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【コラム】賃貸経営「リスク対策」4分類。適切なオーナー提案で信頼関係を築く

2022.11.04
  • コンサルタントコラム

    賃貸管理の可能性に、挑む。

    当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

    今回のテーマは「リスク対策の提案」です。

    賃貸経営のリスク対策を4つに分類

    オーナーが目を背けがちなリスクこそ対策提案を

    こんにちは、コンサルタントの高橋です。
    賃貸経営にはあらゆるリスクが存在します。わかりやすいところでいえば、「空室率の上昇」「建物老朽化に伴う事故」「入居者の自死」「金利の上昇」「火災・自然災害」などでしょうか。オーナーも所有するまではある程度のリスクを把握しているはずですが、いざ物件が稼働し始めると、このまま問題なく運営できるのではないか・うまくいくに違いない、という考えにとらわれ、リスク対策を後回しにしてしまうケースが見受けられます。

    前向きであるというより、これはある種の現実逃避と言えそうですね。管理会社は現場を預かっていることに加えて、第三者の立ち位置で運営をサポートしている分、オーナーが目を背けたいリスクもきちんと把握できているはずです。そして、そのような立場だからこそ、管理会社はオーナーにリスクを説明し、対策の選択肢を与える必要があります。

    対策手法は一般に次の4つに分類されますが、オーナーの抱えるリスクに応じて、適時適切なリスク対策を提案したいものです。

    ①リスクの軽減

    損害の発生頻度や損害規模を「減らす」「小さくする」ための対策です。例えば、空室率上昇のリスクに対する設備刷新や条件改定、建物起因の事故のリスクに対する定期的なメンテナンスや大規模修繕が「軽減策」にあたります。

    そのほか、入居者トラブルを減らすための特約条項の追加や、物件内トラブルを減らすための防犯カメラ設置なども軽減策と言えるでしょう。

    ②リスクの移転

    損害の負担を「他者に移す」という考えです。代表は保険ですね。火災保険・地震保険・施設賠償責任保険といった基本的な商品のほか、賃貸経営では孤独死保険や家賃収入特約なども有用です。

    滞納リスクに対する家賃保証会社の利用、空室リスクに対するマスターリース契約(一括借り上げ)の利用も、効果の高い「移転策」でしょう。

    ③リスクの保有

    リスクを把握しながらも「敢えて対策をとらない」ことを指します。リスク=対策が必要、と捉えがちですが、発生頻度や損害の大きさが対策コストを下回る、または自己負担できると判断できるなら、敢えて何もしないのも選択肢の一つです。賃貸経営では、審査基準を緩める、家賃を下げない、保険の補償範囲を絞る、などが何もしない「保有策」でしょうか。

    ただし、リスクを承知で何もしないことと、リスクを理解せずに何もしないのとでは大違い。オーナーのリスクに対する認識の仕方がとても重要です。

    ④リスクの除去

    損害リスクの「原因を無くしてしまう」という考え方です。害虫の発生する植栽を伐採してしまう、契約違反の部屋に明け渡し訴訟を起こすなどが該当しますが、究極的には、キャッシュフローの改善が見込めない物件を売却してしまう(買い替えも含む)こともリスクの「除去策」といえます。

    リスク対策に欠かせない信頼関係

    ①軽減②移転といったリスク対策は、管理会社として日常的に提案しているものと思います。また、管理会社は大なり小なり、オーナーのリスクの移転先としての役割も担っているものです。

    しかし、賃貸経営が生み出すキャッシュフローには限りがあり、オーナーの保有資産も無限ではない以上、オーナーがすべてのリスクに対策を施すことは不可能です。つまり、どんなオーナーも状況に応じて③保有④除去の選択が必要なわけですが、その提案が、①②に比べて格段に難しいことは皆さんも想像できるかと思います。

    リスクから目を背けたがっているオーナーに、目の前のリスクを自覚させ、その保有や除去を迫るのです。提案の手法やタイミングも重要ですが、そこには何より「信頼」が欠かせません。リスク移転手法やITの進化によって、管理会社がオーナーに提供できるサービスは充実しましたが、オーナーの心情を汲んだ適切な助言やサポートで信頼を築くのは、やはり「人」の力ではないでしょうか。

    オーナーが信頼できるビジネスパートナーへ

    先日、とある管理会社の方が「月に一度は、管理の担当者が1対1でオーナーと話すように心掛けている」と教えてくれました。そうして築いた信頼が、不動産のあらゆる相談を引き寄せると考えてのことだそうです。私も本当にその通りだと思います。管理会社はオーナーにとって最も親しみやすく、最も冷静な、信頼のできるビジネスパートナーであろうと努めるべきでしょう。

    管理は多忙を極めるとはいえ、オーナーと向き合うためのリソースづくりも、アウトソーシングを筆頭とした働き方の工夫によって叶えられる時代となりました。オーナーと面談を重ねる中で「おたくに任せたことが最大のリスク対策だったよ」そんなふうに言ってもらえる管理ができたら、管理会社冥利に尽きますね。

    • 高橋
      高橋 宏
      コンサルティング事業部
      プロフィール:

      富山県富山市出身。 15年以上培ってきた仲介・管理の実務経験をもとに、賃貸管理のコンサルタントとして管理会社様のご支援をさせていただいております。

      皆様に喜んでいただけることが私の仕事のやりがいです。常に顧客目線で提案することをモットーとしています。

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