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管理会社の登録義務化。賃貸管理適正化法が定める登録要件とは?

2020.08.25
  • 相談デスク

    「相談デスク」

    このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

    管理会社の登録義務化。賃貸管理適正化法が定める登録要件とは?

    「賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならない」

    2020年6月に成立した「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」に書かれた条文の一節です。

    実は、これまでも任意登録となる「賃貸住宅管理業者登録制度」というものがありました。

    しかし、あまり浸透はしていないようで、国土交通省の調べでは全3万2400社のうち、登録業者は約4800社(2020年6月末時点)。わずか15%程度しか登録していない状況でした。

    それが同法成立により、登録が義務となる新制度が設立されることになります。

    対象は、一定規模の管理戸数を持つ管理会社

    施行は2021年6月からとみられ、該当する事業者は猶予期間を含めて2022年6月(予定)までには必ず登録を済ませなければならなくなりました。

     

    では、いったいどのような事業者が登録の対象となるのでしょうか。

    今回は、来たる登録義務化に今から対処すべく、法律内容を整理し、登録の要否を判断したいというご相談にお答えします。

    相談ダイジェスト

    • 賃貸管理適正化法で管理会社の登録が義務化されると聞いた
    • 契約更新や退去受付だけをしている物件は管理戸数にカウントされるのかと相談
    • オーナーと管理契約を結んでいる物件が管理戸数としてカウントされるのか?
    • そのほか管理戸数としてカウントされるもの、されないものは何か?

    専門家の回答

    対象は「維持保全」をしている管理物件。契約更新業務は含まれない

    管理業務の適正化を図るために制定された登録制度。

    ご相談では「賃貸管理をしていたら、どの会社も登録しなければならないのでしょうか」という質問をいただきました。

    これについて同法では、登録が必要となる事業者の要件は「賃貸人から委託を受けている“一定規模以上”の賃貸住宅について“賃貸住宅管理業”を行っていること」と説明しています。

    「一定規模以上」の具体的な数字はまだ固まっていません。

    今後、国交省で公表される運びとなりますが、日管協によると200戸以上(2020年8月25日時点)と想定されています。

    戸数はあくまで義務となる要件の一つですので、一定規模を下回る事業者でも登録は可能となります。また、前述した任意の賃貸住宅管理業者登録制度(新制度施行に伴い廃止予定)に登録している場合も、改めて新制度への登録が必要となるようです。

     

    では、「賃貸住宅管理業」とはどのような業務を指しているのでしょうか。

    同法条文では、次の2点を挙げています。

    1. 維持保全
    2. 維持保全に併せて、家賃・敷金・共益費その他の金銭の管理を行う業務

     

    維持保全とは「住宅の居室及びその他の部分について、点検、清掃その他の維持を行い、及び必要な修繕を行うこと」と条文で定義されています。

    例えば、管理物件の共用部や外壁、設備などが劣化した場合に修繕の手配をしたり、定期清掃の実施や、退去後のリフォームを実施したりすることが考えられます。

    注意したいのは、2つ目の金銭管理

    条文では「維持保全と併せて行うものに限る」とされており、単独では賃貸住宅管理業に含まれません

    見方を変えれば、登録の要件となる賃貸住宅管理業には、必ず維持保全が含まれることになります。

    その上で、現在想定されている登録要件を言い換えると、「維持保全の委託を受けている賃貸住宅の戸数が200戸以上となる管理会社」と解釈できます。

    ご相談では、対象となる管理物件に「契約更新や退去受付だけをしている物件は含まれますか」というご質問をいただきましたが、維持保全が含まれていない以上、現時点では「含まれない」と考えるのが妥当でしょう。

    ただし、管理会社によっては維持保全業務の一部しか担当していない場合もあると思います。例えば、原状回復工事だけ担当しているとか、点検・清掃はしているが修繕はオーナー自身がやっているとか。

    実は、そうした細かいケースに対応した規定はまだ公表されておりません。今後、国土交通省令を待ち、管理戸数としてカウントされるかどうかを判断する必要があります。

    対象物件にオーナーとの「契約の有無は問われない」

    では、維持保全を担当している管理物件があったとしても、オーナーと管理受託契約を交わしていない場合は、登録要件の対象戸数にカウントしなくていいのでしょうか。

    現時点では、対象物件について契約の有無は問われていません

    つまり、オーナーと契約を結んでいなくても、媒介や取次、または代理といった形で、事実上の維持保全をしている管理物件であれば登録の対象戸数にカウントされることになります。

