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解約した部屋の「同居人」から精算不服の内容証明郵便。管理会社の対応は?

2016.12.16
  • 相談デスク

    「相談デスク」

    このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

    解約した部屋の「同居人」から精算不服の内容証明郵便。管理会社の対応は?

    賃貸借契約の基本は「貸主」と「借主」です。彼らはいわゆる「契約の当事者」であり、それぞれ契約相手に債務を負わせ、その履行を求める関係を築いています。

    では、借主の「同居人」はどう扱うべきでしょうか?

    借主と明確に違うことは分かるけれど、果たしてないがしろにしていいものなのか?
    そもそも彼らにはどこまで権利があるのでしょうか。

    相談ダイジェスト

    • 既に支払も終わった退去精算に対し、借主の「同居人」から内容不服との内容証明郵便。
    • (1)工事金額が高すぎる (2)エアコンクリーニング特約無効
    • 以上2点を軸に、支払済みの精算金の一部返還を求める内容。
    • そもそも契約者ではなく同居人が請求できるのか? 管理会社がとるべきアクションは?

    専門家の回答

    まずは権利の有無の確認から。クリーニング特約等は3要件に気を付けて。

    このケースでまず確認すべきは、その同居人に正当な権利があるかどうかでしょう。

    退去精算に関する「当事者」は、当然ながら契約者である貸主と借主です。「借主の同居人」という立場は、本来この精算に口出しできる立場ではありません。契約者同士で精算が済んでいる(契約者同士が納得の上で支払いを済ませている)案件を蒸し返すなど不相応です。

    ただ、その同居人が「代理人」であれば話は別です。確かに同居人は「契約者」ではない第三者ですが、その同居人が、精算に不服である契約者本人の「代理人」となっている可能性があります。契約者の正式な代理人であれば、たとえただの同居人であっても不服の主張等をする権利を持ちます。

    しかし、もし「精算に納得して工事代を支払った契約者本人」とは別のところで、同居人が勝手に動いているだけだとしたら、それは単なる「無権代理」です。

    無権代理人が代理人として行った法律行為の効果は、本人に帰属しないのが原則です。本人が追認しない限り無権代理人の法律行為は「無効」となりますので、実務面では特に相手にする必要はないでしょう。

    同居人による請求がしつこく続くようであれば、まずはタイミングを見て契約者本人に連絡をしましょう。
    結局は契約者の意思次第なのです。本人への確認によって不服・請求の意思のないことが確認できてしまえば、このケースは解決したも同然です。

    そもそもの退去精算トラブルを回避する

    では、実際にこの同居人が、契約者の代理人だった場合にはどうなるでしょうか。
    特に、先方が主張している

    (1)原状回復費用が高額すぎる(負担割合がおかしい)
    (2)エアコンクリーニングを借主負担とする特約は無効だ

    という部分に後ろ暗いところがあるのなら、相手の要求をのむことや訴訟を受けるといったことも考えなければなりません。

    この問題の根本的な解決には、まずトラブルの起きない精算/契約を行なうことです。

     

    ・原状回復費用について

    こちらは結局、国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にどれだけ準拠できているかの問題です。残存価値と経過年数の例のグラフを活用するなどし、万一の訴えも退けられる、正当性のある精算を行ないましょう。

     

    ・エアコンクリーニングの特約について

    上記のように、退去精算の基本は原状回復ガイドラインです。しかしこのエアコンクリーニングのように、費用負担について特約を設け、本来は貸主負担である費用を借主に負担させるケースは少なくありません。

    こうした特約は「通常損耗補修特約」と呼ばれますが、これを有効なものとするには3つの条件があります。特約を作る際には下記3要件をクリアしているか、十分に確認するようにしましょう。

     

    (1)範囲の特定
     「ハウスクリーニング費用」「壁・天井のクロス貼り替え費用」「床・フローリングの補修費用」「エアコンクリーニング代」など、借主が何の費用を負担するのか、条文内で明確に特定する必要があります。曖昧な表現、たとえば「壁紙等の補修」といった書き方では、十分に範囲を特定していないと判断され、特約を無効とされてしまいます。

     

    (2)金額の明示
     次に金額です。「ハウスクリーニング費:○○円」「クロス貼り替え費用:1平米あたり○○円」など、借主がいくら負担することになるのかをきちんと金額入りで示す必要があります。単に支払う範囲を示しただけでは費用を負担させることはできません。

     

    (3)金額の相当性
     最後に、その上限です。本来貸主負担となる費用である以上、過度に借主に負担させれば消費者保護法に引っかかります。あくまでケースバイケースですが、現行法が「敷引き3ヶ月分」などを認めていることからするに、賃料3ヶ月分程度の金額が借主に負担させられる上限になると思われます。

     

    以上、通常損耗補修特約の3要件でしたが、貴社の契約書は上記を満たせていたでしょうか。

    同居人と契約者の関係という主題からは逸れてしまいましたが、そもそも当ケースは隙のない退去精算を行なえていれば起こらなかったトラブルでもあります。間もなくと言われる民法改正後は、原状回復についても明文化される一方で、入居者に「敷金が全額返ってくるようになる」などの誤解が発生しやすくなるのではないかと予想されています。この機に一度自社の契約書を見直されてみるのもいいかもしれません。

    ※この事例は2014年4月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。

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