コンサルタントコラム

公開日:2022年4月28日

【コラム】賃貸管理の“異変”は「定量分析」で探る。稼働率アップを叶えるデータ活用とは?

【コラム】賃貸管理の“異変”は「定量分析」で探る。稼働率アップを叶えるデータ活用とは?
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賃貸管理の可能性に、挑む。

当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

今回のテーマは「定量分析」です。

今こそ「定量分析」で繁忙期の振り返り

異変の察知、稼働率向上のヒントなどに定量データ活用を

こんにちは、コンサルタントの高橋です。
今年の冬は記録的な大雪の影響で「観測史上1位の…」というニュースを何度か見ました。雪に不慣れな地域の方は特にご苦労をされたと思います。

さて「観測史上」というこの言葉、気象庁の膨大なデータ管理に加え、例年と比較し異変に気づける仕組みに私はいつも感心してしまいます。日数や降雨量などの定量データを蓄積し分析しているからこそ成せる業ですが、同様のことは賃貸管理の分野でも可能です。

業務の落ち着きを取り戻してきたこの時期、繁忙期の振り返りの意味もこめて定量分析をしてみませんか。

オーナーの関心は収益に直結する「稼働日数」

分析をするにあたって、やはり管理会社としてまず明らかにしたいのは繁忙期明けの稼働率です。毎年同時期の稼働率を調べて記録し、例年に比べて数字が悪いとなれば、対策が不十分だったのか、市況が悪かったのかと、仮説を立てて原因を検証すべきです。

といっても、管理会社が瞬間的な「時点ベース」での稼働率(例:4月1日時点の稼働率)に重きを置く反面、管理を任せているオーナーにとっては、一定期間内でどれだけ入居されていたかという「稼働日数ベース」の稼働率(例:2021年度の稼働率)の方が、収入に直結する指標となるため気になるところでしょう。

稼働日数ベースの稼働率の算出方法は表1の通りです。

この稼働率は、分子となる解約戸数や解約後の平均空室日数が少なくなれば改善します。つまり、平均空室日数を減らす工夫が稼働率の向上、ひいてはオーナーの満足度向上につながるのです。

管理会社としては、この平均空室日数の短縮に取り組むとともに、その中身の定量データを取得して分析し、異変を察知したり、稼働率向上のヒントを探ったりに活用したいところです。

工程別の所要日数で原因を特定

例えば、普段はすぐ決まる物件がなぜか空室日数が長いという場合、一般的には「募集開始から申込まで」の日数を気にするところでしょう。

しかし、空室募集の流れはもっと細かく分解して分析できます。

募集は一般に「①解約通知→②募集条件設定(オーナー報告)→③募集開始→④申込→⑤入居審査→⑥契約→⑦契約開始」というフローですが、例えば、①や②、④~⑦に空室日数の伸びる要因が潜んでいないでしょうか。

「①解約通知→②募集条件設定(オーナー報告)」に日数がかかっているのであれば、募集担当が「単純に忙しい」「オーナーへの解約連絡に気が進まず先延ばししている」「募集条件設定のルールが曖昧で時間がかかっている」などの原因が浮かび上がってきます。

「④申込→⑤入居審査」の日数が長いなら、「社内審査の工程が多過ぎる」「申込受付時の不備が多く審査に入れていない」などが考えられるでしょう。

これだけ絞ることができれば、具体的な対策が打てそうですね。①~⑦の日数データを蓄積しておくことで異変の起きている箇所が炙り出されるのです。

そのほか、原状回復工事を速やかに完了させて「即入居可」の部屋を作ることも空室日数短縮に貢献します。

こちらも退去~原状回復工事完了までだけでなく、「①退去(立ち会い)→②工事業者の見積もり作成→③精算書作成(貸主・借主負担割合)→④オーナー承諾→⑤発注→⑥工事完了」という工程別の日数を計測してみましょう。

「①退去(立ち会い)→②工事業者の見積もり作成」に日数がかかっていれば、「工事業者が手一杯」の状態になっている可能性があります。「③精算書作成(貸主・借主負担割合)→④オーナー承諾」が長いなら、障害はオーナーの工事許可でしょう。少額工事は許可不要のルールを作ったり、オーナーへの連絡方法を変更したりで改善できるかもしれません。

 

定量データ取得は進捗記録から

定量データの収集は大変そうなイメージですが、各工程の日数データなら、進捗ごとに日付を記録するだけで容易に算出できます。さすがに紙に手書きの進捗管理では計測が困難ですが、だからといって複雑・高価なシステムを使用せずとも、契約や工事の進捗をスプレッドシート等で管理するだけで十分にデータは取得できるのです。

とはいえ、どれだけ頑張って記録したデータも異変に気づけなければ何の役にも立たない数字の集まりです。データを役立てるためには定期的な分析の機会を設けることが必要です。

また、異変ばかりに目を向けるのも少しネガティブですね。時には「観測史上1位」の好記録を叩き出した社員やチームの頑張りを評価することにも役立ててはいかがでしょうか。


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