     

    また、ご相談では「重説に管理会社として社名を記載している物件は含まれますか」という質問が寄せられました。

    こちらの考え方も上記と同様で、契約の有無に関係なく、実務として維持保全に関わっている物件であれば対象戸数となり、そうでなければ、たとえ社名の記載があっても対象にはならないと言えます。

    管理戸数としてカウントされるもの、されないもの

    とはいえ、種々雑多な管理業務。会社やオーナーによって内容は様々です。

    例えば次のような場合、対象戸数の数え方はどう考えればいいでしょう。

    1. サブリース業者
    2. オーナーとの準管理契約
    3. 自社所有物件で賃貸人と管理会社が同一

     

    〈1.サブリース業者〉

    日管協によると、サブリース業者の登録について「サブリース契約による借上戸数ではなく、管理受託契約による管理戸数が一定規模以上であれば登録が必要」としています。

    サブリース業者の中には、オーナーとはマスターリース契約(特定賃貸借契約)で長期家賃保証だけを約束し、維持保全は別の管理会社が行なっている場合もあります。

    そうなると、通常のサブリースで見られる「借上戸数=管理受託契約数」とはならないため、あくまで管理受託契約を結んでいる物件がカウント対象となります。

     

    〈2.オーナーとの準管理契約〉

    管理業務に携わっているのは純粋な管理会社だけではありません。

    地場の仲介会社でも、オーナーとの付き合いや営業の一環で、管理契約を結ぶことなく管理業務の一部を請け負っている場合があります。

    基本的にオーナーの要望に従うことになるので、業務内容も頻度もさまざまです。おそらく金銭管理を含まないことは共通するものの、リフォームや修繕の手配、入居者連絡の取り次ぎ、リーシングなど多岐にわたります。

    こうした業務について事業者の中には「とても管理業務とは呼べない。対象戸数にはカウントされないのではないか」と思われる方もいることでしょう。

    実際に、上述した不定期の無償管理が対象戸数に該当するのかどうか、現時点では明確にわからないというのが結論です。

    オーナーから依頼を受ける頻度によっては、たとえ無償管理であっても、物件の「維持保全」をしているとみなされ管理戸数にカウントされるかもしれません。

     

    〈3.自社所有物件で賃貸人と管理会社が同一〉

    自社所有している賃貸住宅で、管理も自社で行っている場合はどうでしょう。

    同法では登録要件の前提として、「賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて」管理業務を行なう者を対象としています。

    自社所有で賃貸人も管理会社も同一の場合は、委託そのものが起こりません。そうなると、管理戸数のカウント対象になる可能性はおそらく低いと言えるでしょう。

     

    さて、ここまで登録義務の要件について見てきましたが、注意すべき点はまだ続きます。それは登録した後。

    同法では、登録業者に対して、次の通り4つの業務を義務付けています。

    • 事務所ごとに業務管理者(宅建士のほか、賃貸不動産経営管理士も想定)の配置
    • 書面による重説
    • オーナー財産の分別管理
    • オーナーへの定期報告

     

    特に「業務管理者の設置」については、新たに人員を確保しなければならない管理会社もあるのではないでしょうか。「財産の分別管理」も、場合によっては業務をひっ迫することになりかねません。

    施行後1年間の猶予期間があるとはいえ、管理会社に課される負担は少なくないと言えるでしょう。

    施行と同時に登録義務が生じる管理会社はもちろん、ゆくゆくは登録しなければならなくなる場合も、各種義務に対応できるよう、登録の可能性を考えた対応が求められます。

    また、この機会をチャンスと捉え、賃貸管理に本腰を入れるのも選択肢の一つです。

    成立したばかりでまだまだ不透明な箇所の多い同法。

    国土交通省令で次第に明確化していくことになりますので、今後の展開をしっかりと見守り、義務化への適応はもちろん、変化をチャンスに変えられるような前向きな対策を講じていきたいものです。

    ※この事例は2020年7月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。

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