相談デスク

公開日:2017年6月9日

入居者のゴミ出しルール違反、迷惑な犯人を突き止めたい!というときは。

入居者のゴミ出しルール違反、迷惑な犯人を突き止めたい!というときは。
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「相談デスク」

このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

入居者のゴミ出しルール違反、迷惑な犯人を突き止めたい!というときは。

集合住宅で起こる入居者トラブルといえば、やはり「騒音」。
多少の生活音は仕方のない部分もありますが、大音量でのテレビ・音楽鑑賞や、友人を招いての飲み会・パーティーなどで周囲から苦情が出る場合には、管理会社は物件を管理する立場として、騒音元を特定して注意をしなければなりません。

同様に、迷惑の原因を突き止めて注意をしなければならないのが「ゴミ問題」です。
しかし管理会社として、次のような行為や要求は妥当なのでしょうか?

相談ダイジェスト

  • ゴミ出しのルールが守られていなかったため、張り紙・注意文投函の対応をした。
  • 多少改善されたが、まだ1~2名の入居者がルールを守っていないと思われる。
  • 1.管理業務の一環としてゴミ袋を開封し、犯人特定の調査をすることに問題はないか。
  • 2.特定できた場合、共益費増額や違反金等、何かしらペナルティを課すことは可能か。

専門家の回答

管理業務としてゴミ袋を開封調査することは可能。使用規則などに調査する旨が記載されているとなお良し。

他人の捨てたゴミを勝手に調べてもいいものか、と躊躇われる管理会社の方も多いかと思いますが、管理会社は集合住宅における入居者の暮らしを適正に維持・管理する役目を果たさなければなりません。

そして、その適正な住環境を脅かすルール違反者を特定するためであれば、ゴミ袋の開封調査は、管理における社会的相当行為として違法性を欠き、損害賠償の対象とはならないと考えられます。

もちろん、目的はあくまで「ゴミがいつまでも回収されずに残り、ゴミ置き場や住環境に悪影響を与える」という状況を管理会社として改善するためであり、その調査を個人的な目的で行なったり、偶然知り得た情報を第三者に吹聴するなどした場合には、損害賠償の対象となる可能性があります。

また、ゴミ置場にゴミとして出された時点で所有権は放棄されているとはいえ、プライバシーなどの主張から二次トラブルに発展する可能性がないわけではありません。

できることなら、使用規則などに「ゴミ出しのルールが守られていない場合には、ゴミを点検し、誰が排出者であるか管理会社、貸主、それらから委託を受けた者が確認を行なう」という旨の記載をしておいたほうがいいでしょう。

違反者へのペナルティは可能?

次にルール違反者へのペナルティについてですが、まず「共益費増額」は難しいでしょう。なぜなら、共益費は常識的に集合住宅管理全体の費用を指しているものであり、ゴミ出しの管理だけに使われているわけではないと考えられるからです。
共益費=ゴミ管理費でない以上、ゴミ管理のペナルティを共益費に反映することは妥当とは言えません。

では罰金ルールはというと、こちらも請求するには法的根拠に欠けます。
仮に使用規則などに「ゴミ出しに違反した者は、1回の違反につき罰金1000円」と定めたとしても、裁判所がその合理性を認めて請求権を認める可能性は保証できません。一方的に請求し、罰金を支払わないからと裁判を起こしても、望ましい成果は得られないでしょう。

では、ルール違反を理由に、借主に対し退去を求めることは?

原則として、ゴミ出しのルールを守らないということだけで賃貸借契約を解除し、立退きを求めることはできません。

以前、他の記事で示したように、賃貸借契約のような継続的契約は、当事者間の信頼関係を基礎としており、解除には当事者間の「信頼関係の破壊(背信行為)」が必要とされます。

ゴミ出しのルールの守らないことは確かに問題なのですが、長期間の家賃滞納や無断転貸、使用目的違反、公序良俗違反といった背信行為と比べると、ゴミ出し違反が信頼関係の破壊と呼べるほどのものでないことが分かります。

ややこしい問題だけに、なるべくいっぺんに片づけてしまいたい気持ちは分かりますが、地道な調査と指摘・改善がゴミマナー問題のいちばんの近道のようです。

 

※この事例は2013年7月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。


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