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大規模修繕が必要な「老朽化物件」。入居者を立ち退かせる交渉のヒントとは

2021.02.09
  • 相談デスク

    「相談デスク」

    このコーナーはベーシックサポート会員様から実際に当社へご相談いただいた内容を、解決策の一例として公開していく企画です。

    「老朽化物件」からの立ち退き、どう進める?

    日本史上に残る大災害となった東日本大震災

    あれから10年が経ちましたが、その間にも、日本各地では震度6弱以上の地震が20回以上起きています。さらに近年は、震災だけでなく、台風や異常気象による豪雨災害も多発しており、毎年日本のどこかで甚大な災害被害が見られる状況です。

     

    こうした自然災害から物件を守るために、特に気を付けていただきたいのが、建物の老朽化リスク

    築年が三十年、四十年となると、一時的な補修では間に合わず、大規模修繕や建て替えを検討しなければならないケースが出てきます。入居者がいる場合は事情を説明し、できるだけ早く退去してもらわなければいけません。

     

    しかし、貸主側からの急な退去要請に対して、なかには立ち退きを渋る入居者がいるものです。そうした入居者を説得し、解約の合意を取り付けるためには、一体どのように交渉を進めていけばいいのでしょうか。

    相談ダイジェスト

    • 部分修繕では間に合わないほど物件が老朽化。大規模修繕が必要と判断した
    • 借主は事情を理解してくれたが、転居先が見つからないため退去を承諾していない
    • 解約の合意を取り付けるにはどうすればいいのかと相談
    • 退去までの事故を回避するにはどうすればいい?

    専門家の回答

    安全確保が第一。転居支援で迅速な立ち退きを

    まず前提として、建物の老朽化により入居者の安全を保証できない以上、管理会社は入居者の退去手続きを速やかに進め、一日でも早く安全を確保しなければなりません。

    相談内容によると、入居者は事情を理解しつつも、転居先が見つからないため立ち退きに同意していない状況です。

    しかし裏を返せば、転居先さえ見つかれば立ち退きに応じてくれる可能性が高いわけですから、管理会社としては管理物件や他社物件を紹介・斡旋するなどして、転居先の確保を急ぎサポートすることが目下すべきことになります。

     

    また、退去日までに老朽化を原因とした事故が起きてしまうと、オーナーは所有者責任を問われかねません。コストがかかってしまいますが、危険な箇所があるときは一時的な補修を施してでも事故を防ぐべきでしょう。

    立ち退き交渉は「相談ベース」で

    ご存じのとおり、借地借家法の規定により、賃貸借契約は貸主・借主の双方が合意しない限り解約できません。借主の契約違反で「信頼関係の破壊」があった場合は別ですが、貸主都合での退去要請は、いくら「正当な理由」(正当事由)があるとしても借主は必ずしも応じる必要はないのです。

    今回のように「老朽化のため大規模修繕・建て替えを行なうから」という立ち退き理由も、正当ではあるものの、やはり貸主都合には違いありません。

    そのため、まずは「相談ベース」で入居者から解約の合意を取り付けていきましょう。

     

    その際、入居者へのヒアリングは重要です。

    ただでさえ急なお願いするわけですから、入居者の事情を気にせず一方的に立ち退きを求めれば、かえって入居者の不興を買うでしょう。話し合いがこじれてしまうと、退去日は一層遠のくことになります。

    まずは相談ベースでしっかりと入居者に向き合い、合意を得られるよう粘り強く交渉することが大切です。

    トラブルに備えて「解約合意書」を用意する

    当たり前のことですが、立退きの合意を担当者との口約束に留めてはいけません。必ず「解約合意書」を用意し、退去についての合意があったことを第三者にも分かるように書面で残しておきましょう。

    解約合意書には、解約に関する文言に加えて、

    • 本件の経緯
    • 合意書の締結をもって賃貸借契約も解約になること
    • 解約日・退去日(可能なら)

    以上の3点を盛り込んでください。

    老朽化リスクが原因で退去日までに事故が起き、借主から損害賠償請求をされた場合でも、「本件の経緯」が記されていれば問題解決のために借主に立退きをお願いしていた事実が明らかになり、裁判を有利に進めることができるでしょう。

     

    また、借主のなかには、大規模修繕が終わった後に以前の賃貸借契約を盾にして、「同じ家賃」でまた住もうとする人もいるようです。

    すぐに入居者が見つかるのはありがたいのですが、収益面から見れば願い下げ。余計なトラブルを避けるためにも、合意書の締結に合わせて賃貸借契約も清算することをお勧めします。契約上の解約日や、実際の退去日を借主に決めてもらえると尚良いでしょう。

    立退料の支払いを踏まえた交渉を

    最後に、忘れてはならないのが「お金」の準備。

    退去要請にはどうしても「立退料」の支払いがついて回るものです。

    立退料には「転居にかかる費用の負担」や「手間を取らせることへの補償金」といった意味合いが含まれ、入居者に立ち退きを納得してもらうための交渉材料となります。

    立退料を1円も求めずに退去してくれる人もいるのですが、たいていは立退料なしには話が進みません。ある程度の額の支払いを念頭に置いたうえで、オーナー・入居者間の調整を図っていく必要があります。

    入居者それぞれの事情を汲んだうえで、適切な額を設定して立ち退き交渉を進めていきましょう。

     

    ちなみに立退料の金額は、前述の通り借主の考え方次第、相場というものはありません

    ただし、だいたいは「出て行くんだから引っ越し代くらい払ってほしい」という思いが金額に反映されます。

    引っ越しにはご承知の通り、敷金・礼金に前家賃や仲介手数料などが必要です。よって立退料の交渉にあたっては、賃料の6~12ヶ月程度は請求される可能性があると考えておいた方がいいでしょう。

     

    自然災害と同じように、老朽化物件の事故はいつ起こるとも知れません。

    いたずらに時間を浪費して事故に発展してしまえば、入居者がケガをするだけでなく、オーナーの賃貸経営にとっても大きな痛手となってしまいます。

    そうしたリスクを避け、無事に大規模修繕や建て替えに移るためにも、入居者の転居を後押しし、スピード感をある立ち退きを実現させたいものです。

    ※この事例は2021年1月のものです。ご紹介した考え方は一例であり、トラブル解決のプロセスは案件ごとに異なる旨、ご承知おきください。

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