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公開日:2016年8月10日

入居者がベランダの床を焦がした! 修繕費用の負担割合は?

入居者がベランダの床を焦がした! 修繕費用の負担割合は?
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「相談デスク」

このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

入居者がベランダの床を焦がした! 修繕費用の負担割合は?

今回は「入居者過失による修繕の負担額」について。 オーナーと入居者がそれぞれに修繕費用を負担する場合、負担割合の決め方にはいくつか押さえておかなければならないポイントがあります。

「入居者の過失なのだから、全部入居者に払ってもらってよ!」

というオーナー様の気持ちも分かりますが、管理会社としては中立の立場で臨みたいところ。ガイドラインに則って考えていきましょう。

 

相談ダイジェスト

  • 入居者がタバコをベランダの床で踏み消していたため、熱で防水コートが焦げてしまった。
  • 業者からの修繕見積もりは、①全面補修11万円 ②部分補修6万円。
  • 上記どちらかの方法で修繕するが、その際の入居者への請求額と、その根拠を知りたい。
  • 当該マンションは築9年。オーナー・入居者とも納得できる割合としたい。

専門家の回答

1.基本的な考え方

基本的には、全面修繕費から経年による償却分を控除した金額を請求します。

ただし、いわゆる東京ルールなどのガイドラインはあくまで「指針」であって法令ではないため、絶対にそうしなければならないということでもありません。

例えば、入居者に対して全面修繕費11万円全額を請求しても、それを入居者とオーナーがお互いに同意するのであればその負担割合で構いませんし、部分修繕費の6万円を請求することも一定の合理性があるため、特に問題となることではありません。

しかしながら今回は、

・全面修繕費から経年分の償却を控除して請求

・部分修繕費の請求

以上の2つの場合を検討してみます。

2.全面修繕費から経年分の償却を控除して請求

全面修繕費11万円から、9年間の償却分を控除して請求する方法です。

ここで問題になるのが「9年の償却分」の根拠。弁護士の回答をご紹介します。

 

Q. 破損は一部ですが、そもそも全面修繕を選択することに問題はないのでしょうか?

色目が変わるのであれば、壁紙同様、破損部分を含む一面すべてを直すことに問題はありません。

 

Q. 経年分の考え方はガイドラインに沿って行いますか?

はい。そもそもガイドラインは損害賠償についての一般的な考え方を反映したものであり、経年分の償却の考え方に専有部・共用部による違いはありません(ベランダは共用部扱い)。

 

Q. 経年分は何をもって判断すれば良いですか?

ベランダの床は防水コートの機能が維持できて初めて用をなすものなので、それを考慮すべきです。

調べられる限りでは、ベランダ防水のみの法定耐用年数は見当たらなかったので、今回は防水コートのカタログ値(メーカーの公表している耐用年数)やあらかじめ予定されていた修繕計画の期間から判断することになるでしょう。

例えば、メーカーがその防水性能の耐用年数を15年としているのであれば…

 【 11万円 ÷ 15年 × 6年 = 4.4万円 】

マンションは築9年ですので、残りの6年分である4.4万円を入居者に請求するのが妥当と言えます。

 

Q. 耐用年数をすでに経過していた場合、請求できないのでしょうか?

その場合でも、請求できないという訳ではありません。

ガイドラインにもはっきりとした記載がないように、具体的にいくらなら請求できる、いくらしか請求できない、と断言することはできませんが、概ね修繕費用の1割程度は請求できるものと思われます。

3.部分修繕費の請求

必要な箇所だけ修繕を行い、その修繕費を請求します。シンプルかつ分かりやすい方法です。

先ほども述べましたが、この請求についても一定の合理性があるため、問題になることはありません。

なお、この相談案件の場合には、最終的にこの部分修繕費6万円を入居者に請求することで解決しました。

おわりに

管理会社はどっちの味方?

時にオーナー様から「あなたたち管理会社は私の味方なの?入居者の味方なの?」と訊かれることも。

もちろん、私たち管理会社のお客様はオーナー様です。

ただし、入居者様はオーナー様のお客様ですから、結果、私たちにとっても大切なお客様です。オーナー様と入居者様、どちらか一方の味方になることはできません。

ですから、こういった問題において私たちがすべきは「中立に、早急に解決する」ということ。その落とし所を見つけることこそ、私たち管理会社に求められる役目なのです。

※この事例は2013年2月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。


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