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契約者の死後も住み続ける配偶者。更新方法は? 連帯保証人は引き継がれるの?

2020.08.12
  • 相談デスク

    「相談デスク」

    このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

    契約者の死後も住み続ける配偶者。更新方法は? 連帯保証人は引き継がれるの?

    「契約者様が亡くなってしまい、今は同居していた方が住んでいます」

    賃貸管理をしていると、こうしたケースに時折出会うものです。引き続きお部屋を借りてくれるのはありがたいことですが、気になるのはその後の更新手続き。

    契約書に記載する契約者はいったい誰になるのか、連帯保証人はどうなるのかなど、心配事は尽きません。さらに民法が改正されたことで、賃貸借契約の細かな変更点にも気を配る必要が出てきました。

    入居者が亡くなり、改めて契約を見直さないといけないとき、管理会社はどのような点に気を付ければいいのでしょうか。

    相談ダイジェスト

    • 契約者だった夫の死後、同居人の妻が住み続けているが更新時期が迫っている
    • 相続状況は不明。更新にあたり、新たな契約者は誰になるのかと相談
    • 連帯保証人は契約者の死後も引き継がれるのか?
    • 新たに連帯保証人を立てる場合、民法改正による注意点は?

    専門家の回答

    新たな契約者は「相続人」。まずは相続内容を明らかに

    今回いただいた「新たな契約者はどなたになるのでしょう」という質問。

    結論から言いますと、借家権(借家人としての地位)を引き継いだ「相続人」が新たな契約者となります。元契約者の相続状況は不明とのことですので、まずは配偶者を通じて相続について確認し、誰が借家権の相続人に当たるのかを明らかにしてください。

     

    というのも、相続人は同居の配偶者だけとは限らないからです。借家権は財産権の一つと見なされ、相続財産として扱われますが、何も取り決めがされないまま相続となると、元契約者と同居していたかどうかにかかわらず、すべての相続人が借家権を共有で引き継ぐことになります。

    そうなると、法的には相続人の数だけ契約者も存在することに…。場合によっては更新手続きの対象が全相続人に及ぶことになるため、まずは元契約者の相続状況を把握する必要があるのです。

     

    相談者様の話では、元契約者の家族関係について「子や孫はいない」「父母はすでに他界している」「弟が少なくとも一人いる」の3点が分かっているとのこと。

    この情報だけでも、法定相続人に数えられるのは少なくとも配偶者と弟の二人、つまり複数存在することがうかがえます。遺産分割協議をしておらず、配偶者と弟で借家権を共有している可能性もある以上、まずは配偶者に相続状況を確認することが先決です。

     

    ちなみに、賃貸借契約で今回のように契約者が複数いるという状況はあまり好ましくありません。更新契約や解約の際などには契約者全員の署名・捺印が必要となり、手続きが煩雑化してしまいます。また、契約についての意思統一にも時間が掛かってしまいかねません。

    借家権の相続状況を明らかにすると同時に、借家権を複数人で相続していた場合は、相続人のうち誰が借家権を引き継ぐのか確定してもらうよう働きかけるようにしましょう。

    連帯保証人にも意思確認を。ただし、書面で行なう場合は要注意!

    契約者が亡くなり、相続人が引き続き賃借する場合、連帯保証契約はそのまま引き継がれるのでしょうか。それとも、新たに連帯保証人を立てる必要があるのでしょうか。

    これについて、民法改正前に交わした契約ならば連帯保証人の地位はそのまま引き継がれることになります。連帯保証契約は元契約者との契約ではなく、貸主と連帯保証人が直接契約を結ぶ形となるからです。

     

    ただ、連帯保証人の地位が失われないとは言え、契約者も変わる以上、連帯保証人に対して今後も連帯保証契約を続ける意思があるか、あるいは保証できるだけの資力は十分かといった確認をしておきたいところ。

    もしかすると、連帯保証人は契約続行を望んでいないかもしれませんし、そもそも高齢などを理由に、連帯保証人としての役割を果たせなくなっていることも考えられます。ですから、確実に賃料を保証してもらうためにも、連絡を取っておいた方がいいでしょう。

     

    なお、連帯保証人への意思確認を口頭ではなく、後々トラブルにならないよう書面で行なっている管理会社も多いと思いますが、その場合は改正民法が適用され、新たな連帯保証契約を結んだと見なされることになりますので要注意です。

    契約である以上は、連帯保証契約には絶対に欠かせない極度額を設定する必要があります。単なる確認の書面だからと油断して、極度額を設定しないまま署名捺印を求めてしまうと、極度額の定めのない保証契約と見なされて無効となる可能性があります。十分に気を付けてください。

    元本確定で制限される連帯保証人の弁済範囲

    一方、新たに連帯保証人を立てるとしたら、どのような点に注意すればいいのでしょうか。

    上に挙げた極度額のほかに、管理会社が特に気を付けたいのが次の2点です。

    • 賃借人または連帯保証人が亡くなった時点で保証の元本が確定すること
    • 連帯保証人の地位は相続されないため、死後の賃料請求ができないこと

     

    改正民法では、賃借人が亡くなった場合、保証債務の元本が確定し、それ以降に生じる賃料などの債務を連帯保証人やその相続人に対して請求できなくなりました。

    同じく連帯保証人が亡くなった場合も、元本は連帯保証人の負担する債務として確定します。債務そのものは、連帯保証人の相続人に相続されることになり、相続人が弁済を行なうことになるのです。

     

    では、後任の連帯保証人の地位も、その相続人が引き継ぐことになるのでしょうか。

    残念ながら、改正民法下では相続人に地位までは承継されません。ですから、連帯保証人の死後に賃料滞納が発生したとしても、管理会社は相続人に弁済を請求できませんので、早急に新たな連帯保証人を立てる必要があります。

    連帯保証契約に新ルールが盛り込まれたことで、連帯保証人を立てることのデメリットが目立つようになりました。加えて核家族化や高齢化が進んだことにより、連帯保証人としての役割を果たせる人が減っている社会背景も逆風となっています。

    こうなると、個人の連帯保証人を立てるより、家賃保証会社を積極的に利用した方が時勢に合っていると言えるでしょう。今回のケースでも、更新に合わせて賃借人に保証会社の利用を求めるといった対策を講じ、滞納リスクの軽減を図るのもいいかもしれません。

    ※この事例は2020年7月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。

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