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上下階の「騒音トラブル」。賃貸管理によくある難問、その解決策とは?

2020.11.17
  • 相談デスク

    「相談デスク」

    このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

    上階の子どもが原因の騒音トラブル。解決を図るには?

    賃貸住宅に付きものの「騒音トラブル」

    特に築古のファミリー向けアパートだと、子どもの生活音が引き金となるクレームは日常茶飯事です。今回寄せられた相談も、上階に住む子どもが原因の騒音トラブルでした。

    相談ダイジェスト

    • 2階に住む子どもの立てる音がうるさいと、真下の1階入居者からクレーム
    • 管理会社としてどう対処するべきかと相談
    • 騒音を減らすために2階入居者にどのような協力を仰げるのか?
    • 1階入居者のクレームが止まない場合はどうすればいいのか?

    専門家の回答

    まずは騒音内容を確認。トラブルの前提を明らかにする

    騒音トラブルに接した時、管理会社が最初にすべきことは「本当に騒音なのかどうか」「騒音ならどのようなものか」を確かめることです。

    「うるさい」という感覚は人それぞれ。

    ほとんどの人が気にしない音でも、音に過敏な入居者であれば騒音だと感じる場合もあります。

    また、騒音元を誤解している可能性もゼロではありません。第一報をうのみにし、「騒音問題がある」「騒音元はどこそこ」と早合点して軽率な対応をすれば、トラブルが余計にこじれる原因となりますので気を付けたいところです。

     

    騒音内容を確かめるに当たり、まず入居者から以下のことを確認しましょう。

    【最初の確認事項】 ※(  )内は今回のケース

    • 音が聞こえ始めた時期(2階の入居時から)
    • 音が聞こえる方向(2階直上から)
    • どのような音がするのか(物を落とす音、走り回る音)
    • 音のする頻度や時間帯(子どもの在宅時は毎日)

    さらに、入居者が騒音の動画音声データを提出してくれるなら、より対策を講じやすくなるでしょう。

    ベストは「騒音の解消」。入居者の態度に応じた対策を

    今回の相談によると、騒音元は入居したばかりの2階直上のお部屋から。

    小さな子どものいる家庭で、1階入居者からは「子どもの足音や物を落とす音が響いてうるさい」といったクレームが寄せられました。

     

    実際に騒音があると判断できた時、管理会社が目指すべき理想のゴールは「上階からの騒音がなくなり1階入居者のクレームも収まること」です。しかし、その理想を完璧に叶える方法はなかなかありません。

    一般的な対策として、まずは全戸に手紙を送付したり、共用部に張り紙を貼ったりして入居者全員に注意を促しましょう。

    その際、手紙には音の特徴や頻度を盛り込み、騒音元の2階入居者が「自分のことだ」と気付くように誘導することが大切です。

    それでも改善されない場合は、2階入居者に直接連絡。

    騒音について「入居者の皆さまにお伺いをしているのですが…」と前置きした上で、子どもの足音や物を落とす音に「心当たりはありますか」と質問し、間接的に気を付けてくれるようお願いしましょう。

    「騒音対策の方法」を手紙に盛り込む

    全戸に配布する手紙ですが、ただ注意を促すだけでは少々もったいないかもしれません。

    注意喚起と合わせて「どのようにしたら騒音対策になるのか」といった情報を、イラストなどを付けて分かりやすく示してあげると、2階入居者も具体的に動きやすいでしょう。

     

    また、ファミリー向け物件なら、まだ表面化していないだけで実は騒音問題がほかにも隠れていたり、今後生じたりする可能性も充分考えられます。

    入居者全員に騒音対策の具体的な方法を周知することで、トラブルの芽を摘む効果も期待できるでしょう。

    騒音対策として盛り込む内容は、すぐに実践できるものがベスト。

    絶対的な遮音効果があるわけではありませんが、例えば、衝撃音を吸収してくれるカーペット防音マットジョイントマットなどを提案してみましょう。

    トラブル当事者の態度に応じた対応を

    騒音トラブルの難しいところですが、2階入居者が対策を講じてくれたとしても、「まだうるさい!」と1階入居者が納得してくれない場合があります。

    しかし、入居者の要求に100%応えるのは無理な話です。

    管理会社としては1階入居者に再度ヒアリングを行なった上で、「2階入居者が騒音を抑えようと努力していること」「ファミリー物件のため多少の音がするのは仕方がないこと」などの事情を伝え、受け入れてもらうよう説得しましょう。

