コンサルタントコラム

公開日:2022年1月14日

【コラム】賃貸住宅の急な事故をどう防ぐ? 「修繕提案」を成功させる3つのポイント

【コラム】賃貸住宅の急な事故をどう防ぐ? 「修繕提案」を成功させる3つのポイント
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賃貸管理の可能性に、挑む。

当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

今回のテーマは「建物メンテナンス」です。

管理物件のメンテナンス計画、どうしていますか?

積極的なメンテナンスでオーナーの信頼を勝ち取る

こんにちは、コンサルタントの引地です。

賃貸管理業界で14年、現場管理や管理受託営業で培った実務経験を元に、コンサルタントとして全国の不動産管理会社様の業務改善や効率化に向けた、ご提案・サポートをさせていただいております。

 

さて、今回のコラムでは、私が管理の現場で重要視していた「建物メンテナンス」についてお伝えしたいと思います。

かつて私が現場管理(建物管理と入居者対応)に携わっていた頃は、配管漏水や雨漏り、給水ポンプの故障による突然の断水など、メンテナンス不足に起因した事故の緊急対応に追われることが多々ありました。

事故が起きてしまうと、入居者は不便で不快な生活を送らなければならず、オーナーも修繕や復旧の費用、事故による入居者への保証等で出費が嵩み、大変な思いをされることになります。

また、管理会社は管理会社で、事故のストレスをため込んだ温度感の高い入居者をサポートすることになったり、見積もりの額を見て思わず復旧工事をやめそうになるオーナーを説得したりで、大忙し(笑) メンテナンス不足による突発的な事故は、入居者・オーナー・管理会社、すべての人を疲弊させる「負の連鎖」の根幹です。

 

一方で、不動産投資はやはり建物あってこそ。円滑に経営計画を進めるためには、建物の劣化リスクを計算しつつ、適切なメンテナンスを施すことが欠かせません。

しかし、オーナーが独力で「自分の物件には、いつ、どのような修繕が必要か」「費用はいくらか」「今から何を準備するべきか」を判断して実行するのは難しいものです。

だからこそ、不動産経営には現場と建物のことをよく知る管理会社の力が必要だと思いますし、オーナーとしても、大切な資産の維持管理に積極的な管理会社に大きな価値を感じてくれます。適切な『修繕・メンテナンスの提案』は、オーナーの信頼を勝ち取るためにも、みんなを不幸にする「負の連鎖」を起こさないためにも、管理会社にとって非常に大切な業務なのです。

では、適切な提案のためには、具体的には何から始めたらいいのでしょうか。個人的には、3つのポイントがあると考えています。

《修繕提案の3つのポイント》

  1. 5年スパンで建物メンテナンスのスケジュールを組む
  2. オーナーにお金の貯め方についてお伝えしていく
  3. リフォームローンの斡旋準備をしておく

「修繕提案」の3つのポイント

【1】5年スパンで建物メンテナンスのスケジュールを組む

提案のポイントとして、まず実施したいのはメンテナンス計画の立案です。

修繕は一般的に起こりうる不具合や劣化のリスクを踏まえ、新築から5年目、6~10年目、11~15年目…と5年スパンで計画していきます。例えば、屋上防水であれば、耐用年数は一般的に10~15年と言われていますので、このあたりを目安に実施のスケジュールを組むことになります。

ただし、これはあくまで実施目安。屋上の塗膜が10年を過ぎていきなり劣化するわけではない以上、日常的なチェックは欠かせませんし、6~10年目の間にはきちんとした調査も必要でしょう。計画にはこうした事前調査や、一般的にかかる費用概算まで組み込めるとベター。また、調査時に劣化の状況から「あと○年後には防水処理が必要になるかもしれないので、今から資金の準備をしておきましょう」とお伝えできれば、なお良いですね。

建物の修繕スケジュールについては、国土交通省から『民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック』が発行されていますので、ぜひチェックしてみてください。

【2】オーナーにお金の貯め方をお伝えする

計画ができたら、次は資金確保策の提案です。

大規模修繕はとにかく費用がかかりますので、経営当初から、あるいは、修繕時期の5~6年前から月々いくらずつ積み立てればいいか等、修繕計画の総額(概算)とともにお金の準備の方法をオーナーにアドバイスします。

また、2021年10月には、賃貸住宅の大規模修繕の資金を積み立てられる共済制度が国土交通省で事業認可されました。

スタートは2022年中を予定しているとのことですが、この共済が実現すれば、これまでオーナーが「預金」等で準備するしかなかった修繕積立金が「共済掛金」に置き換わり、その全額を経費として計上できるようになります。(※ただし、現時点では「外壁」「屋根」の修繕についてのみ共済制度の対象となる予定)

オーナーにとっては節税メリットも大きく、且つ計画的に将来の修繕資金を準備できる仕組みとなっていますので、こうした便利な制度も紹介しつつ、オーナーと一緒に修繕計画を立てていくのも管理会社の役割ではないかと考えます。

【3】リフォームローンの斡旋準備をしておく

そして3つ目は、実際の資金確保のサポートです。修繕積立金のご提案をしても、現実には予定どおりに積み立てられず、計画時期になっても資金が確保できていないオーナーはいらっしゃると思います。

そうしたオーナーのために準備しておきたいのが「リフォームローン」の斡旋です。スムーズにご紹介できるよう、金融機関の担当者とコミュニケーションをとっておく、紹介するローンの内容を把握しておくなどの準備ができるといいでしょう。

また、銀行や信販会社と共同でリフォームローンの特別プランをつくり、管理オーナー限定で提供している管理会社もお見受けします。管理を預けていてよかった、と思ってもらえるようなメリットある商品を用意できれば、オーナーへのサポートになるだけでなく、管理会社として大きなアピールポイントになるのではないでしょうか。

修繕提案でオーナーの信頼獲得へ

ご存じのとおり、「壊れてもいないもの」の修繕に積極的なオーナーはそう多くありません。しかし、メンテナンス不足によって起こった事故のダメージは、オーナーの想像する以上に長く尾を引きます。

事故によって物件価値が低下すれば、市場での競争力も落ち、空室も拡大するでしょう。経営の悪化は次のメンテナンスを先延ばしにさせ、建物の劣化と空室の拡大をさらに加速させます。一度の事故が「負のスパイラル」の入り口となりかねないのです。

一方、計画的なメンテナンスのできている物件では、事故リスクが減り、オーナーの出費も抑えられ、賃料収入も安定します。次の計画修繕も実施しやすくなり、建物価値も低下せず、長期の安定収入が叶います。さらには、事故が減って管理会社の業務負荷が軽減されるおまけつき。すべての人が平和に過ごせる「正のスパイラル」が実現するかもしれません

計画修繕により物件価値が維持され、何年たっても選ばれる高稼働の物件ともなれば、管理会社に対するオーナーの信頼・評判も自然と高まるでしょう。新たな管理受託のチャンスも生まれやすくなるはずです。

理想は、健全な建物維持管理を軸とした正のスパイラル。オーナーのためにも、自社のためにも、積極的なメンテナンス提案を行なっていきたいですね。


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