賃貸アパート検討者、85%から50%に急落
木造敬遠、理由は「遮音性」か
不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)による、第19回「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果が、2021年10月28日発表された。調査期間は2021年3月18日~6月16日。まさにコロナ禍のピークでの調査として注目された。
この調査では例年、検討している物件の種別を聞いている。どちらかというと、年代や賃貸売買の別といった属性による回答の違いを見るための、ローデーターの数字なのだが、驚くべき事に、賃貸アパートの検討者が85.5%から50.0%に急落した。
(中略)考えられるのは「遮音性」の問題である。新型コロナ感染防止のため、国は「テレワーク7割」を目標に掲げ、積極的に企業に働きかけをした。これまでの会議や商談が、自宅からオンラインでの参加が推奨され、働き方は大きく変わった。こうした変化は、遮音性の低い賃貸アパートでは、ハンデとなっている可能性が高い。
(健美家2021年11月17日掲載記事より抜粋)
コロナ禍で騒音件数が激増、前年度比2倍の月も
皆さんこんにちは。コンサルタントの山城です。
なかなかの衝撃でしたね。2021年は賃貸アパートを検討した人が、2020年の85.5%から50%へ急落したとのこと。しかも、グラフを見ると、賃貸マンション・賃貸戸建てに大きな変動は見られず、賃貸アパートだけが大きく下落したことが分かります。
記事では、その理由となりそうな要素として、「遮音性」の問題を挙げています。コロナ禍でテレワークが広く普及し、自宅で仕事をする機会が増えた昨今、遮音性の低い賃貸アパートが敬遠されているのではないか、という推測です。
確かに、コロナ騒動の本格化した2020年の春以降、賃貸住宅で音を気にする人は増えているようです。記事でも取り上げていただいていますが、弊社の入居者対応コールセンター「プロコール24」では、騒音クレームの件数が同時期から急激に増加しました。ピーク時は前年比の約2倍に膨れ上がったほどで、2021年も例年より3割近くも増えている状況です。
現に私も、コロナ禍を機に在宅ワークが増え、音を気にする場面も増えました。クライアント様との打ち合わせや社内会議などをオンラインですることも多くなり、集中するあまり白熱してしまい、私自身の声が騒音になっていないか心配になることも多々あります(笑)
私のような在宅ワーカーが増え、近隣からの騒音が続くようになれば、人によっては在宅ワークが難しいと感じるようになり、精神的に大きく疲弊してしまうこともあると思います。まだまだコロナ禍が収束しない中、人々が引っ越し先の遮音性を気にするのは時代の必然と言えるでしょう。
遮音性を高める設備3選
これからは騒音対策が大きなアピールポイントに
では、木造の賃貸アパートにはもう未来はないのかといえば、さすがにそんなことはないでしょう。賃貸アパートでも、ポイントを絞って騒音対策を施せば十分な遮音性を確保することができますし、音の問題が解決すれば人気も回復するはずです。
ここでは沖縄で長らく賃貸管理に従事してきた私の経験則を基に、遮音効果の高い騒音対策を3つ、お伝えします。
クッション性のある床材に変える
上下階の騒音対策に大きな効果を発揮するのが、クッション性のある床材です。タイルカーペット(またはジョイントマット)や遮音フローリングなどがありますね。
上階から騒音といえば、人やペットの足音や、物を落とした音などがありますが、クッション性の高い床材に張り替える、またはパズルクッションなどを敷き詰めることで、そうした衝撃音を和らげることができます。
私自身も、賃貸管理の現場で上下階の騒音問題が起きたときは、クッション性の床材を取り入れることで多くのクレームを解決してきました。
防音壁を取り付ける
隣のお部屋からの騒音には防音壁の設置がオススメです。
設置場所としては天井と床。防音壁の中には吸音材(グラスウールを使ことが多い)を詰めますが、その上に防音シートを重ねれば遮音性をさらに高められます。ちょっとやそっとの騒音では苦情も出なくなるでしょう。
ただし、あまり大規模に工事をする場合には、建築基準法や消防法にも気を配る必要があります。すでに入居しているお部屋については、工期の短い防音パネルの設置もオススメです。
二重サッシを設置する
専有部から伝わる音は上記2つの対策で解決できることが多いのですが、外から伝わってくる音には万全ではありません。特に学校や病院などが物件近くにある場合、外部の騒音も気にしたいところです。
そこで活用したいのが、記事でも紹介されている二重サッシです。
私が沖縄に住んでいた頃は、身近に米軍基地がありました。そのエリアでは二重サッシが当たり前で、遮音性はかなりのものでしたね。
通常の窓ならテレビの音が飛んでしまうほどの爆音でも、二重サッシなら普通に聞き取れる程度まで音が軽減されます。加えて、遮音カーテンも設置できれば、さらに防音効果を引き上げることができますよ。
いかがでしたでしょうか。
既存入居者がいる賃貸住宅では、騒音対策のために大きな工事をするのはなかなか難しいものですが、床、壁、窓とポイントを絞って対策することで、賃貸アパートでも大きく遮音性を引き上げることができます。
また、テレワークが当たり前になった今、騒音対策をアピールできれば物件の訴求力アップにもつながります。賃貸アパートの人気急落はショックですが、改めて入居者ニーズにフォーカスすることで逆境を跳ね返していけたらと思います。
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