期待できます。
さらに昨今は、不動産ポータルサイトや保険会社などが提供するさまざまな電子サービスとも連携していますので、社内外の管理業務を一括で効率化することが可能です。
2.募集管理システム
客付けのIT化も検討したいところです。
たとえば募集をWEB上に出す際、ポータルサイトごとに何度も手打ちで物件情報を登録・修正している会社も多いと思いますが、やはりこのあたりは一度で済むようにするべきですし、
また反響電話の自動応答システムや内見システム、図面取得と募集状況確認がリアルタイムでできる業者間流通サイトなど、各種ツールを使いこなせば人件費を抑えつつの効率化が叶います。
上述の管理基幹システムと連携もできますので、どちらも未導入であれば同時に検討するのがいいかと思います。
3.入居者からの電話対応をアウトソーシング
夜間や休日のみコールセンターを利用されている方は多いですが、日中の電話こそ業務効率を非常に下げてしまう要因となります。
入居者からの電話対応で仕事の手が止まってしまう会社様は、弊社「プロコール24」をオススメいたします。
4.解約WEB受付
入居者の解約申し出を来店・郵送・FAXで行なっていませんか?
接客や用紙送付に時間を取られますし、字が雑で見えなかったり、未記入があったりと、手続きを完了するまでに多くの手間がかかります。
Webサイト上で解約受付サイトを作成し、入力必須項目をしっかりと設ければ問題なく運用できます。
5.退去立会・鍵交換・入居前チェックを協力会社に依頼
現場作業のアウトソーシングです。移動時間を極力減らすことで余剰時間を捻出することができます。
対応ルールを設けて管理することで、アウトソーシングしても自社対応と同じクオリティを維持することができます。
6.フランチャイズ加盟
こちらは思い切った話ですが、自社単独に限界を感じる場合はフランチャイズに加入するのも一手です。
ノウハウ提供やブランド確立などの多くのメリットが見込めますので、「集客力を上げたい」「自社仲介を増やしたい(稼働率向上させたい)」「サービスの質を高めたい」などの課題が大きく前進するかもしれません。
以上、6つのアイデアを簡単にご紹介しました。
どれも魅力的な内容ですが、当然にどれもコストや手間がかかります。
しかし、周囲の管理会社が同様の業務改善に取り組む以上、改革なしには企業としての成長も望めません。費用対効果を考えたうえで導入の検討をしていただければと思います。
見つけるべきは「他社にない強み」
管理会社は競争に負けないために身を削り、オーナー満足度を上げる努力をする必要があります。
しかし、全部完璧は不可能ですよね。そのために何でもかんでも対応をしていたらラチがあきません。
ましてや管理料に合わせて細かくサービスを設定し、「サービス外は一切断る」なんてことも机上の空論に過ぎず、現場では難しいところ。地域によっては管理料の値下げ合戦で泥沼化の状態も見られるほどです。
では、どうするか。
重要なのは全体の高品質化を目指すよりも、【他社にない強み】をつくって勝負すること——いわゆる「差別化」です。
次回のコラムでは、来たる戦国時代に備えて管理会社が生き残るための差別化戦略についてご紹介いたします。
※今回の記事内容をお読み頂き、取り入れ検討・相談したい、という場合は無償でご相談に乗りますので萩原までご連絡下さい。