決して安くはないものの、メリット豊富な「浴室乾燥機」
人気設備ランキングで毎年トップ10入りの定番設備
オーナー提案のトークに役立つ小ネタ集「空室対策100選コラム」
今回、注目する空室対策は「浴室乾燥機」です。
浴室窓のない分譲マンションで普及してきた設備ですが、近年は賃貸住宅でもごく当たり前に見かけるようになりました。
入居者からの人気は高く、全国賃貸住宅新聞が実施する「入居者に人気の設備ランキング」でも、単身者向け・ファミリー向けともに、毎年トップ10にランクインするほど。
(人気設備ランキング2021結果)
また、「首都圏賃貸住宅市場における入居者ニーズと意識調査2021~2022年」(21C.住環境研究会・株式会社リクルート共同編集)でも、「次に引越す時は(も)絶対欲しい」設備として、回答した入居者(1,145人)の42.5%が浴室乾燥機を選択。
賃貸ポータルサイトの設備条件にもなっており、層を問わず幅広い入居者の注目を集める設備となっています。
人気の理由は、近年高まっている洗濯物の室内干しニーズに「衣類乾燥機能」で応えてくれるところ。天候や花粉シーズンなどに左右されず、いつでも室内干しできる環境は入居者にとって嬉しいものです。お部屋によっては1階、西向き・北向き、ベランダがないなど、洗濯物の外干しにそもそも向かない物件もありますが、そうした物件の変えにくい弱点を補強してくれるところも浴室乾燥機の強みと言えます。
さらに、浴室乾燥機の持つ多機能ぶりも人気を押し上げる理由のひとつ。最近のモデルは衣類乾燥機能だけでなく、夏冬の冷暖房や、カビ対策に役立つ除湿機能など、便利な機能がコンパクトにまとまっています。もはや本来の名前では捉えきれないほどハイテク化が進む浴室乾燥機。入居者に人気の多機能設備として、一度は検討したい空室対策です。
空室ごとに設置するなど現実的な提案を
とはいえ、オーナーへの提案でネックになるのはコスト面ですよね。
設置費用を含めた浴室乾燥機の導入コストは、1戸あたりおおむね10万円から。ハイエンドモデルだと本体価格だけで23万円ほどかかります。設置戸数が何十戸となれば相応の金額になりますので、それならと安価な「室内物干し」を提案する管理会社も多いでしょう。
しかし、今や新築物件には最初から当然に設置される人気設備。時間の経過とともに周辺物件との実力差は広がっていくばかりです。空室になった物件から順次取り付けていくなど、少しずつでも設置戸数を増やしていく提案をすることお勧めします。
ちなみに、浴室乾燥機はユニットバスだけでなく、タイル張り浴室でも設置可能。見た目がすっきりする「ビルトイン(天井埋め込み)タイプ」が主流ですが、天井裏に十分なスペースがない場合は、施工が容易な「壁かけタイプ」をご検討ください。
浴室乾燥機のユニーク機能をご紹介
5つの基本機能
多機能化が進む浴室乾燥機ですが、どのメーカーでも基本機能となるのは、衣類乾燥・暖房・換気・涼風・24時間換気システムの5つ。入居者の室内干しニーズに応えつつ、換気・乾燥機能で浴室のカビを防いで浴室設備の劣化を抑えたり、暖房・涼風機能でお風呂時間を快適にしつつ高齢入居者のヒートショックを予防したりと、さまざまなメリットがあります。
さらに最近は、さまざまなユニーク機能を搭載した浴室乾燥機が登場。いずれも入居者の趣味嗜好を選ぶ機能ですが、面白い差別化案として、オーナー提案時の話の種にご活用ください。
プラズマクラスター機能
「プラズマクラスター」とは、室内干し特有の悪臭や、設備劣化の原因となるカビ菌を取り除く、株式会社シャープ開発の空気清浄機能です。カビの発生を抑えてくれるということは、入居者満足度を高めることはもちろん、カビによる浴槽や目地の腐食も抑えられます。浴室設備の長持ちにもつながりそうです。
ミストサウナ
自宅の浴室内でも、スパ気分でリフレッシュできる「ミストサウナ機能」もユニーク機能のひとつ。毎日の入浴で手軽にエステ要素を楽しめるとあって、特に女性向けのアピールポイントになるかもしれません。
また、昨今のサウナブームにより家庭用サウナへの注目度も高まっています。サウナブームを引っ張るのは20・30代男性と言われますので、物件のターゲットが合うなら提案してみるのもいいでしょう。
打たせ湯
趣味嗜好に振り切ったユニーク機能として、「打たせ湯機能」のある浴室乾燥機も登場しています。温泉で味わう打たせ湯を再現するべく、天井設置の浴室乾燥機から、適温のお湯を最適な量と勢いで天井から落下させてくれます。
入居者獲得の決め手となる…、かどうかはさておき、オーナーとの話が盛り上がりそうな機能ですね!