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公開日:2017年7月20日

借主の法人が倒産!貸主側から部屋の賃貸借契約を解除することは可能?

借主の法人が倒産!貸主側から部屋の賃貸借契約を解除することは可能?
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「相談デスク」

このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

借主の法人が倒産!貸主側から部屋の賃貸借契約を解除することは可能?

賃貸経営をするうえで、「個人より法人に借りてもらえたほうが安心する」という方は少なくないと思います。

急な入院や退職・解雇、行方不明、犯罪関連…、個人との契約の場合、家賃が払われなくなるシチュエーションはけっこう思いつくものです。

一方、法人は病気になることも行方不明になることもありません。経理が常識的に機能している会社なら家賃が遅れることもありませんし、法人が信頼されるのはたいへんよく分かる話です。

しかし、法人とて「絶対的に安全」ではないことは心に留めておかなくてはなりません。

2017年6月にも、某自動車部品メーカーの大規模倒産が起こりました。

どれだけ基盤が安定していても、経済活動をしている限り企業には「不況」の波が襲いかかります。

まさか、あの有名企業が!という倒産は、思い返せばいくつもあるはずです。そのとき貸主や管理会社はどう動くべきなのか、少しだけ考えてみましょう。

相談ダイジェスト

  • マンションの一室を法人に貸していたが、その法人が倒産してしまった。
  • 連絡もとれないし、破産管財人が選任されているかも分からない。ただ、従業員はまだ住んでいるようだ。
  • 1.法人の倒産を理由に解約を解除し、明け渡しを求めることは可能か?
  • 2.入居者が従業員ですらなく、全くの第三者であった場合はどうすればいいか?

専門家の回答

破産だけで契約解除は不可能。その後の家賃滞納で明け渡し訴訟が無難。

契約していた法人が破産したからといって、その破産の事実だけで賃貸借契約を解除することはできません。

もし契約書に「借主が破産した場合、貸主は契約を解除できる」という条項があったとしても、判例上、この条項は無効とされています。

 

よって、貸主側としては、先方から解約の申し出がない(そもそも同相談では倒産した法人と連絡すら取れないようですが)以上、そのまま様子を見ながら契約を継続するしかないでしょう。

とはいえ、大半の法人は、倒産後は賃料を支払えず「滞納」の状態になると思われます。

滞納となれば、話は変わります。長期間の滞納(債務不履行)によって信頼関係が破壊されたと言える状態であれば、これを理由とした賃貸借契約の解除が可能だからです。

法人の倒産と、賃料の滞納とは別問題です。

一定の賃料の滞納(一般に、賃料3か月分が目安)が生じた段階で、迅速に賃貸借契約を解除し、物件の明渡を求める流れが望ましいでしょう。

公示送達の必要性

ただし、今回のケースで気を付けたいのが「法人担当者と連絡がつかない」という点です。

契約を解除するためには、解約の意思を相手側に伝えなくてはなりません。しかし破産管財人の選任すら不明であるという場合には、内容証明郵便を送る等の通常の方法では、貸主側から賃貸借契約解除の意思を借主に表示することは不可能です。

先方にこちらの解約の意思が届かなければ、契約の解除はできません。
こうした場合は、『公示送達』という方法によって解除の意思表示を行なう必要があります。

公示送達とは…

公示送達(こうじそうたつ)とは、相手方を知ることができない場合や、相手方の住所・居所がわからない人、相手方が海外に住んでいてその文書の交付の証明が取れないときなどに、法的に送達したものとする手続きのこと。
公示送達の文書は、裁判所に一定期間掲示され、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも1回掲載することで送達されたものとみなされる。
wikipediaより)

思いっきり噛み砕くと、「相手がどこにいるか分からないままじゃ話が進まないので、とにかく裁判所(または役場等)に掲示して、相手が読んだということにしよう!」という制度です。

今回のように、連絡先が分からない相手に法的な意思表示を行なうには最適です。

 

借主たる法人との賃貸借契約が解除できれば、従業員に対して部屋の明渡しを求めることもできるようになります。

もし、従業員が任意に明渡しの応じない場合には、従業員に対して建物明渡の訴訟を起こす必要があります。

入居者が第三者の場合には?

入居者が法人と縁もゆかりもない第三者である場合も、従業員であった場合と処理に大差はありません。

まずは法人との賃貸借契約を終了させ、入居者たる第三者に任意の明渡しを求めます。
任意の明け渡しに応じなければ、建物の明渡を求めて訴訟を起こすことになるでしょう。

 

※この事例は2013年7月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。


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