    また、騒音トラブルでは、騒音元が非協力的な場合も珍しくありません。

    そのような時は、同様の騒音トラブルで騒音元が敗訴した判例を伝え、騒音解消に協力しない「不誠実さ」が裁判になった時に不利に働くことを伝えるのも一つの手です。

     

    例えば、東京地裁平成19年10月3日の判決では、マンション上階に住む子どもの騒音により、下階住民が精神的な苦痛を受けたこと、騒音解消の申入れに対して対応が不誠実だったことを理由に、被告に対して慰謝料・弁護士費用含めた計36万円(うち弁護士費用6万円)の損害賠償を命じる判決を下しています。

    こうした判例を交渉材料に、騒音解消に非協力的な態度が「損」に繋がることを伝え、改めて協力をお願いしてもいいかもしれません。

    入居者間で対立。管理会社にできることは?

    騒音トラブルがこじれて上階も下階も一歩も引かない事態になった場合、管理会社はオーナーの利益を最優先に、なるべく双方の退去を防ぐような手立てを講じたいものです。

    例えば、ほかの部屋が空いているなら(また空く予定があるのなら)、入居して日が浅い2階入居者に部屋移動の提案をしてもいいでしょう。

    2階入居者なら、移動先が1階でも2、3階でも、1階入居者に比べて家賃変動を抑えることができますので、優先して部屋移動を提案してみてください。

    また、騒音計を使った加害者の明確化も、事態の打開策として効果を発揮するかもしれません。

    騒音の有無を見極める目安として、騒音計で計測する騒音値(dB:デシベル)と、その値で判断される「受忍限度」があります。

    受忍限度とは「社会生活を営む上で我慢するべき限度」を言い、騒音値の高低によって受忍限度を超えているかどうか、つまり騒音と認められるかどうかを客観的に知ることができるのです。

    一部の管理会社では入居者に騒音計の貸し出しを行ない、入居者自身で計測をお願いする場合もあるようです。騒音トラブル用に調達しておくと、後々役立つかもしれません。

     

    ちなみに、騒音と判断される数値は、一般に60db(デシベル)以上と言われています。

    生活への影響

    騒音値

    聞こえ方の目安

    非常に大きく聞こえてうるさい、声を大きくすれば会話できる

    60db

    ・洗濯機(1mの距離)

    ・掃除機(同上)

    ・テレビ(同上)

    かなりうるさい、かなり大きな声を出さないと会話ができない

    70db

    ・騒々しい事務所の中

    ・騒々しい街頭

    ・セミの声(2mの距離)

    うるさくて我慢できない

    80db

    ・地下鉄の車内

    ・電車の車内

    (日本騒音調査ソーチョー「騒音値の基準と目安」を参考に作成)

    事件化しかねない騒音トラブル。こじれたら退去願いも視野に

    賃貸住宅では珍しくない騒音トラブル。

    しかし、よくある話だからと甘く見てはいけません。

    コロナ禍による緊急事態宣言下だった2020年5月には、東京都足立区のアパートで、子どもが原因の騒音トラブルが殺人事件にまで発展してしまったのは記憶に新しいところです。

     

    騒音トラブルはこじれると事件化する危険があることを、管理会社は肝に銘じる必要があります。どちらかが退去しなければ争いがますます炎上すると見た場合は、思い切って退去をお願いした方がいいでしょう。

    その際、引っ越し代を請求されるようなら、基本的には支払う必要はないものの、状況によっては「多少の支払いを受け入れてでも出ていってもらう」方が得策かもしれません。

    騒音トラブルは、できることなら騒音元の入居者の協力を得て、当事者双方の歩み寄りを促したいところです。

    しかし、いったん入居者間の関係がこじれると一筋縄ではいかないもの。

    最悪の事態を想定した上で、こまめなヒアリングを通して騒音トラブルの経過に注意深く目を光らせておきましょう

    ※この事例は2020年11月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。

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