騒音クレームの種類と対策を教えてほしい
知っておきたいよくある騒音、意外な騒音
「騒音クレームにはどんなものがあって、どう気を付ければいいのでしょうか…」
今回の相談者は、これから賃貸管理ビジネスを始めるという不動産会社。入居者クレームのなかでも「音に関わるクレーム」は解決に時間がかかると聞き、心配しているそうです。
賃貸管理と切り離しては語れない入居者の騒音クレーム。ここでは騒音クレームを「よくある騒音」と「意外な騒音」のふたつから、それぞれどのようなものがあるのか騒音の種類と対策について見ていきます。
【相談ダイジェスト】
- 相談者はこれから賃貸管理ビジネスを始めようとしている不動産会社
- 騒音クレームが解決に時間がかかると聞き、不安に思っている
- 騒音クレームの種類と対策を知りたいと相談
- よくある騒音・意外な騒音には、それぞれどのようなものがあるの?
専門家の回答
「よくある騒音」本人は無自覚なケースが多い
賃貸経営に関わっていると実にさまざまな騒音クレームに遭遇しますよね。その中でも「よくある騒音」と言うと、たいていの場合、騒音元の入居者(以下、本人)が無自覚のまま出している生活音がほとんどです。
無自覚の生活音ですから、何かしら本人に介入しなければ騒音を止めることは難しいでしょう。クレームに発展した以上は、管理会社として音の正体を確実につかみ、速やかに問題解決を図りたいものです。
では、どのような生活音が騒音に発展しやすいのでしょうか。
管理会社の皆さまにはお馴染みだと思いますが、“よくある”ものとして下記のような騒音が挙げられます。
《よくある騒音》
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こうした騒音は騒音元が明らかなケースがほとんどです。
そして、上にも書いたとおり本人は往々にして無自覚なことがほとんど。そのため、まずは手紙を送付して注意を促し、改善が見られないようなら電話などで直接伝えて問題解決を目指すことになります。
実はうるさい「ドアや引き戸を閉める音」
ところで、騒音の中でも比較的多い原因に「ドアや引き戸を閉める音」があります。
特に玄関ドアを閉める音は建物全体に響くこともありますので注意が必要です。バタンと大きな音を立ててしまうと、上下左右の入居者のみならず、近隣住民にまで騒音が響き、不快にさせる恐れがあります。
解決策としては、基本的には本人にドアの開け閉めで音が立たないよう注意してもらうことになります。しかし、建具の老朽化などでどうしても大きな音がしてしまう場合は、
- オーナーと交渉してドアクローザー(または引き戸クローザー)を付ける
- ドアクローザーのネジを調整してドアが閉まる速さを遅くする
- ドア枠に防音戸当たりテープを貼り付けてもらう
といった対策も考えられますので、入居者に試してもらうのもいいかもしれません。
夢中になるが故の「オンラインゲームの音」
また、最近は「オンラインゲームの音」も騒音トラブルの代表格となりつつありますよね。
複数人で遊ぶオンラインゲームでは、インターネット上でつながるプレイヤーと音声でやり取りする「ボイスチャット」を使うゲームが少なくありません。
加えて、本人はヘッドホンなどをしてゲーム世界に没頭しています。
そうなると、ついつい周りの状況を忘れて奇声を発したり、大きな声を出したりしてしまうのです。本人がエキサイトしている分、ほかの原因よりもタチの悪い騒音となり、近隣入居者の怒りを煽りやすいクレームになりがちです。
ヒアリングが試される「意外な騒音」
一方、数ある騒音クレームの中でも、下記のように騒音原因になかなか気付きにくい意外なケースに遭遇することもあります。
《意外な騒音》
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【室内の給気不足によるエアコンの異音】
近年の高気密な住宅ならではの現象で、エアコンの中からポコッ、ポコッという異音が繰り返される騒音です。原因は、お部屋の給気不足。通気口からの給気が足りないことで、エアコンのダクトから室内に空気が吸い込まれ、その過程でエアコン内部に音が発生してしまうのです。
解決策はシンプルで、換気などをして室内に給気をすること。入居者からクレームがあった際は、試しに窓を開けてみるようお願いするのが解決への第一歩です。
【火災警報器の電池切れによる警報音】
火災警報器の電池が切れると、ピーッ、ピーッとアラームが鳴り、電池切れを教えてくれますよね。しかし、多くの入居者は「電池切れを音で教えてくれる」ということ自体、知りません。アラーム音を火災警報器の電池切れを知らせる音とは気付かず、とにかくうるさいからと入電してくるわけです。
もし、火災警報器の設置からずいぶんと時間が経っており、入居中に電池が切れる恐れがある場合は、入居前にあらかじめ火災警報器の電池についてアナウンスしておくのも手です。また、そのときに「誰の費用で電池交換をするのか」を取り決めておけば、実際に電池が切れたときにもスムーズです。
【空気清浄機や水槽モーターなどの振動音】
長時間稼働する空気清浄機や水槽モーターの振動音も、初見だとすぐに原因が思い当たらない騒音のひとつです。音はさほど大きくないものの、どちらも24時間稼働しているのが当たり前の機器。バイブレーターのような振動が一日中伝わってくるのですから、階下の入居者にとってはたまったものではありません。
解決策としては、入居者に音の小さい製品に取り替えてもらうか、空気清浄機ならば機器の下に防振ゴムなどを敷いて振動が階下に伝わるのを防いでもらうといいでしょう。
【ロボット掃除機が壁に当たる音】
便利なロボット掃除機ですが、国内での普及率が高まるとともに、掃除の過程で壁にぶつかる音が隣の入居者を悩ませる被害も問題になってきました。騒音がする時間帯に本人が在宅していなくても、機器による騒音も起こり得ることを押さえておきたいですね。
クレームは不正確、「騒音元」の特定は念入りに。
このほかにも騒音クレームにつながる原因はさまざま。少し聞いただけでは判断が付かないこともあるでしょう。そのため、管理会社はいざクレームを受け取ったら、内容をしっかりとヒアリングすることが大切です。
ヒアリングする基本的な内容は次のとおりです。
《ヒアリング項目》
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また、ヒアリングの際に注意したいのは一人のクレームを鵜呑みにしないこと。
音の伝わり方は単純に判断できない場合もあり、必ずしも上下左右のお部屋が原因とは限らないからです。時間はかかるかもしれませんが、できるだけ周辺入居者にもヒアリングを行ない、問題解決に向けて慎重に動いていってください。
※この事例は2021年11月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。
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