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「共益費の使い道を教えて」借主に内訳を開示すべき?

2019.12.11
  • 相談デスク

    「相談デスク」

    このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

    「共益費の使い道を教えて」借主に内訳を開示すべき?

    賃貸管理をしていると、時折寄せられる借主からの「共益費や管理費とは?」「いったい何に使われているの?」「内訳が知りたい」といった共益費・管理費に関する質問。

     

    管理会社としては、「共益費・管理費は結局のところ家賃の名前が変わっただけ」という認識が当然に共有されていますが、借主の中には「共益費は清掃や設備の修繕など建物の管理に使われているのだろう」と思い込んでいる人が多く、管理が納得のいくものでなければ「共益費・管理費を払っているのに!」と不満や疑問を招くことになります。

     

    では、そのような疑問・勘違いのもとに、借主から「使い道や内訳を開示して」といった要求があったら、どう対応すべきなのでしょうか。賃料の値上げ交渉の際などには共益費の不透明さを持ち出され、内訳の開示を求められることも多いようです。

    相談ダイジェスト

    • 入居者から、建物の共益費の内訳を明示しろとの要求
    • 管理会社はこの要求に応えるべき?
    • テナントなど特殊な場合の対応は?
    • マンション・アパートの入居者から共益費の支払いを拒否された場合はどうすべき?

    専門家の回答

    共益費の性格により、内訳を開示する必要があるかどうかが決まる。特約を設けるのも手

    結論から言うと、物件や契約によって内訳を開示する必要がある場合、必要がない場合があります。

     

    必要な場合は、一定額の共益費を賃借人から預かり、後日清算して返金するといった賃貸契約を結んでいる場合です。

    こういった運用は一部のテナントなどで行われているのですが、例えば徴収した共益費から共用部の光熱費などを支払い、過不足分を返金、もしくは別途徴収する契約があります。過不足を毎月清算する、もしくは年に一度など期間を決めて清算するのであれば、内訳を明示することは必須です。

    マンション・アパートの共益費は家賃の一部

    一方で、一般向けのマンションやアパートの共益費は、ご存知の通り名目を分けて表示しているだけのものであり、家賃と同一です。共益費・管理費として徴収しているものの、役割を与えていません。

    オーナーは共益費・管理費を含めた家賃収入より建物を維持管理しているため、内訳を開示することはできませんし、開示する必要もありません

     

    私たち管理会社は募集や契約において、便宜的に家賃・共益費・管理費と名目を分けています

    これは見せ方の問題で、例えば10万円で貸したい部屋があったとして「家賃9万5000円・共益費5000円」と設定すれば、広告に「家賃9万5000円」と打ち出せます。

    また賃貸情報サイトで家賃9万円代以下のお部屋を探している閲覧者にアプローチできるかもしれないので、家賃・共益費・管理費を分ける手法は日常的に使っていることが多いかと思います。

     

    しかし冒頭でも示した通り、入居者の中には「共益費は管理に充てられているものだ」と思っている人が多くいます。

    時には使い道の内訳開示を求めてくる入居者もおり、こうした方に対して業界の事情や共益費の実態、法的性質などを解説するのは骨の折れる作業です。

    こういった要求を予め防ぐには、契約の中に共益費に関する特約を入れてしまうのが有効でしょう。

    「共益費について貸主は清算および収支の説明を行わないものとする」といった条文を設けておけば、不要なトラブルを減らすことが可能です。

     

    ちなみに、仮に共益費の内訳開示をめぐって訴訟を起こされたとしても、「共益費は家賃の一部でしかない」という本来の性質が考慮され、開示の要求は認められないはずです。

    入居者が一方的に共益費の支払いを拒否したら?

    では、清掃が不十分、設備故障が多い、管理会社の対応が遅いなどを理由に、借主が一方的に共益費の支払いを拒否した場合はどうでしょう。

     

    共益費をめぐり、こういったケースも起こりえるのですが、管理が行き届いていなかったとしても、貸室を問題なく使えているのであれば、原則、共益費の支払いを拒否することはできません。なぜなら先述のとおり、共益費は家賃の一部でしかないからです。

     

    家賃は通常に部屋を使用収益できることの対価であり、たとえ管理会社の対応が悪かったとしても、生活に支障なく通常の使用収益ができているのであれば、家賃の対価は十分に得られていることになります。

     

    にもかかわらず、家賃の一部である共益費の支払いを勝手に拒否してしまえば、それは家賃の一部を滞納している状態と変わりません。管理会社の対応を理由に、支払いを拒否することは認められないのです。

     

    ちなみに、共益費の一方的な不払いは認められなくとも、借主は管理の悪さを理由にして損害賠償請求をすることは可能です。

    ただし、その際には自身で損害額の根拠を明示しなければなりません。生活に重大な支障をきたすような「よほどの管理の悪さ」でない限り、なかなか現実的な手段ではないでしょう。

    トラブルをめぐり退去させるのはもったいない!賢い管理会社の対応

    さて、ここまで共益費の内訳開示や共益費支払い拒否を受け入れる必要がないことについて説明してきましたが、だからといって賃借人の声に一切耳を傾けない、というのも問題です。

    共益費についてのクレームは、やはり管理会社の対応や、いま支払っている家賃に対する不満足感から発生しがち。そのクレームを頭ごなしに否定し、トラブルを深刻化させてしまえば、結果として退去につながってしまうこともあり得る話だからです。

    管理会社としては、些細ないざこざから入居者を退去させてしまうのは避けたいところ。
    まずは入居者の不満がどこにあるのかを見極め、問題があるのなら改善する、という姿勢が大切です。

    よくよく確認したところ「家賃が高すぎると感じているから共益費を払わない」といったケースも。入居時に比べ家賃相場が下がっているなど、賃料値下げの余裕があるのなら、「損して得取れ」の精神で共益費分を値下げするなど、柔軟な対応をしていくべきでしょう。

    ※一般的なアパート・マンションであっても、旧住宅金融公庫による融資物件などでは、共益費の内訳について開示が必要とされる場合があります。

    ※この事例は2013年7月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。

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